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第11話:ギルドで登録っ♪/榊原透の回想

わたしが串焼きをうみゃうみゃ♡してたら何故か大盛況になった串焼き屋さんを後にしたわたしとゆーくんは、お次は冒険者ギルドに顔を出していた。

まぁこれに関しては皆で話してた事だから自由行動中にそれぞれバラバラにギルドに行こうって決めてた。

何せ7人で押しかけて一斉に登録しても迷惑かもだからね!

え?後でパーティー登録する方が迷惑じゃないのかって??


ノンノン、パーティー登録はシステム的なアレで既にされてるから、ギルド側はただの確認作業になるのよ。

なんなら冒険者ギルドに登録するだけでパーティー登録済みなのが分かるかもね?



「……って、配慮した意味。」


「あ…あははは………



冒険者ギルド、受付はスッカスカだった件について。

まぁ、併設された酒場の方は賑わってるから過疎ってはないにゃ。

そりゃそうだよにゃ、冷静に考えて今は昼過ぎ。

こんな時間からクエスト受けに来る人は居ないよ………

報告カウンターの方も聞いてる限り犬の散歩代行みたいな簡単な依頼の報告とか、前日の受付終了に間に合わなかった依頼を時間ずらして報告しに来たとかな人だけで人はまばらだし……



「まぁいいにゃ。登録しよ!ゆーくん!!」


「うん。」



ちなみに、町を見てた限り普通に獣人さんも歩いてたからわたしは種族差別を危惧する必要は無いと判断したよ!

ただ、ネコミミで巫女服なのは珍しいからかチラチラと視線は感じたけどにゃ〜


…わたしは中身が元人間で異世界人。

獣人としての基礎知識が不足してるから早々に調べとかないと…

ひとまず、人前では耳や尻尾はゆーくんにしか触らせないとかはしとくべきかにゃ?


ともかく、登録を済ませよう。



「こんにちわ〜♪」


「あら、可愛い巫女ネコちゃんね?

いらっしゃい、ここは冒険者ギルドよ、護衛依頼かしら?」


「違うにゃ〜冒険者登録しに来たのにゃ♪」


「っ…!?」



擬音にするなら

にぱっ~♪

って感じの笑顔で答えたら、受付のお姉さんが顔を赤らめた…もしやこの身体(アバター)の笑顔は破壊力抜群??



「かわっ……こほん。

登録ですね、ではこちらの用紙に記入をおねがいします。」


「はいにゃ♪」


「お連れの方も登録ですか?」


「はい、お願いします。」


「承知しました、では同じくこちらへ記入をお願いします。

字は書けますか?」


「はい、問題ありません。」



……今更だけど、何故か文字を書こうとするとこの世界の文字になるんだよね。

意識したら日本語でも書けるけど。

それに字も読めるし言葉も通じる。

この手の展開でよくある召喚特典なのかもだけど、スキル化もしてないこの現象はいざ自分の身に起こると怖い。

とりあえず今は考えないようにしてるけど。


書き終わった書類を見た受付さんは不備が無いことを確認して処理を進めた。



「はい、ありがとうございました。

最後にこのプレートに血をもらえますか?」


〔定番にゃ…!〕

〔テンプレ来た…!〕


「針はこちらです。浄化魔法にて浄化済みなので安心してお使い下さい。

なお、使い回しはご遠慮下さい。」


「了解にゃ!」



チクッとするのはちょっと怖い……

けど思い切ってえいやっ!



「うにゃ…!」

「っ…!」



プクッと出てきた血をプレートに押し付ける…と、名前が浮かび上がってきた!

え、ナニソレ謎技術。


ゆーくんも同様にやって少し驚いた顔になる。

可愛い…♪



「はい、ありがとうございます。

針はこちらのゴミ箱へお願いします。」


「はい。」


「ゆーくん!指見せて?」


「あ、治癒魔法?じゃあお願い。」



あらら〜そんな無防備に指を差し出しちゃって……そんなのもちろん、こうするでしょ!



「あむっ♡」

「え。」

「ぺろ…れる…んぅ…



指 舐 め !

定番だよね!!

顔を赤くして固まるゆーくん可愛い♡



「ちゅぱっ…治療完了にゃ♡」


「…って!針を分けた意味を無くすなよ芽衣!?」


「ごちそうさまです。

登録はこれで終わりです。どうぞお幸せに♪」

〔あらあらお熱いですねぇ〜♡〕


「生暖かい目ーっ!?」


「はいにゃ〜♪」

(にゃはは〜♪どうせエッチしたら体液取り込んじゃうのに、ウブだにゃ〜ゆーくんは♪)


「芽衣もなに普通に対応してるの!?なに!?僕がおかしいのこれ!?」


「ま〜ま〜♪

わたしとゆーくんは恋人同士、これくらいは普通だから気にしなぁ〜いにゃっ☆」


「絶対普通じゃない…!!」


「はいはい、めーわくだから行くよ〜?

じゃあ受付嬢さん、またにゃ〜♪」


「はい、クエストの受注をお待ちしております♪」



あ、ちなみにこの光景は誰も見てませんでした。

併設されてるって言っても壁ひとつ挟んでるからね、受付カウンター。



「あ…あぅ……

「え…あのひとたち、なにしてるの…?」

「わー♪わたちもあれやったー♪」

「「そういえばそうだった。ケットシーってそんなんだよね。」」



………訂正、たまたま報告に来てた新人君達っぽい子供パーティーには見られちゃったけどにゃ♪てへっ☆

去り際に一声かけとこ。

ケットシーはクール…じゃないけどスーッと去るぜ…………



「にゃふふ♪頑張れ、少年たち!」


「芽衣、君本当に元教育者なの!?」


「うにゃん♪今の芽衣さんは教師の前に1匹のメス猫にゃよ♡」


「ダメだこの猫、早く何とかしないと。」



さて、酒場は今はスルーだねー

ギルドからも出よー



「ケットシーは自由なのにゃ〜ん♪」


「自由過ぎるわこの発情猫…!」


「発情はしてないにゃ。こんな事ゆーくんにしかしないのにゃ。

他の男なら口に指突っ込んできた時点で指を噛みちぎるね。」


「急にスンってなった上に発言が物騒。」



うん?ゆーくんもなかなかに突っ込むね?

突っ込む話してるだけに♪

さて、次はどこに行こうかなぁ〜



「あ、でも透くんと彩人くんは仲間だから例外ね。

そもそもいきなり口に指突っ込んできたりもしないだろうけど。」


「うん、急に人の指を舐める猫はいるけどね??」


「さて、なんの事やら。」



とりあえず本屋とかあったら行ってみようかなぁ〜。



「はぁ……まぁ、いいけどさ、芽衣だし。」


「ゆーくんのそうゆうとこ好きー♪」


「はいはい。」


(まぁ、アレはケットシー的にはマーキングの意味もあったんだけどね。)



さて、他の皆は何をしてるのかにゃ〜………














~一方その頃、透は~














「ほうほう。」



皆と別れたボクは、1人でこの町をぶらついていた。

格好は流石に【分かりやすく忍者】では無く【一般的な町人の服】に着替えてるけどね。

忍ばない忍者とか創作だけにしようね。



「店主殿、こちらのアクセサリーは随分と洒落てますなぁ。」


「おっ?あんた見る目あるなぁ!

それは俺の娘が作った逸品だ!

俺とは方向性が違うが出来はいいぞ!」



手に取ったのは蝶を象った髪飾り、所謂バレッタ、というもの。

このアゲハ蝶、7色のガラス細工がいい塩梅に配置されているし、光を反射して輝く様は角度により印象を変える。

………………。


はぁ、ボクにこれを贈れる様な彼女でも居ればなぁ………


ふと頭をよぎるのは今はもう絶縁状態である幼馴染みだったコミュ障女子と今もまだ交流のある元気っ子なその妹。

あの典型的なラノベヒロインしてる元幼馴染みは前髪で隠れた素顔が可愛い系の美少女で更に巨乳。

趣味はネトゲという本当にどこのラノベヒロインだよって感じの子だった。


妹の方は1つしか歳が違わないのにメスガキっぽい見た目をしていて、その実いい子というこれまた濃いキャラしていた。



誰にでもフレンドリーで陽キャな妹はともかく、陰キャな姉の方は、家族(ボクの両親も含む)を除くと幼馴染みであるボクとだけはマトモに話せていた、だったし恋愛鈍感だけど将来的にはボクと結婚するんじゃないかな、と漠然と思っていたくらいだ。

妹ちゃんもボクになついていたしね。


ただ、それもネトゲのオフ会でネトゲ上では陰キャ姉の夫であるアイツに出会うまでだった。


そこからはトントン拍子だったなぁ……

アイツ以外のギルメン全員が美少女で全員が同じ学校だったとかどこぞのラノベ主人公だよアイツ様は本当に。


それから陰キャ姉はアイツの事を夫、旦那、という扱いをして教室でもベタベタしだし、

巨乳美少女である陰キャ姉にそうされて悪い気はしなかったアイツも積極的に妻扱い。


直 結 厨 同 士 の バ カ ッ プ ル の 完 成 で あ る 。


気心が知れ過ぎている故に明透(あけすけ)な話もする陰キャ姉から『透氏〜!この度わたし!処女卒業しますた♪』とか報告された時は本当に死のうかと思った。

悪意ゼロで無邪気な言い方なのがなおタチが悪い。


……脳破壊発狂自殺を踏みとどまれた要因は2つ。

1つは丁度その直後に狙ったかのようにメイコ先生から

『透、明日のコスプレイベントの事について話がありやがるです、心して聞くがいいですwwwそれでですねぇー』

とかこいつ絶対酔ってるだろ感満載のオタトーク電話が来た事だね。


あ、そうだったね、言ってなかったし佐藤氏も知らない事だけど実はボク、メイコ先生とは日本に居た時からオタ友だった。

それこそ気軽に電話する程度には。

知り合ったのは去年のコスプレイベント。


まだ教師じゃなかった時代のメイコ先生が()()()()()()()アイスたんのコスプレをしていたのが話題になっていて、見に行った時の事だ。


本人も分かっていたからか、完璧なアイスたんコスをしていたレイヤーさんにアテレコする役目をしていた。

“どこぞの蝶ネクタイ付けた少年かな???”

という意味でも話題になってたなぁ……


ちなみにアイスたんコスの(かた)とは初対面だったそうな。

コミュ力ェ………まぁそのコミュ力お化けな先生だったからこそ初対面で『下手くそなアイスたんコスしながらコ○ンやるとかお主コスプレ迷子ですかな!?』と、誰もが思いながらも突っ込まなかった事に思わずツッコミ入れたら『あはは~……コホン…それはわたしが1番よく分かって居やがりますよコノヤロー!名を名乗れプロトセイバー!!』と言ってきた事からの仲だね。


あ、ちなみにボク、その時はこの容姿を活かして某聖杯戦争ゲームのアーサー王の格好してたんだ。

ほぼ服装だけしかこだわってない割に我ながら決まってたなぁ、あれ。



その後、『エクスカリバーやりやがれです!ソシャゲ版アーサーの詠唱付きで!!』とか言われてアナウンスがアイスたんボイスバージョンのエクスカリバーしたのはいい思い出だ。


………それと、こちらが一番の理由なんだけど、2つ目はあの子がいたから、ボクはまだ希望が持てたし立ち直れた。


メイコ先生からのオタ友トークをしている最中、これまた狙ったかのようにあの子が部屋に突撃してきた。

それは、もう1人の幼馴染み、コミュ障姉の妹である元気っ子、桔梗(ききょう)ちゃんだった。



ガチャ!バンッ!


「おにーさん、大丈夫!?」


「桔梗ちゃん!?

あっ、先生、今のは先生もご存知の幼馴染みの桔梗ちゃんですぞ!」


『ん?もしや透のモーソーに出てくるあのヤンデレ妹ですか?眠れないCDでも聞いてやがりますです??』


「ヤンデレてwww桔梗ちゃんは実在する(幼馴染みの)妹ですし違いますぞwww

ゴホンッ。

なにやら話があるようだから切りますな?」


『分かりましたです。

では明日、コスプレイベントで、透。』


「最後までアイスたんするんですな先生!?」



つー…つー……



「ふぅ…それで、どうしたのかな?桔梗ちゃん。」


「うん、おにーさんが部屋に居てよかった…さっき、お姉ちゃんの部屋から処女卒業の報告をしてる声が漏れてたから、もしかしてわざわざおにーさんに話してるんじゃないかって…

おにーさん電話に出ないし…もしかして……死ぬつもりなんじゃないかって心配したよ!!」


「あ……それは心配かけたね、ごめん、桔梗ちゃん。

でもタイミング良く?友達から電話があってね。励まされたよ。」


「そっか……ううん、おにーさんが無事なら良いよ…!!」

〔それにしてもあの姉………ここまで鈍感だとは……〕


「桔梗ちゃん…?」


「あっ、ううん?なんでもないよおにーさん♪

それより〜…ぎゅってしてあげようか?おにーさん♡」


「ん?まぁ、桔梗ちゃんなら何時でも。

かもん桔梗ちゃん!」


「わーい♪」

〔まぁ、鈍感なのはおにーさんも同じだなぁ~………お姉ちゃんが脱落したのは良いけどさ。〕


「…………。」



あの時、実はボク、桔梗ちゃんの温もりにかなり救われた。

下賎な話、桔梗ちゃんもあの姉にしてこの妹在りなご立派なモノをお持ちなのもあって抱きしめ心地は抜群だったし。

無邪気にボクに甘えてくるのも大変尊かった。

年齢も1つしか違わないし桔梗ちゃんルートもアリなんじゃ、とか失恋した直後にそれは失礼だし、とか、頭の中はぐちゃぐちゃだったけど。


それでも、決定的な出来事はその後すぐにあった。



「ねぇおにーさん、わたしがおにーさんの彼女になってあげようか?」


「……ははっ。馬鹿なことを言わないでよ桔梗ちゃん。

姉に振られたから妹と付き合うとかボクがクズみたいじゃないか。」


「でもお姉ちゃんとはそもそも付き合ってないじゃん!

お姉ちゃん、おにーさんからの告白まがいな言葉が届いてなかったし!」


「なんなら直接好きだって言ってもスルーされたね。うん。」



あのコミュ障な姉、ビックリするほど本当に恋愛感情に対してのみ鈍感だったからね。

ボクが同意すると、桔梗ちゃんは我が意を得たりと目を輝かせる。



「ならわたしでいいじゃん♪

ほら、わたしもおっぱい大きいよ?

もちろん透おにーさんの事も大好きだし!!

だからわたしにしよ?ねっ??」


「そんな不誠実なことは出来ないよ、桔梗ちゃん。」


「不誠実なんかじゃないっ!

もうお姉ちゃんは他人の彼女だし、

わたしの方からおにーさんと付き合いたいって言ってるんだよ!?」


「それでも、傷心してるボクに気を使ってそう言ってくれてるだけなんだよね?

いいよ、気を使わなくて。」


「〜っ!!この鈍感馬鹿にぃッ!!もういいよ!!

こうなったら分からせちゃうんだからぁぁぁ〜ーーーー




今にして思えば、変な意地張らずに桔梗ちゃんを彼女にしておけば良かったかも、ね。

けど、そうなると桔梗ちゃんとは日本と異世界とで離れ離れになっていたんだし、やっぱり受け入れなくて正解だったのかも。



と、ボクが考え込んでいたのを店主殿は訝しげに見てきた。

時間にして1、2分。でも悩んでるのは一目瞭然だ。



「どうしたんだい?買わないのかい??」


「うーん…物は素晴らしいので悩ましいですが…小生には送る相手が居ませんからな。

(現状では危険であろう)故郷にはいつ帰れるか分からぬ以上、宝の持ち腐れ故、今回は見送りー

「送る相手?ならここに居るじゃん透おにーさん♡」


「えっ…?その声はーーー















~一方、日本では。~



『先日の連続通り魔事件に関する続報です。

誘拐先から戻ってきた少年による通り魔事件の被害者である、【天原(あまはら) 桔梗(ききょう)】さん(15)の死亡が確認されました。

また、少年は【佐藤(さとう) 優弥(ゆうや)】さん(17)の殺害も仄めかしており、警察では余罪の追求も行っております。

被害者の方のご冥福をお祈りします。』






次回、遂に(?)榊原氏に恋人が!?

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