第9話:西洋風な国の森を抜けたら和風な別の国でした。
ーって!ネトゲでも無いにゃそんな酷いマッピング!?
あの西洋風の国の隣が中華風な国だったりさらにその先が別の西洋風な国だったりするハチャメチャマッピングな某オープンワールドでも和風の国は地続きじゃなく隔離されてて海を越えた先の島国なのにゃ!!」
でも周りには松の木の防風林とか竹林とかなんかあってもうThe日本ッ!!
な感じだし灯篭が並んでるしっ!!
いや、それだとワンチャン中華風な可能性も……
マップ:【日の国】
解説:騎士の代わりに侍と呼ばれる武士が居る、トップが国王陛下では無く天皇陛下、各街や領地を治める者が大名と呼ばれている国。
なお、この国では貴族の事を華族と言う。
補足:芽衣達が居た世界の【日本】で言う【江戸時代~明治初期辺り】の世界観を持った国。
にゃぁぁんっ!!和風の国にゃん!!日本確定にゃんっっ!!
と頭を抱えていたら苦笑いの透くんがわたしの肩にぽん、と手を置いてきた……
「気持ちは分からなくは無いですぞ?
ですがなぁ、ライトノベルだと割とありがちではありますぞ“東の国”的な設定。
地続きなのも珍しくないですしな。
それにですな現に小生はニンジャ、一ノ瀬氏はサムライなんですぞ。
和風な国がある事は予測可能でしょうな~?」
「私には“ねとげ”?とやらはイマイチ分からないが、それでも食材に味噌や醤油があった時点でこの中世辺りの時代感で輸入可能な近距離に日本に相当する国がある事は予測出来ていた。」
「まぁ確かに、ですが、まさか王都からこれだけ近いのはアタシにも予想外でしたわ。」
えっ!?そうゆうものなの!?
と、ビックリ猫な顔をしていると、透くんは苦笑いして頬を掻きながら更に続けた。
「ふむ、顔に出やすいですなメイコ先生は…あ、何となくメイコ先生が勘違いしてそうな事象について、ついでに言っておきますがな?
今回みたいに小生達が1クラス丸ごと異世界召喚される様なライトノベルで、教師は割と巻き込まれてますからな??」
「更に言えば教師が凄い能力を授かってたり、チートな話は、普通にあるよ?
まぁ、芽衣みたいに分かりやすくチート…巻き込まれた教師が聖女でしたってパターンまでは無かったとは思うけれど。」
と、ここでゆーくんも補足してきたにゃ!?
え、もしやわたしの知識、古い??それとも参考作品が偏りすぎ??
と、困惑していると、彩人くんがメガネをクイッとしながら続く…その仕草が様になってる辺り、イケメンって得だよね。
「…地図を頭に叩き込んでいた僕とサクラは『異世界だし気候とかの基準も違うだろうし日本に当たる国が陸続きなのもまぁ、そうゆうものか』ということにしていましたけど。」
「んっ。サクラも知ってたけど言う必要は無いと思ってた。」
「彩人くん、最初に頭固いとか思ったこと謝るにゃ。」
「………?なんの事か分かりませんが…はい。許しますよ。」
めちゃくちゃ柔軟な思考していると言うか地図を見ただけでその結論とか受け入れるのはっやい!!
じゃあなんでわたしが声だけの存在 (のフリ)をしてた時にその柔軟な思考が発揮されなかったのよ!?
とは思うけどネ!
それに、香蓮さんや瑠花ちゃんも判断が早い…!!
え、これわたしがおかしいの??
「ははは……まぁ、僕もこれはちょっとどうかとは思ったよ?
けどまぁ、異世界だしね。うん。
多分、フィクションみたいなこうゆう展開にその都度ツッコミ入れてたらキリが無いよ?」
「うにゃ…でもわたしはこれからもツッコミ入れちゃうかも…?」
「言いたいなら言えばいいんだよ、芽衣。
ツッコミ入れてあわあわしてる芽衣を見れるのも僕は嬉しいから。」
「ゆーくん……分かったにゃ!
芽衣さんこれからもしっかりツッコミ入れるよ!!」
「…なぁ瑠花?」
「ええ、『そこに落ち着くのは違うだろう』、でしょう?
言うだけ無駄ですわあのバカップル。」
あるぇ〜?
なんか瑠花ちゃんと香蓮さんが辛辣だにゃ!?
「そうだな、無駄話してないでさっさと行こうか?先生。」
「やっぱり香蓮さん、わたしの扱い雑になってない?」
「そう思うならもう少ししっかりしてくれ、先生。」
「にゃ……
「まぁまぁ、別に立ち止まってはいないからさ。」
うん、実際歩きながら話してるし適宜皆それぞれが魔物を警戒しながらではあるよ。
ただ単に喋ってる訳じゃない………
というか、わたしは一応聖女として皆に防護魔法はかけてるし………
「芽衣さん頑張ってるのににゃぁ…
「それは理解しているぞ、柏木先生。」
そう言いながら香蓮さんが頭をぽんぽんしてくれた…!
今のわたし、身長が多分150cm台だから、170cm超えな香蓮さんはわたしの頭が撫でやすいのかな??
「イケ女ン…だにゃぁ…
「フフッ…ありがとう柏木先生、褒め言葉として受け取っておくよ。
だが知っての通り私は女だぞ。」
「違いますわ、先生は香蓮の行動や性格の事を言ってますのよ。」
「…なるほど?まぁ私は意図して男のつもりで振舞っているからな、そうゆうことなのだろう。」
「…くっ!理解して無さそうな香蓮もイイですわね…!!」
「分かるにゃ、瑠花ちゃん。」
なんか悔しそうな顔で握り拳しちゃってる瑠花ちゃん可愛いなぁ〜♪
なぁんて、ニコニコしながら見てたらゆーくんがなんかため息ついてるよ??
「…まぁ、女の子相手だから許すけど、あまり他の人にデレないでほしいな……
「嫉妬乙、ですぞ佐藤氏。
まぁ、一ノ瀬氏は見た目もさることながら、中身もイケメンですからなぁ…
いわゆる“雄んなの子”、というやつですな。」
「それは褒めているのか?榊原。」
「もちろん褒め言葉ですぞ!」
(萌え属性的な意味では)
「はぁ……疲れますわ……
「大丈夫?もふもふする??」
「……疲れる原因が何言いますの?」
「よしよし…。」
「か、香蓮はそんな優しい顔で頭を撫でないでくださいまし!?」
あら〜
香蓮さん、頭撫でるの好きね?
あ…サクラちゃんがなんだか羨ましそうに見てるわ…?
そのままクイクイっと彩人くんの服の袖を引っ張って…って…かわわっ…!?
「んっ。彩人、サクラも。」
「はい。」
「んっ…♪」
わぁ〜……普段は無表情美少女なサクラちゃんがとろけ顔に……尊い。
黒髪ショートで眠たげな青い瞳とかアニメキャラかな?って色彩だけど、それがまたイイッ…!
対する彩人くんはクール系生真面目キャラッ!って感じなのにサクラちゃんを撫でる時は優しい顔になるのずるい。尊い。
黒髪の短髪に吊り目な黒い瞳、アンダーフレームの黒縁メガネがもう本当にこってこてのThe生真面目キャラッ!
だけど彼の性格に似合ってるのがまた……
「…ははっ…コイツらすぐイチャつきますな…!独り身には毒だと言うに!!」
なんて内心悶えていたら透くんが悔しそうに苦笑いをして握り拳をして悪態をつく…なんかごめんにゃ…?
「『…透、大丈夫?もふもふしやがります??』」
「メイコ先生…アイスたんやるのに躊躇が無くなってきましたな?」
「……………。」(ジーッ)
「ですが佐藤氏が怖いのでご遠慮しますぞ?」
「こらっ!ゆーくん!?」
「はぁ……残ったメンバー全員恋愛脳な……バカ軍団ですの………?」
「彼女が居ない小生は違いますよな!?」
「……どうせ、2次元に嫁が居るんでしょう?オタクさん??」
「失敬な!
我々の言う嫁とは崇拝するもの!言わば推しッ!!それ即ち恋をするものではございませぬぞッ!?」
「…なぁ榊原、お前、嫁って単語の意味知ってるか?」
「恐らく同じ日本語でも違う言語ですわ香蓮。」
「???」
「くっ…!顔がいいッ…!」
「…薄々感じてましたが、さてはお主もオタクですな?音無氏。
しかもガチ恋勢型の。」
「違いますわ!」
「はっはっは。
しかしですな音無氏。
黒髪ロングで清楚系美人なんて大和撫子な見た目のお嬢様口調な美少女とかキャラ狙いすぎですぞ?
まぁ、一ノ瀬氏も黒髪ポニテで切れ長の目をした男口調のクール系イケ女ンとかキャラが濃いですがな。」
「きゃら…?私のも瑠花のも素なのだが??」
「そうですわよ!!そも、アタシも香蓮も最初は女子校に行くはずでしたのよ!?
家の方針でこちらに来ただけですわ!!」
「ふはっwww小生が言えた立場ではござらんが、本当にここに居る面子はキャラが濃い!!」
「あはは〜♪1番濃いキャラしてる奴が抜かしおる〜☆
そうゆう透くんこそ見た目が西洋人な金髪碧眼で温和な顔立ちの王子様系なイケメンなのにその口調……十分キャラ濃いわよね??」
「はっはっはっ…小生、こうしてるのもその“顔”のせいですからな!!
見た目だけで寄ってくるヤツ程度はこの口調で引きます故!!」
「…。
それでガチオタしてたら対策もなにも無いし、非モテになるだけじゃないかしら…
「薄々分かってましたぞ!!
実際、小生はモテませぬ!!
幼馴染みやメイコ先生以外の女性とこうして雑談に興じるのはこの世界に来てからですな!!」
「その割には物怖じしないのね…?」
「音無氏はともかく、一ノ瀬氏に関してはほぼ男ですからな!」
「は?貴方香蓮をバカにしてますの!?」
「さっきも言ったが私も意図してそう振舞っているから男だと思ってもらえるのは光栄だな。
だが私は女だぞ。」
「えっ?」
〔男のつもりでしたの?その胸で。〕
「えっ?」
〔どちらかと言えば私は某男装歌劇団の様なつもりで話していたのだが?〕
滅茶苦茶キャラ濃いわね香蓮さん!?
ただ、香蓮さんがそう振舞っていたにしてもDランク胸部装甲をしてるのに女の子相手だと意識しない透くんもある意味大物だわ………
「コホン…透くん?彼女欲しかったら努力しなさい?
主にデリカシーとかそこら辺。」
「はっはっはっ……小生、女子であれば誰でも良い訳ではありませぬぞ!!」
〔…本当のボクを見てくれて、ありのままを受け止めてくれる人じゃないと…ね。
まぁ、それでも幼馴染みは…〕
うん、透くんは透くんで闇が深そうだにゃ!!(しっぽの毛がブワッとなりながら)
「あ、まちが見えてきた。」
「その様ですね。皆さん!
もうすぐ街です!気を引き締めて下さい!!」
「うにゃっ!?
先生より先生してるのにゃ彩人くんっ!!」
「そう思うならもう少ししっかりなさいな!めいちゃん先生!?」
「うにゃ…返す言葉もないにゃ……
さぁ、異世界和風国、その街に来訪にゃ!!




