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それから毎日、僕たち二人は昼休みの屋上で同じことを繰り返していた。
特別に会話するわけでもなく、二人で飯を食べた後、どちらともなく口づけをする。
俺はだんだん、千川の声にまで欲情するようになってしまい、うまく顔を見ることができなくなっていた。
「ふぁ、んっ……」
(千川の声エロい……こいつ毎日甘さが増してる気がする)
昼休みの屋上とは思えない水音と吐息が充満している。
終わりを告げるチャイムでいつも通りさっと立ち上がる千川の制服を、思わず掴んでしまった。
「ん?どうした?」
自分でも意識してない行動に驚いたが、いつも食べさせてもらっているお礼くらい言おう。
「あ……ぁりがと」
そう小さく呟いて恥ずかしくなった僕は、慌てて屋上を後にした。
その姿をびっくりした表情で見送る千川は思わず吹き出し「かっわいっ」と笑顔をこぼしていた。