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#08 哀れな行動サンタクロース
ずっと一緒だった。
すがすがしい朝も。
雨上がりの昼も。
星降る夜も。
一緒に行動して。
一緒に笑いあって。
「本番は緊張するね」
「うん。でも、すごく楽しみだよ」
「子供たちの笑った顔、楽しみだね」
仲良く年末を迎えた。
はずだった。
いくら探してもいない。
どこにもいない。
トナカイたちは、天を見上げた。
「裏切られたか」
「そうかもね」
「今は、トナカイの時代ではないからね」
「アンドロイドの時代だからね」
「うん。そういう噂はあったけどね」
「うん」
「僕らのカタチは、残してくれているらしいけどね」
「僕らのカタチした、アンドロイドってこと?」
「うん」
「へえ、そうなんだ」
遠くの夜空で光っている、サンタらしき輝きを見る。
そして、みんな一斉に、ため息をついた。