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#04 タダ弁当のサンタクロース
お腹がすいた。
補助金は出ている。
でも奮発しすぎた。
プレゼントを豪華にしすぎた。
今年も残り僅かだ。
耐えられるかな。
他のサンタさんは、どうか知らない。
でも私たちは、ほぼ自腹でやっている。
辛いときもある。
でも、幸せな沢山の笑顔に会えるから。
こちらも幸せになれるから。
それでいい。
電話をした。
今から届けるお宅に。
母親だった。
「今からサンタがいきます」
「はい、お願いします」
事前電話を入れている。
住居侵入にならないように。
トラブルは好きじゃないから。
家にお邪魔した。
今は、小さい子供のいる部屋にいる。
近づいて、枕元にプレゼントを置こうとした。
そこには、手紙らしきものと、もうひとつ。
シンプルな銀色の、お弁当箱があった。
『サンタさんへ ママと一緒につくったの 食べてね ユイより』
音をたてないように、プレゼントと引き換えに、お弁当箱を手に取った。
「メリークリスマス」
そう言って、立ち去った。
ソリ内に戻り、そこですぐに弁当を頬張った。
やさしい味がした。