第2章:初仕事
魔法学校卒業翌日セージがシードの家へやってきた。
「シード〜、ねね、今からいろんな魔法を探しにいかない?」
「へ?それってどうやるの?」
「昨日お父さんが教えてくれたんだけど、酒場にいって募集している仕事をこなせば
報酬として魔法の契約をさせてくれるんだって。お金もくれるらしいよ。」
「おぉ!!したいしたい!!でも、見習い同然の僕らでできるかな?」
「協力してやればきっとできるよ。無理だったらキャンセルでいいらしいから。」
「よーし、いってみよ。」
シード達はさっそく酒場へ向かった。
今までは親同伴でしか入れなかった酒場だが魔法学校卒業の証である指輪をつけていれば
入店することができた。
店内は今日も賑わっていた。
「あら?シードじゃない」キャラウェイが声を掛けてくれた。
「あ、キャラウェイさんこんにちは〜、見て見て僕試験合格したよ。」
シードはにっこり笑いながら指輪をキャラウェイへ見せた。
「ふふふ、おめでとう。今日は何をしに酒場へ?。」
「うん、今日はこっちのセージと一緒に使える魔法増やそうと思って。」
「あぁ、仕事受けに来たのね。」そういうとキャラウェイは2人を見てしばし考えた。
「初めからあまり厳しい仕事を受けるんじゃないよ?それと無理だったらキャンセル。」
「うん。」「はーい」2人は元気よく返事をした。
「何か不安ね・・。仕事募集の掲示板は店の出入り口横に立ってるわよ。」
「掲示板が3つあると思うけど左から右へ難易度わけしてあるのよ。」
「難易度が高いほうが当然報酬もいいってわけだね。」
「報酬に関しては仕事事に書いてあるから、ほしいものか確認してから受けるといいわ」
「うん、わかった。ありがとう。」2人はそう言うと掲示板まで行き仕事を探しだした。
・・・・・・
一番左の掲示板は魔物収集系、真ん中の掲示板は商品の配達、右の掲示板は討伐・退治に
主に分かれていた。
「うーん。いっぱいあるね。」シードがそう言って悩んでいると横のセージが目を輝かせて
「シード!!これ見て」といい、真ん中の掲示板のある仕事を指した。
「となり街のムスムリへ商品のお届け。」依頼者:武器屋カルダモン
報酬:魔法契約(火・水・土のどれか一つのlv2)
「おぉ、これほしいね〜・・でも、マムルークいったことないよ?。」
「地図ならもってるわ。2人でいけば大丈夫よ。」
そういうと2人はさっそくその仕事を受けにいった。
依頼品を受け取り、マムルークへ出発しようとした時だった。
「セージ?」声を掛けて来たのはセージの友達のアリミノだった。
杖を持ち出かけるように見えた。
「アリミノ〜あれ?アリミノも街でるの?」
「セージ達も?どこいくの?」
「うん。これからシードと、マムルークまで仕事で出かけるの。」
「マムルーク!!やった私も一緒だよ。よかったら一緒いかない?。」
「わぁ、んじゃ一緒行こう。いいよね?シード。」シードはにっこりうなずいた。
こうして3人のパーティとしてマムルークへ向け出発した。
・・・・・・
地図をみると、マムルークへは森を2つ抜けた先の山のふもとに位置していた。
街をでた最初の森を進んでいると
「ファ・ファイア」と声が聞こえてきた。
「あれってタデの声のような。」シードがつぶやくと間もなく
タデが魔物に追われながら魔法を唱えていたのが見えた。
「あぶないよ助けよう。」セージはそう言うと杖を構えた。
「あれ?でも、あれって・・ぴょんぴょん飛んでるけど魔物?」シードが戸惑っていると
「あれは魔物と言ってもただのスライムよ。あいつ何やってるのかしら。」とアリミノが言い
「アクア」と素早く唱えた。
「ボシュッ」水球がタデを襲うスライムへ命中した。
やっつけたというよりは地面へ解けた感じだった。
「あ、あ・・」とタデは尻もちをつきながら周囲を見回しシード達3人を見つけた。
「シード〜〜助かったよありがとーー。」
タデはかなり逃げ回ったのかドロドロになっていた。
「タデ君、君ねスライムはかなり低いレベルの魔物よ?何やってんのよ。」
「あれにファイアなんか効果低いよ。もぅ、一人で森はまだ早いんじゃない?」
アリミノが冷たく問い詰めた。
「うっ、アリミノか・・・お前もいたのか・・・相変わらずきつい奴だな
まぁ助かったよ、ありがと。」タデはバツが悪そうだった。
「ところでみんなでどこ行ってるの?」
「僕達マムルークへ向かっているんだよ。僕とセージはお使いの仕事。」
「私は、マムルークへ仲間探しに向かうとこ。」アリミノが答えると
「おぉ、あのさこの森抜けた次の森にハーピーがいるんだけど、ついででいいから
見かけたら羽を取るの手伝ってくれない?」タデがそう言うと
アリミノはおでこに手をあて呆れた顔をした。
「あんたね・・・魔法使いがどうやって羽集めるのよ?」
「そういう収集する時は前衛できる仲間と一緒にしないと・・。」
「うぅ、やっぱりそうなのか・・。実はさっきから失敗してて、スライムで練習しようと
したら、スライムに怒られちゃって・・、へへ」タデは頭をかきながら答えた。
「ま、まぁここで会ったのもなにかの縁だし、とりあえず次の森まで一緒行く?」
「うぁ、ありがとー」タデがパーティに加わった。
「魔法使い4人のパーティってありえないんですけど」とアリミノが呆れていた。
「4人だと目立つからハーピー出てきそうだねー。」
「まぁ出てきても羽取る方法はないよ。攻撃受ける前にみんなでやっつけちゃお」
タデはあきらめきれないのかしゅんとしながらもついてきていた。
その後一つ目の森を順調に進み、2つ目の森に入ってすぐの時だった。
ハーピーが木の下でえさを食べていた。
「あ、ハーピーだよ。ほらあれ。まだこっち気づいてない。」
タデが目を輝かせてみんなに話しかけた。
「だーかーらー。羽を取る方法ないんだからしょうがないでしょ。」とアリミノが言うと
「あれ?なんかあのハーピーすごくいろんなとこ焦げてない?」とセージが言った。
「実は何回かあのハーピーにチャレンジしたんだけどだめでねー。」
「なんてひどい奴だ・・・。」とアリミノが呆れた時だった。
「あの・・・。ちゃんと援護してくれるのなら取ってこよっか?」とシードが言った。
「おぉ、シード〜〜まってました。ありがと!!頼むよー」タデはとびはねて喜んだ。
「ちぇ、やっぱりタデそのつもりだったのか。みんな援護してね。」と言うと
一人ハーピーの方へ向かった。
「あ、ちょっと」とアリミノが止めようとしたが
セージが「シードなら大丈夫だよ〜。」と止めるのを遮った。
「どうやって羽取る気よ。絶対無理よ。」アリミノが呆れながら援護の為杖を構えると
シードは「トランス」と唱えた。
「!!消えた・・・」アリミノがびっくりしていると。
「シードが羽取ったらみんなで援護ね。」とセージが声を掛けた。
しばらくするとハーピーの片方の羽が引っ張られているのがわかった・・・が
全然抜けてないのが見えた。
というかハーピーが片方の羽を引っ張られ怒りだしてしまった。
「うぁ、シードあぶないかな。」タデがそう言った時だった。
「ファイア」とシードの声がし、ハーピーの体が少し横へ跳んだ。
「ブチブチッ」とハーピーの羽が取れる音がし、途端にハーピーが周囲を攻撃しはじめた。
「いまだ。」
「ファイア」3人同時に唱えていた。
「キェーー」ハーピーは甲高い声を上げながら森の奥へ逃げて行った。
「はぁはぁ、やったねー。」シードは羽を握りしめみんなのところへ戻ってきた。
シードの握りしめた羽を見て「ちょ・・・それは・・羽取りすぎだよ。」と3人はあきれた。
「だって、みんないるだろうと思って。はぃ1本づつね。」
そう言うとみんなに羽を一本づつ渡した。
「ねぇ、さっきのあの魔法なに?」アリミノが興味深々に聞いてきた。
「あれは、トランスって魔法で消える魔法だよ。ただね、ほんとに消えるだけだよ。」
「その魔法いいなー。私も覚えたい。どこで覚えられるの?」
「えっとね。旅してたら手に入れられるってお父さんが言ってた。
それ以上はよくわかんない。」
「う。あんたはなんでわかんないのに使えるのよ。」アリミノが聞くと
「うん。なんでもこの魔法だけ僕は契約しなくても使えるんだって教えてくれたの。」
「うーん。いいなーー」アリミノがそうつぶやくと
「そうかなー。僕はみんなみたいに魔法を飛ばせるのにあこがれるけどなー。」と
シードもつぶやいた。
その横でタデは羽を持ちはしゃいでいた。
「あ、タデはこの後どうするの?」
「うん?さっそく街に帰ってこの羽渡して報酬もらってくるよ。」
「へー、ところで報酬は何なの?」
「装備品だよいろんなのがあったからみんなも街帰ったらその仕事受けるといいよ」
「んじゃ、みんなありがとね。さっそく帰りまーす。」
「じゃぁ、タデ気をつけて帰りなよー。」
シード達はまた、3人のパーティになり森の奥へ進んでいった。




