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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第5章】勇者不在の一千年間
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Ep.77 真・暗黒戦争~掃討戦~

三話目

「戦闘中の全兵士、騎士たちに告ぐ。緊急時なため、ある程度の地形、建造物破壊は許可する。遠慮はいらない、全力を出せ」


アルティオの命令が共有を使用した魔法通話でラーテル王国全土に伝えられた。


「なんだ、いいのか」


そう言うのはオルウェルだ。一人、アルティオから任された地域の魔物の討伐を行っているが、それなりに困っていた。


そもそもの話、オルウェルの能力である『権能;座標』は支援が得意な能力である。つまり支援が得意ということは、攻撃面は期待できないということである。


そう、ミューカやマーヤのような馬鹿みたいな火力もなければ、アルティオやナツトのような常軌を逸した魔力量もないのだ。


とはいえ火力面は、魔法や剣等でカバーすることになるのだが、一対多の戦闘はオルウェルの能力からすれば、得意とは言えず寧ろ苦手と言える部類である。


「ったく、もっと早く言えって。回りくどいことしなくて済んだのに」


オルウェルはここまで地形破壊をしないように気を付けていたのだ。基本的に「座標」を用いて魔物の位置をすべて把握し、とりあえず近くにいるものから順に上空に強制的に転移させ、自由落下により転落させていた。弱い魔物はこれだけで倒せるし、残った魔物は魔法で倒せばいい。


しかし、自由落下の時点は楽でいいのだが、その各個討伐討伐は面倒なことこの上ない。


実際、自由落下で倒せる魔物の方が少なく、地味に困っていた。現に少しずつ後退していっている。倒しているのだが、減っている気があまりしない。


そんな時に、アルティオからの地形破壊許可の知らせだ。


と、言うことはだ。


「クォルデン、いる?」


「はい、ここに」


「よしよし、流石アルティオ。わかってるな」


クォルデンはアルティオ直属の精鋭部隊“色”の一人だ。能力を有しており、それが火力が足りないオルウェルを補完するのにとても相性がいいのだ。


「じゃあ、まとめて終わらせるか。合わせろ」


「畏まりました」


オルウェルは近くに迫っていた魔物の集団を再度後方へ転移させる。それにより生まれた時間を用いてオルウェルは完全詠唱した魔法を準備する。


戦闘中、魔法は基本的に詠唱して放つのは困難である。それも上位の魔法になればなるほど。そのため、無詠唱魔法の技術は魔術師にとっては必須スキルと言えるのだが、オルウェルの能力はその詠唱時間を稼ぐにはうってつけの能力であった。


右手に勇者パーティで御馴染みの「獄炎(インフェルノ)」を。左手には土魔法の最上位魔法である「大地(テラ)」を。

これら二つを複合する。


溶岩のような赤く光る塊が生成される。大きさはせいぜいサッカーボールぐらいだ。


名前を付けるとしたら、そうだな「噴獄隕星(フォートグラ)」としようか。


質量付与(アドマス)


ここでクォルデンの能力『権能;質量』で、魔法…いや魔素に任意の質量というものを疑似的に与える。これにより、実際にその影響をほとんど受けていない魔素に重力という力の影響を与えることができるようになる。


これを遥か上空へと転移させる。


後のやることは少ない。残った魔物たちを一か所に点させればいい。そう、落下地点の真下に。

自身が放った魔法であるため、落下地点の微調整等は比較的簡単に行る。万一にも風に流されてどこか別のとこに落ちました、なんてことはない。


「下がるぞ、巻き込まれる」


「はっ」


少しして、放った魔法が落ちてくる。僅かサッカーボール程度の大きさだというのにその破壊力は魔物たちを倒すのには十分であった。魔法であるため、落下してから爆発するようにされていたため、寧ろオーバーキルしたともいえるが。


「オルウェル様、やりすぎでは?」


大きなクレーターが出来上がり、周辺の木々もかなり吹き飛ばされている。その惨状からその威力を推し量ることができる。近くに居住区がなくて本当によかったと誰が見てもそう思うだろう。


「これでも抑えた!これ以上大きくしたら、本気でヤバくなるからな!」


「当たり前ですよ」


「いいんだよ。許可を出したのはアルティオだし。他のところはもっとやらかしてるかもしれないし」


「ええ…そんな適当な」









マーヤの戦闘は早かった。


マーヤの任された場所が木々の少ない草原であったのも、彼女が魔物に集中できた要因と言えるだろう。


彼女が剣を手にし、その攻撃範囲を延長し、横に振るだけで間合いに入った魔物たちは切り刻まれていく。だが、こちらも他と同様、切り刻むだけでは死なない個体がいる。


やはり、完全に消滅する必要がある。


そこで彼女は方法を変えた。


剣の攻撃延長範囲を縦だけでなく、横にも延長したのだ。


相変わらず剣だけ見ると、細いレイピアのような形状で一体一体相手するだけで精一杯なように見える。

しかし、実際は縦にも横にも攻撃範囲が延長された、超絶広範囲となっている。

つまり彼女は何千メートルにも及ぶ体験を手に持っていると言っても過言ではない。


最早、そこまで延長したら斬っているのかどうか怪しくなってくるが、この延長された攻撃は彼女の魔力を帯びているので、当たれば無事では済まないことは確かである。


「えい」


実にそっけない言葉と共に剣が左から右へと薙ぎ払われる。


その光景だけ見れば可愛らしいのだが、彼女の目の前で起きていることと一緒に見るとそう思えなくなってしまう。


彼女が剣を薙ぎ払った所から前は数キロメートル先まで地面が異常に十メートルほど抉られており、そこにいたはずの魔物は跡形もなく、いなくなっていた。


後は、上空に残った魔物を叩き落として終わりであった。


味方がいないからこその戦闘方法。


能力がステージ2へと至って最もその影響力の飛躍を見せているマーヤだが、微調整はまだまだ不完全。この場で思い切り試すことができたのは僥倖であったと言えるだろう。


仲間がいたら全力は出せない。そういう訳で当面の彼女の目標は仲間がいるところでも全力で能力を使えるようになる、である。


「手空いたし、別のところのサポートに行かないとね」


武器をしまったマーヤは戦闘が激しい騎士たちの場所へ向かったのだった。









ミューカの向かった場所は、一番魔物の強さの平均が高いところであった。


と言っても、彼女には大して問題ではない。


オルウェルとは異なり、一対多は彼女の得意とする分野なのだ。

よって、ただ向かってくるだけの魔物に対して強さなど大した問題ではないのだ。ただ、向かってくる彼らに対して魔法を準備しておいてあげるだけで済むのだから。


ミューカは静かに自身の魔力を周囲に解き放った。濃密な魔力が周辺を満たし、それだけで弱い者はそれに圧されて動けなくなることだろう。


「凝縮」


放出された魔力が一定間隔ごとで分けられ、一点に集まる。それらは長い棒状のものを形取った。


それらは上空へと打ち上げられ、四方八方に散らばる。


そのままの勢いで地面に打ち付けられ、まさに杭といった感じである。


ミューカが小さく呟く。


瞬間杭が黄色く輝きだし、先端から発せられた光がすべての杭同士を繋ぎ合わせた。

勿論それは魔物の群れを囲んでいた。


「規模が大きいので少し広範囲ですが、いいでしょう」


ミューカの手にはいつの間にかハンドガンサイズの銃が握られていた。

「ラーテル」という国の名を背負ったその銃は、ラーテル王国で作られた銃の第一号のものである。ミューカの魔法化時でかつ能力を使用することを前提に作られたもので、常人には使いこなせない代物である。


弾は、魔法で作ったものを使用するため、魔力が尽きない限り永遠に撃つことが可能である。


「魔法複合」


弾は、今複合して準備した光魔法を素に作る。

光魔法は魔物にはかなり有効であり、いわば弱点ともいえる。また、光魔法を使用することで、弾に更なる貫通力を与える。

そして、同時に能力『権能;連射』を使う。アルティオの『権能;連撃』とかなり似ているが、それぞれが魔素に与える影響はかなり違う。

アルティオのものは、与えた衝撃を連続して対象に与えるのに対し、こちらは自身が放った魔法と同じものを魔力が続く限り連続で放つことができるというものである。


メリットは、同じ魔法をわざわざ準備する必要がないことと、連射する元となる魔法によっては同じ数だけ用意するのに必要な魔力量より少なくて済むことがあることだ。なお連射速度は、込める魔力の速度に依存する。


「|数千もの(サウザンズ・オブ・)銃弾(バレット)


僅か十秒程度の間に放たれる、文字通り千を超える数の銃弾。ミューカはそれを十回繰り返した。つまりは、万を超える弾が放たれたのだ。

そしてそれらは結界の壁に当たると反射する。そう、結界の効果として与えたのは結界内のミューカの魔法の反射である。

結界内で乱雑に反射し、飛び交う銃弾。残るのは光の残光である。


魔法であるため、込められた魔力が消費されると勝手に消え去る。

言うまでもなく結界内には魔物は残っていなかった。


「超小型にしたとはいえ、それなりに魔力喰うわね。当たり前だけど。でも、まさかこれでも耐えてくれるなんて、優秀な武器ね、やっぱり」


自分でも相当無茶をしたと感じるのに、それに耐える自身の銃を大いに褒めるミューカであった。





これで大量に発生した地点の魔物の群れの掃討はほとんど終了した。残すは、騎士たちが国民を守りながら戦っている場所がほとんどである。


ラーテル王国は、これ以上新たに魔物の群れが発生しないのであれば、収束の目途を立てることができていた。




まだまだ序盤ですがインフレが進みつつあるということは、そう言うことです(何が)。

それはさておき大体四千字。まぁ、いいでしょう。いつもは二千五百だけどちょっと多いぐらいでしょう。


なかなかヤバイ人達が暴れてましたね。若干一名、専用の武器が出ませんでしたが、出番がなかったということで。


そういえば、「魔素」とか「能力」に焦点が当たってますが、魔素は魔法の素でそこいらにあって、能力が一部の者が持っているやつ的な感じで今はオッケーです。

まとめ①か②に書いた気もしますが、あれは、あくまで千年前の人々の捉え方というニュアンスで一部書かれているものなので、実は間違っているかも…。


なんと、じゃあ書くなよ、とか言われそうだけど、正しいこと書いたらこれからのお話の前提が壊れちゃうので笑

まぁ、概ね正しいので悪しからず。


ついでにこれから先の話が出たので少し。

実は、先の展開でどういう形で投稿しようかと悩んでいる部分があるんですよね。案は三つあるんですが、物語を二分すると言っても過言ではないんですねぇ…。

ま、少なくとも三章は先の話ですが笑

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