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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第5章】勇者不在の一千年間
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Ep.75 真・暗黒戦争~狂乱~

今度こそ、ちゃんと三話更新!暴れますよぉ!

本当の原因は千年経った今でも不明だ。


真の暗黒戦争は、魔王討伐後に発生した。


暗黒戦争の真の敵は魔王たち魔族との戦いではない。この戦争は、人と魔物の戦争である。


とは言っても魔物たちが世界を壊そうと一致団結したなど想像し得ないことであるが、この戦争に限っては魔物たちにそのような意志があったと言われても否定できない。


局所的ではなく、世界全土で魔物の大発生、後に「魔の狂乱(スタンピード)」と呼ばれる現象が発生した。


その勢いは魔王のそれを遥かに凌ぎ、国力が整っていない国は形容でもなくあっという間に踏み潰され、その姿を以後の歴史から消した。


いや、国力が整っている国も滅んだから、一概にそうは言えないのかもしれない。


ただ、一つ言えることは、ラーテル王国は主大陸の同盟国に何かを行う暇もなく、それらが踏み潰され、地図から消えたと言うことだろう。






話は、二代目勇者が魔王を討伐してから三ヶ月が経ったところから始まる。


最初にその「狂乱」が発生したのは、主大陸の西の方に位置する小国だった。


発生してから僅か三日で、その国は滅んだ。その様子を世界に伝えたその小国の隣国は、目視で十万以上の魔物を確認したと言う。


また、その魔物の群はそのままの勢いでそのまま隣の国へ侵攻している。


この魔物に国が滅ぼされると言う前代未聞の事件に、各国間ですぐに魔法通話による緊急会談が行われた。


しかし、その緊急会談中に更に事態が急変した。


同様の規模の魔物の大群が世界各地で発生。それぞれが、統一意識を持っているかのように人類の国へと侵攻を開始した。


会談はやむを得ず中止。まともな方針も定まらぬまま、人類と魔物の戦いの火蓋が切られた。





主大陸に位置しないラーテル王国も例外ではなかった。


ラーテル王国内の複数箇所にて次々と魔物の大発生が起き、都市部へ向けて進行が開始された。


それぞれが、数万の規模であるため、総数はとても数え切れるものではない。少なくとも、他国より遥かに対応しなければならない数が多いと言うことは確かだ。


アルティオはすぐに全国へ支持を下す。まず各都市に在中する騎士団の一部を国民をラーテル王国が誇る四つの大都市であるリコア、トレーカス、ブエムンドラ、キュリオウラに誘導、そして護衛の任を与える。任務伝達後、すぐにかく都市に設置した魔物の侵入を拒む結界魔法をフルパワーで展開する予定だ。


そして、残りの騎士団員に魔物討伐隊の編成を行わせ、魔物が発生した地点に近い村、町から最優先で向かわせる。また騎士団とは別に新たに作った特殊救護隊に、生存者がいれば救助するよう命じた。


近くに居住区がない地点で発生した魔物は、三勇のマーヤとオルウェルをそれぞれ向かわせる。二人には一人で相当数討伐してもらうことになるため、かなり負担をかけてしまう。




だが、これでも足りない。


やはり、私も出るべきか…、そうアルティオが考えていた時であった。


「私も出るわ」


「ミューカ!?いや、でも君は今は安静にしてほしいのだが…」


「大丈夫よ。それに国の一大事に私だけ休んでいるなんて許せないわ。私だって、英雄の一人なんですもの」


その言葉を聞いて、ハッとするアルティオ。


そうだ、何を迷う必要があったんだ。己の思う最善をただ行えばいいじゃないか。


「ミューカ、君はリコアから南西地区三十キロに発生した魔物を掃討してくれ。北東地区は私が潰す」


「わかったわ」


ミューカはすぐに転移魔法で戦闘に向かった。


「さて、“色”に告ぐ。お前たちは事前に伝えた通りのことをやれ。変更はない」


「色」とは、簡単に言うと国王直属精鋭部隊のことである。その正体はアルティオやミューカといったほんの一部の者しか知らない集団である。


戦闘前の命令は一先ず済んだ。


さて、自身も戦闘を始めるか、とアルティオが考えたときだ。執事であるフィーディースから知らせが入った。


「アルティオ様」


「なんだ、フィーディース。今、変更はないと伝えたはずだが?」


「いえ、ギル陛下より魔法通話です」


ギル陛下とは、アルティオの父親に当たるサタナル王国の王である。もうじき王の座をアルティオの弟のティート王子に明け渡す予定だ。


「…そうか、こちらに繋げ」


一瞬考えたアルティオだったが、聞くことにした。


「アルティオです。申し訳ないが、たとえギル陛下といえども緊急時なので手短に願いたい」


「すまない。そちらの安否確認をしたくてな。連絡がなかなかつかなくて心配だったのだ。父親としてな」


「…父上…心配かけました。ですが、こちらは大丈夫です。心配無用です」


「そうか、それを聞いて安心した。ああ、こちらも全員無事だ。他国より侵攻してくる魔物の数が多くないようだ。兵士たちもよく動いてくれている」


「そうですか」


「すまなかった、時間を取った。健闘を祈る、アルティオ」


「有難うございます、父上こそご無事で」


「言われるまでもないわ」


魔法通話はここで終わった。

その瞬間、アルティオの顔が親と向き合うこの顔から、一国の王の顔へ戻る。


さて、野暮用も済んだので戦闘に向かうわけだが、アルティオは総司令官であるため、直接戦場に赴いてのんびり魔物を討伐している時間はない。常に全体を俯瞰して臨機応変に命令を下す必要がある。


では、どうするか。


新たに新調した武器を使うのだ。


鳳剣ゼニオ。鍔に不死鳥の姿が掘られた特殊な魔法陣を組み込んだ剣である。

これに魔力を通すことで、任意で魔素と魔力で構成された鳥を形作ることができる。


これらの鳥のサイズ、数共に調整可能である。


アルティオはこれを用いて、まず十羽、翼を広げたら成人男性以上の大きさになりそうなほど大きく立派な鳥を作った。


アルティオはこれら一羽ずつと「共有」を行い、それぞれ独立して操作できるようにした。


そして、自身も魔法化の魔法を使い、体を魔素体へ移行する。

これにより、魔法伝達能力、演算等の処理能力が飛躍的に上昇する。


準備は整った。

直ちにこれら十羽の鳥を戦地へと転移させる。


処理能力が上がっている今は、十羽の鳥の視覚情報はもちろん、国全体の状況も同時に認識し把握することができている。


とはいえ、かなりの魔力を使用する状態であるため、戦闘自体は出来るだけ手短に済ませたいところだ。


十羽の鳥がそれぞれ配置に着き、同時に魔物の群れの数、位置の把握も済む。

数はおよそ三万。他の魔物の群れと比較するとそれなりにいる、といったぐらいだろう。


他の戦場でも戦闘が開始されている。


では、こちらも戦闘開始と行こうか。


サタナル王、出番あったねぇ…。一章のときに多分もうないかもって言ったけど、あったねぇ…。よかったね。


キリがいいからここで切っちゃいましたが、残り二話は少し長くするかもしれません。


そういえば、最近キーボードを新調しました。


普通なまぁ一般的な値段のキーボードなんですが、私、タイピング音が好きなのでメカニカルキーボードにしてみました。


しばらくはタイピングが楽しくて更新が捗るかもしれません笑

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