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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第1章】千年前の戦い
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Ep.8 今後の動き

「え?エルフが落とされた!?」

敵将を屠り、味方陣営まで戻ってきた夏翔達が最初に聞いたのは実に悪い知らせであった。


「はい、先ほど長距離魔法通話で得た情報です。情報元も信用のある所からなのでほぼ間違いないかと。なんでも魔王が自ら出陣したと」


「…そうか、ご苦労。下がれ」

アルティオが指示を出す。

「はっ」



「まいったな。まさか魔王が前線に出てくるとは」

アルティオが口をゆっくり開きそう呟いた。

「エルフは、もともと協力云々を嫌っていたでしょう?仕方ないことね。重点的に狙われていたし、いつか落ちるかもしれないのは予測されていたことだし」


「それよりもさ、私たちがこのタイミングで敵の二番手を潰せたのがかなり大きいんじゃないかな?」


「確かに、俺もそう思うぜ。明るくいこうぜ」

マーヤの意見に、オルウェルが賛同する。

確かにエルフという魔法のスペシャリストが消えた今、戦力差が大きく傾いたかもしれない。だがそれと同タイミングで敵副将を落としたという功績はかなり大きいな、と夏翔は内心を思う。あの時転移魔法が成功していたら本当にやばかった。だけど…。

「でも、エルフが落ちたとなると、次は人間を潰しに来るんじゃないか?敵副将を落としたとなると敵も無視はできないはずだ」


「そうだね…。他にも獣人とか厄介になりそうな種族もいるが、それを踏まえると…その可能も十分高い」


「でもさ、人族は数は多いから戦力を集中しないといけないよね?もしそうしてさ、敵が時間かけすぎたら、他の種族と協力して囲めるよね?」

マーヤがそう口にする。そう、人間、もとい人族は数だけは多い。敵からしたら倒してもどんどん出てくるように思うほどである。確かに、マーヤの言う通り、戦闘が泥沼化すれば、その状況は作れるかもしれない。しかし、それは実力がある程度拮抗している場合のみだ。通常なら白兵戦において数が多いのはそれだけで優位に立てる、が兵力差が向こうが上なので数だけでは制圧するのはおそらく不可能であろう。そもそも、たくさんいても結局は各地に分散しているし、最近砦が一個突破されていることから、向こうが本腰入れて一つ一つ丁寧に人族拠点を潰していったら案外あっけなく人族陣営が崩壊しそうだ。


「…とりあえず情報を共有するか。みんなは休んでてくれ。他のところに伝えてくる」


「アルティオ、通信室でしょう?私も行くわ」


「ああ、ありがとう」

アルティオとミューカが部屋を後にする。


「…やっぱり、次はこっちに来るかなぁ」


「すぐに対策を講じた方がいいだろうな」


「幸いにもエルフ以外の種族は協力的だし、手を貸してもらうのも可能そうだね」


「そうだねー」


「とりあえず、少し休もうぜ。ナツトもその左手、回復させたとはいえ休ませた方がいいぜ?」


「おい、おい。それを言うならアルティオのほうが休まないといけないでしょ?」


「ミューカが付いていったし、大丈夫だ」


「そういうものなのか…?」





それから大体三十分後、アルティオから"思念共有”が開始された。

(みんな、これから各地のところと作戦会議が始めることになった。通信室まで来てもらうのもなんだし、会議の音声を横流しするからその場で聞いておいてくれ。後、何か考えがあれば言ってくれ。)


ということで、各地の頭の作戦会議に間接的に参加することになった。


ざっと、話を纏めよう。先ず、敵副将を落としたことが挙がり、その旨をまだ知らなかったところは少々騒いだ。勇者一行ご苦労。この話はここで終了。

次、エルフ。魔王軍はかなりの戦力をエルフに対し向けていたが、なかなか落ちないので魔王が出陣。エルフ陣営は逃げられないよう結界で囲まれ、主に魔王とその場にいた幹部が殲滅。結界が張られる前に逃げた者以外生存者は見込めないとのこと。また、結界のために応援も行くに行けなかったと。尚、この戦いでエルフの戦力は全滅したが、敵の十いる幹部のうち三人を倒したとのこと。

次、今後の敵の動き。やはり、エルフという巨大戦力が消えた以上、敵にとって鬱陶しいかつここになって頭角を示しつつある人族から潰すのではないかという声が多かった。

補足で、獣人陣営で二人幹部を倒したという報告もあった。朗報である。


あれ?さっきモラゾール倒したよね…?じゃあ、幹部はあと四人?意外と少ない。行けそうな気がしてきたのは自分だけだろうか。いや慢心はいけない。慎重に行こう。


通話もここいらで終わりかと思われたそのとき、避難したエルフだという女性が急遽参加してきた。

「皆様、私は亡くなったエルフの族長の妻でございます。現在、安全な場所で残ったエルフをまとめております。申し訳ありませんが少々お時間をいただきたいです」


そう軽く挨拶を行い、女性はエルフ陣営の最後について話し始めた。


「私たちエルフは、戦う者と避難する者の二つに分かれていましたが、お互いに連絡を取り合っていました。連絡手段はエルフ独自の特殊なものだったので、結界が張られたときでも相互連絡は可能でした。しかし、魔王が現れたという報告を聞いてすぐ、連絡が切れてしまい…。うぅ…」


女性はだんだんと涙声になり、黙り込んでしまった。しかし、ここまでで知りたかったことが十分手に入れられたと夏翔は思った。エルフ独自の連絡手段というがこれは、魔法通話の応用であったはずだ。ということは、それは魔法の一種。電話などのような電波を使うような機械などではないということ。これより導き出せるのは、魔王が相手の魔法を阻害するような手段を持っているということだ。それは能力かはたまた別の何かか。何かまではわからないが、そういうものがあると知っているだけで大きく違う。


夏翔は思う。やはり、初見殺しは恐ろしい。

うまくはまれば格上でも倒しうる、そんな可能性を秘めている、それが初見殺し。倒すまでいかなくとも、きっかけを作ることもできる。戦う前に相手の手札の一つを知れて実に幸運であった。


これで今度こそ会議は終了し、夏翔たちは会議室に集まり、会議を踏まえ今後の動きを改めて話し合った。結果、一度サタナル王国に戻ることにした。戻ると言っても、飛べばすぐに着くので大した移動ではない。

「あ、そうだ。ナツト、転移魔法はちゃんと見た?」


「うん、もちろん。記憶しているよ」


「よし、再現できるか時間があれば試しておいてくれ」


「了解」



話す内容はほとんど先の会議で話し終えていたので、今回はすぐに終わった。数時間後にここを出発するという予定に決まり、その間休憩となった。


夏翔は言われた通り、敵の転移魔法の再現を試みた。記憶の能力はすさまじく、ちょっとでも見ていたならばばっちり鮮明にその場その場が思い出せる。


しかし、魔法陣は再現できるが、発動はしなかった。そもそも転移というならば座標情報もいるだろうし、魔法に刻まれている文字も夏翔がまだ知らないものであったので現状解読は不可。よって、少々残念であるが、現時点では実用性は皆無という結論に落ち着いたのであった。

今年も暑いですね…。


今回は少し短めかな?とは言っても、3000字ぐらいなんだけどね。何分きりがいいもんで。


あと少ししたらもろともの用事にひと段落着く予感。夏、更新頑張る。

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