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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第5章】勇者不在の一千年間
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Ep.72 暗黒戦争~決戦開始~

本日はどどん、と三話更新!

一羽の大きな鳥がその見事な翼を広げ、薄暗い雲の下を飛びぬける。


その眼下には戦火が広がる。


数年前の魔王ディタロとの戦争が連想される。歴史は繰り返されるというのはよく言ったものだが、繰り返されるのはあまりにも早すぎるのではないだろうか。




「ふむ」


能力で鳥の視覚情報を共有して、戦況を俯瞰していたアルティオは無意識に呟いた。 


「三代目勇者は、見たところ能力があるな。しかし、聖女の能力なのか、はたまた能力なのか。眷属化された人間たちを片っ端から戻している。やはり予想通り聖女は回復特化の立ち回りだな。予想以上に攻撃魔法も扱えるようだが」


共有された視覚越しに見ているのは、召喚された三代目に当たる勇者と聖女の戦闘。当然だが、この二人で魔王討伐に赴いているわけではない。それなりに強力な兵士を引き連れている。全体で言うと二十人ほどだ。かなりの大人数で移動している。

これだけの数であれば、細かな動きが取れずかえって支障が出そうだが、道中の眷属化された人間たちは先ほど言った通り、聖女によって一人残らず元に戻されている。

また、その対象範囲も相当広く、一度聖女が眷属化を打ち消す魔法を放てば半径一キロでその効果が発生している。

これだけの規模だ。聖女自身の魔力が尽きそうであるが、二十数回は連発できるみたいだ。魔力が尽きかけたら、持参していた魔石から魔力を供給している。

この魔石は過去に自身の魔力を注入しておいたもので、言わば電池のようなものである。


予想していたことではあるが、やはり勇者や聖女という者達は己の魔力の総量というものが常人を上回っているらしい。


「しかし、この度の勇者は身長がナツトより一回り以上低いな。見た目からして三十路は過ぎていると思うが…」


アルティオの考えている通り、目に映る勇者の身長は、ナツトに比べずっと低い。なんなら、マーヤより低いかもしれない。

しかし、彼はその身長を活かしてトリッキーな動きで相手を翻弄している。自分の強みを理解している動きだ。そんな彼の手に持つ武器は所謂「太刀」で戦闘スタイルはただ突っ込んで敵を斬る。


どうやら魔法に疎いようで、魔法というものをほとんど使用していない。身体強化も属性系魔法もすべて味方に頼りきりであることから、それは一目瞭然であった。

彼が魔力を使うのは手に持った得物で敵を斬るときだけ。それもただ自身の魔力を纏わせるだけであるから、魔法とは到底呼べないだろう。


だが、そんな脳筋戦法で成り立っているのは、流石は勇者であるなと感じる。


「これは…!また、随分と思い切った行動をする…」


眷属化した人間を差し向けても意味がないため、なんと魔王が自ら戦地へと赴いてきた。己が最も信頼する三人の部下を引き連れて。

ここで下手に手駒を失うよりも、確実に脅威を排除するための手に出たか。なかなか悪くはない。


魔王は手始めに魔法を放つ。それだけで地形を抉り取るどころか、元に戻った人間も眷属化された人間も巻き込み跡形もなく消し去った。


吸血鬼…。やはり素のポテンシャルが高い。


勇者たちは聖女の魔法により、魔王の攻撃から逃れたが、周囲は凄惨たる光景だ。


勇者が突っ込む。


魔王の部下たちがそれを止めようと動こうとするが、魔王がそれを制止する。


直後、魔王はその胸を勇者の太刀で貫かれるが、魔王は笑みを浮かべ勇者に重い反撃を返す。


吸血鬼の持ち前の生命力の高さと回復力の強さを見せつけるためであるだろうが、この魔王は馬鹿だな、とアルティオは思った。


今の状況、もし仮に勇者がナツトが使っていた『勇者の力』を使っていたら、魔王は死んでいただろう。あの勇者の力は魔法的な力を打ち消す。吸血鬼の回復のシステムには一部魔力が関わっている。勇者の力を使われていれば、その効果が打ち消され、致命傷を受けていた可能性がある。

よって、いくら舐めていても攻撃は受けないに越したことはない。


まあ、勇者の方も、馬鹿である。理由は、考えもなしに突っ込むから、で十分だろう。それに勇者の力というものが、この勇者にも使えるのか気になる。ナツトもきっかけが魔王戦であったので、この戦い中に使用可能となるかもしれない。是非見せてもらうとしようか。


魔王に吹き飛ばされた勇者であるが、聖女によってすぐに復活させられた。


魔王が何か話し、それに対して勇者が憤慨しているが、これ以上鳥を近付けたら気付かれる恐れがあるためできない。


勇者が再び突撃する。しかし今度は魔王の部下に阻まれ、また吹き飛ばされる。


不味い。勇者が脳筋すぎるため、聖女が落ちたら彼らは崩壊するだろう。


何かしら手を打ちたいところだが、魔王に対する国際規約はまだ制定されていない。


勇者側の手としては、魔王たちを分断する方がいいだろう。

幸い人数は多いのだから、周りの騎士が魔王の部下たちを請け負って時間稼ぎすれば、勇者次第で勝てるかもしれない。


考えていたら、また勇者が突っ込んだ。また考えなしかと、いっそ哀れに見えてくるが、今度は様子が違った。止めに入った魔王の部下を今度は逆に吹き飛ばし、魔王を蹴飛ばした。


虚を突かれたのか魔王は驚いた顔をしている。


勇者の能力は、推測だが身体強化系である。条件はまだ不明であるが、単純ながら強い能力だ。ナツトは絡めて系であったが、脳筋な彼にふさわしいと言えるだろう。


魔王は、不敵な笑みを浮かべながら宙に舞う。ボソボソと何かを部下に向けながら話すと、部下はお辞儀をして周りの兵士たちの下へ向かった。


これは、好都合だ。魔王はどうやら勇者、聖女と戦うことに決めたらしい。

魔王という生き物はナツトがいつか言っていた戦闘狂というものなのだろうか。


どちらにせよ、勝機がぐっと見えてきた展開になる。


かくして、この世で再び勇者対魔王の戦いが始まったのだった。



三代目勇者ねぇ…しっかり心境とか色々書いてもいいんだけど、そんなことしたら五章終わらん笑


それに、彼の活躍はここだけだし、ま、アルティオ視線で見てもらいましょう。


それに五章の本題はここじゃあないんでね。


あ、あと、「五章九話以内に終わらせたいッ」の件終了のお知らせです。

構成を再度想像したら十話じゃ、ちと足りない、と察しました。

おかしいな、以前考えたときはちゃんと九話で収まったのにな。


勇者の心境書かずとも、結局こうなるのか。

しかしッ!進捗具合によっては複数投稿、解禁しちゃうかもです。いや、今やってますね。



本日は後二話更新されていますので、どうぞお忘れなく。

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