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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ss.7-2 ガルノラルク・ノノージア

俺の名は、ガルノラルク・ノノージアだ。

世界最高峰と謳われるグラル学園に通うごく普通の生徒だ。


…だが、俺にはみんな…いや親にもに隠している秘密がある。


俺には、前世の記憶というものがある。俗に言う異世界転生というやつである。

そんなものは空想上のものだと考えていたが、まさか実在するものだったとは、驚きだった。


確か、前世は三十路を少し過ぎたぐらいの年齢で亡くなったと記憶にある。決して優秀な人間ではなかったが、コツコツと努力を重ね、日々忙しくも充実していた。死因は明確にはわからないが、最後の記憶が滅茶苦茶酔った状態だったのを覚えている。家には辿り着いていた。そしてそのまま眠りについて、気が付いたら転生していた。寝ている時に何かあったのだろう。家族…親には親不孝な結果となってしまって今も後悔しているが、少なくとも交通事故で第三者を巻き込まずに済んだのは幸いだっただろう。俺の死後、親に俺の事で迷惑をかけずに済んだ。でも、やっぱり申し訳なかったな。


だからこそか。今の両親には、同じ思いをさせたくない。そう思っている。


前世の記憶を思い出したのは二歳を過ぎてからだ。赤ん坊の時から記憶があるパターンもあるようだが、そうではなくてよかった。


俺が生まれた家はそれなりに裕福で、最初は転生者の定番である貴族の一家かと思ったが、どうやら違うようで、平民…つまりは一般家庭のようだった。

その後、今いるこの国に貴族制がなく、あるのは王と国民という関係のみであった。そんなこの国の名は「ラーテル王国」。この世界の覇権を握る大国であった。


記憶を思い出してから、とりあえずは情報収集に尽力した。常に親の目が付いているのでなかなか思い切った行動は出来ないが、少しずつ着実に情報を得ることが出来た。


わかったことで大きなことは、この世界には魔法が存在し、一部の人間に能力と呼ばれる特別な力があることや、今の世界はこの国の王様とその仲間たちが世界を救ったことで存在しており、そのうちの一人は異世界から召喚されて、そして死んだということだ。

初代勇者として知られるその人物の名は「ナツト」。名前から察するに俺と同じ地球出身だと思った。話をしたかった、と思ったがもうこの世にはいない。とても残念だ。

他に知ったことと言えば、今いるところはこの国の首都ではなく、地方であることだろうか。他にも数え切れないほど得たものがあるが、ひとつひとつ挙げていたら日が暮れるのでやめにする。


そして、三歳になるとき親から言われた衝撃の事実。俺に能力があるということ。俺の能力は『権能;遠隔』である。魔法では不可能なレベルで緻密な遠隔操作が可能である。日常生活ではとても便利な力であった。魔法で行うより簡単に、遠くに置いた物を座ったままこちらに取ってくることもできるし、応用の幅はなかなか広い。


父は、魔法具を開発する企業に勤めている。そんな父から魔法のイロハを教わり、近くにあった図書館に通い、情報収集を続けた。


今は準備期間で将来は前世の知識を活かせば、大量に儲けることができるだろう、とこのときは考えていた。


しかし、そんな俺の甘い考えを打ち壊した、ある意味人生の転機の一つと言える出来事が起きた。


それは、父の本社勤務が決まった事であった。父の会社の本社は、首都にある。首都であるリコアについては本で見たことがある。技術力が段違いで、別世界がそこに広がっている、と。

家にあるテレビみたいな物でも見たことはあったが、地上しか映してくれないのでその全貌は不明であった。




転生という事実と同等のレベルの衝撃を受けた。

そこに広がる景色というものは余りにも現実離れしていた。地球になかった建物。見たことのない建築様式。なぜその見た目でバランスが保てていて建っているのか不明な高層ビル。上空にも地下にも広がる超立体都市。極め付けは、物理法則が働いているのかわからなくなるような、浮遊する巨大な王城。


圧倒された。


頭のどこかで、魔法があるから科学の進歩は高が知れていると思っていたが、完全な間違いであった。


瞬間、理解した。これは、科学と魔法が融合したもので、最早自分自身が持つ知識の遙か先を行く技術であると。


俺は自身の無知を恥じた。もし、知らずにいたら俺は間違いなく失敗するところであった。

この時点で、前世の知識の多くが通用しないことを理解した俺は、より世界を知るため学校に通うことに決めた。


…尤も、義務教育なので、何があっても通うことにはなっていたが。


だが、その意識で進む道が変わったのは事実である。俺は、この国でも最高峰の学びができるという「グラル学園」に通うことを望んだ。


無論、どこに行こうが転生者であることは隠し通す。公になって得することは基本的にないと確信している。


グラル学園の入試は九歳。義務教育が始まるのは六歳から。少々特殊な年齢での受験だが、それまでは、近くの学校で暮らしていた。俺は特に気負うことなく日々を過ごしていた。もちろん、魔法を練習しながら。


正直舐めていたところはある。魔法はともかく、座学は前世の知識があれば余裕だろうと考えていた。なぜなら、九歳児が受けるようなテストであるからだ。


だが、いざその時になると俺は悩まされることとなった。普通の計算問題等は問題ない。…が、頭を柔らかくして考えないといけない問題はてんでダメだった。すっかり大人脳の俺は、柔軟性という点は酷く弱かった。固定観念に囚われていた俺はその部分をピンポイントで突かれる結果となった。過去問がなかったのも痛い。


幸いにも合格したが、一番レベルの高いAクラスには入ることが出来なかった。

噂で聞いた話だが、今年は座学、実技含めて満点が三人もいたそうだ。どんな化け物だよ、と心底思った。


だが、優秀な成績を収めればクラス替えがあると知り、一年間努力して、ようやくAクラスへと入ることが出来た。


Aクラスに入るまでの一年間、Aクラスの生徒と関わりがなかったわけではない。寧ろ一部の生徒とはかなり関わっていた。

「能力の使用訓練」である。稀有な力である能力を有する人間が同じ学年に俺を含めて六人いた。彼らは全員Aクラスで俺のいい刺激となった。


そして、魔法をある程度極めたつもりであった俺の自信もこの訓練で粉々に粉砕されたのも記憶に新しい。

マジで頭のおかしいレベルで魔法を理解し、応用しようとする奴等がいた。


イアノン・アオ・ネララバール、チェルーティア・オル・ラーテル、そしてシャック・クルシャウトである。彼等の考えや魔法の構築方法は正に目から鱗で参考になる。更に能力の使い方も上手い。俺は、この三人が入試満点だったのだろうとすぐに確信した。









できる限り、年相応の振る舞いをしてきた。寧ろ、周りの方がずっと精神年齢が上なんじゃないかと感じるぐらいには。


嫌な予感はしていた。

隠し通せたかどうか、内心ずっと考えていた。


「ガルノ。…君、転生者でしょ?」


予感は的中し、今こうして、俺の認める天才の一人が、俺の核心に迫る質問を投げかけてきたのだった。






一話では終わりませんでした。でも、前回で終わらせると言ったので、二話更新します。報告は以上です。

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