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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.65 襲撃事件③

加速されたナツトの思考の中で、彼らの投げた「何か」が宙をゆっくり舞っている。


恐らくは爆弾…。先ほど街中で爆ぜたものと同じものだろう。かなり賭けた捨て身の攻撃である。普通これを至近距離で喰らえば無事では済まないだろう。


相手のこの動きはこの結界内で転移魔法禁止のルールに気付いたからこそのものだろう。ということは敵に結界魔法や転移魔法に明るい人物がいるということであり、それはおそらく先ほどまでナツトが相手取っていた魔法使いで間違いないだろう。


…だけど、知識が浅いな。さては、転移魔法の経験が少ないな。この世界の魔法対決は、いかに自分に有利な手を用意し、相手に理不尽を押し付けるかである。


転移魔法が使えない?…違う、使えるよ。ただ普通の転移魔法は使えないだけだ。

この結界内は「ある特定の構成を組み込んだ」転移魔法のみが使用可能となっている。そして当然のことこれはナツトしか知りえない。そうこれこそが理不尽の押し付け。自分だけが何の不自由なく使える抜け穴を用意しておく。わざわざ誰でも使えるようにするなんて心優しいことするわけない。…ズルとは言うなよ。

そもそもの話、結界を張れた時点でこっちが有利すぎるのだ。今回は一人ではなかったため少し加減していたが、こういうところでは加減なんて知らない。


ナツトは事前に仕込んでおいた転移魔法を発動し全員を一か所に集めた。その後間髪入れずに、イアノンが能力を行使しようとする。魔法通話で作戦は伝えていたので、うまく合わせてくれた。流石イアノンだ。


だが、流石に向こうの手の方が早い。

彼らの投げた「何か」はナツトの張った結界内で広範囲に渡って爆ぜた。やはり予想通り爆弾であり、イアノンの能力発動より爆発がこちらに到達する方が早い。というか転移した直後には爆発が始まっている。

ナツトは身体強化魔法の要領で脳の知覚速度上昇の効果を発動しているが、体への負担がでかいので長時間は使えない。しかし、今はこれで十分である。

ナツトはイアノンの能力が発動するまでの少しの間、即席で用意した結界で全員を守る。爆発の規模が大したことなければこれで防ぐことができるのだが、かなりの高火力なので何もしなかったら数秒で破壊されるだろう。だが、今は数秒あれば何も問題ない。


イアノンの能力『権能;集中』により、ナツトたちを囲うように透明のシャボン玉のようなものが浮かぶ。これは厳密には違うが簡単に言えば吸引玉だ。近くにこれを設置されたら体がこの玉の中心に向かって引っ張られる。


これを満遍なく周囲に設置することで爆発だろうと爆風だろうとすべて吸い込んでくれてこちらの被害はゼロに出来るのだ。


爆発を免れたナツトたちを見て驚きを隠せない暗殺者たち。しかし、リーダーの目はナツトたちを見ておらず、ナツトたちの背後に向けられていた。

直後、背後の空中からガラスが割れるような音が聞こえた。

魔力探知でそこを探ると、結界にヒビが入っていることがわかった。


つまり今の攻撃の目的は二つあり、イアノン殺害は当然のことで、もう一つが結界の破壊であったと。

イアノンの能力で一か所に集めた爆発は爆発全体で見るとほんの一部分だ。回収しきれなかった分は結界破壊に充てられたということである。


流石にあの規模の爆発はかなり有効だったようで、後はそれなりの威力の魔法をぶつけるだけで壊れるだろう。


相手の次の動きを窺っていたら、敵が一斉に別々の方向へ走り出した。全員結界へと向かっている。

「逃走」の動きである。

彼らも結界が限界を迎えていることに気付いており、ごり押しで突破するつもりのようだ。

更に彼らは一斉に跳躍した。結界を破壊したとき、正面に騎士団がいたとき用のクリアリングだろう。


…ただ、その思考はナツトが仕込んだものだった。

『権能;誘導』の悪用したらヤバい使い方である思考誘導。漂う魔素にこっそりと仕込んでおき、敵がその魔素を使って魔法を使おうとする際に効果が発動する地雷式能力使用法。戦闘状況下など咄嗟の判断が迫られるときにその真価を発揮し、敵の行動を無意識のうちに指定できる反則な力。攻撃を誘導する方の使い方は誰かに見られたらバレる可能性があるため安易に使えないが、こちらなら非常にわかり辛い。それに結界内限定で使用しているのでバレる心配はまずない。


というわけで彼らが空中に飛ぶのをずっと待っていた。空中なら地上の被害は考えなくていいからね。


「イアノン、その爆発を集めたやつ頂戴。あと、みんなしゃがんでてね。…五属性合成、光魔法。__光撃!」


左手にイアノンから貰った爆発を集めたシャボン玉。右手に体の周りをグルグル飛ばしていた各種属性魔法を合わせた光魔法。完全な威力を発揮する光魔法にするのには少し複数合成する必要があるが、五属性ぐらいがコスパ的にもちょうどいいのだ。


これら二つを合わせあらゆる方向に爆速で膨張させる。白く光る爆発はあっという間に逃げる彼らに追いつき、彼らを結界と一緒にサンドイッチにする。だが、すぐに結界が限界を迎え、光の爆発が結界を突き破るように結界を破壊した。巻き込まれた彼らはそれぞれの方向に吹き飛ばされていった。

多分、死んではいない。最低限の調整はした…ハズ。


白い光は彼らを吹き飛ばした後も膨張を続け、その瞬間だけ青い空は白く染まったのだった。





はい、ということで三話目終了っと。


しかし、誰だ?修学旅行がEp.60までに終わるって言っていたのは。まったく終わってないじゃないか。

あ、次でようやく旅行は御終いです。


ではでは、また次週。

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