表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
67/214

Ep.57 いざ、修学旅行へ

「は~あ、折角の旅行なのに雨なんて、最悪…」


いつもは学級委員として、クラスを律し、みんなから頼られているノアラナチアも意気消沈気味だ。


無理もない。今日は中等部二年最後のビッグイベントである、所謂「修学旅行」当日であるからだ。

そんな日にあいにくの雨。機嫌がよくないのはある意味仕方のないことであると言えるだろう。


彼女は今、集合場所である学園の体育館に来ている。クラスごとに固まっているのだが、彼女が来たのはそれなりに早かったので他の生徒たちはまだそこまで来ていない状況である。


荷物に傘があるというだけで、今はよくても後々かなり邪魔になってくる。親しい友人がいないからか、彼女の心の中は現在進行形でどんどん、どんよりとした方向へ向かっているのだった。



「おはよ、ノアラ」


しばらくして、彼女の背後から聞きなれた声が聞こえた。


「シャック!おはよう」


先ほどまでの気分から一転、ノアラの心境は光が差したように明るくなった。


「それにしても、シャックが早めに来るなんて珍しいね。いつもはもう少しゆっくりなのに」


「あぁ、たまには早くてもいいかなって」


ナツトはいつも校門が閉まる十分ほど前に近くに転移して登校している。今回は少し早くに来ていた方がスムーズに進行できると考え、さっさと学園に来ていた。

というのは建前で、単に楽しみなだけである。


天候は雨とあまりよくなかったが、ナツトからすれば大した問題ではなかった。

転移魔法で大部分の移動はカットできるし、結界魔法を応用して「生体内に含まれる液体の水以外の液体の水を結界内に入ってこないようにする」という風にすれば、服はおろか、靴も一切濡れないという傘いらずの素晴らしいことができる。


尤も、それなりの魔力量とこれを維持できるだけの魔力操作の技術が必要なので誰でもできるわけではないが、習得できれば途轍もなく便利な魔法である。


まぁ、結界魔法を街中で使うには比較的最近に出来た『魔法全般技術試験』の一定以上の級を合格する必要がある。元々結界魔法だけの検定モノがあったのだが、統合されたのである。巷では将来的に三大資格に並ぶものになると言われている。


という感じで、ナツトは早速一番高い一級の資格をゲットして、結界魔法を自由に扱えているわけである。でも、今はそんなことより旅行の方が優先度が高い。ナツトは友達と談笑でもして全員が揃うのを待つことにしたのだった。






それからしばらくして、集合時間になり先生から説明が始まった。内容は、日本の中高の修学旅行前に聞くような内容とほとんど同じ感じのものであったのでわざわざ説明する必要はないだろう。


説明が終わり、クラス順で移動が始まる。とりあえずこれからの足取りを簡単に説明すると、まず学園前に停車している、もう見慣れた宙に浮かぶバスに乗り込み、列車の駅に向かう。それから、指定席の予約済みの新幹線に当たる列車に乗り、かなり離れた都市である『キュリオウラ』へと向かう。

到着まで数時間かかるので、列車内で談笑するのもよし、ゆっくり寝るのもよしであるわけだ。


「転移魔法使えばいいじゃん」って思うかもしれないが、ナツト調べでは一般周知になりつつある転移魔法と言っても扱える人数は一握りである上、何百人も転移させるのは相当量の魔力といつも以上に正確かつ集中力が必要であり、一般人なら十回以上は余裕で気絶できるのだ。そんなレベルのことを業者に頼んだら馬鹿みたいな金額を請求をされるのだ。


かと言って、これだけの人数を余裕で転移することができるミューカがするのは割に合わないし、一生徒のナツトがするのもおかしいだろう。


それに、一瞬で旅が終わるよりかは、こうしてゆっくりと目的地に進むという方がナツト的には好きであった。意外と、目的地に着いてからより、着く前のドキドキっていうものは形容し難い期待や楽しさを孕んでいるのである。


そうそう、当然のことだが生徒全員が荷物を入れた大きなカバンを持参している。中には旅行中必要なものやお菓子、トランプ等のカードゲームを入れている生徒が多くみられる。


ナツトも例外ではない。それなりに大きなリュックサックを背負って来ている。


中身はって?


別に隠す必要なんてないから、言っておこう。財布とお菓子しか入っていない。

服?筆記具?地図?

そんなの全部収納魔法の中に決まっている。あんな重いもの背負いたいわけないじゃないか。


この使い方こそ、収納魔法の真骨頂。まったく、地球…いや日本にいたとき、これがあればどんなに楽であったか。


財布とは別にお金もたんまり持ってきた。


ふふふ、この旅行、遊びつくしてやる。





列車は三席同士が向かいあう感じにされていた。つまりは六人席。

ナツトが座った場所は窓側。ちゃっかりいいところはゲットしていた。

メンバーは、毎日顔を合わせ、最早周囲からもいつものメンバーと認識されている、チェルーティア、イアノン、ガルノラルク、ノアラナチア、ウルヴァロ、そしてナツトである。


最初は、見るからにワクワクが止まらなく、いつにも増してテンション高めなノアラナチア、ウルヴァロの話をネタに全員が談笑していたが、流石に数時間も移動時間があるので少ししたら二人は眠りについていた。


比較的大人な感じの残りのメンバーは温かい目で二人が眠るまで見届け、二人を起こさないよう声のトーンを落として世間話をした。


少ししてからガルノラルクが寝たので、それをきっかけに全員仮眠を取ろうかという流れになった。


ナツトは寝る気がなかったので、窓の外をボケーと眺めていた。ただ目に映る車窓からの景色だけで心が落ち着き、どこか楽しい。なぜなら知らない景色を見ることで、自分の頭の中にある空っぽの地図が新しく更新されていっているような気がするからだ。


喉が渇いたな。そうだ、少しお茶にしよう。


収納を開き、中に入れておいたとても綺麗で美味い天然水を取り出す。

それを必要量宙に浮かべ雑菌が入らないよう結界で覆う。その後、魔法で軽く沸騰させてから、これ同じく収納に入れておいた茶葉を入れ少し放置。今回は緑茶にした。ついでに街中で売っていた和菓子っぽいものも一緒に出す。

茶を湯呑に入れ、景色を楽しみながらお菓子と共に頂くことにしよう。


「そのお茶、余ってる?」


「チェリー、起きてたの?」


声をかけてきたのはチェリーことチェルーティアであった。てっきりもうみんな寝たものかと思っていたのでナツトは少し吃驚した。


「起きちゃった」


ナツトの問いに対し、チェルーティアは少し微笑みながらそう返した。


「おっと、それは申し訳ない。はいどうぞ、あ、お菓子もどうぞ」


お茶もお菓子も大量に用意がある。それこそクラス全員に配れるぐらいには。


「ありがとう」


チェルーティアの感謝の言葉に笑顔で返したナツトは、そのままお茶を飲んだ。


ほぅ、っと温かな熱がお腹から全身に広がっていく気がする。


あぁ、最高、幸せだ。人生の至福だ。


「シャックってこういうの好きだよね。…というか用意周到すぎじゃない?」


「どうも」


「…褒めてはないけどなぁ…あ、美味しい」


「でしょ?」


首都の周辺はどんよりとした暗い雲に覆われ、雨もそれなりに激しかったが、列車は次第に明るい光の筋が差し込む方向へと進んでいくのだった。



作者権限で時間を飛ばしたので、キャラの呼び方とか口調とか変わってたり、というより砕けていますが、慣れてください。


ノアラが学級委員なの?チェルーティアじゃなくて?と思った人、彼女は生徒会的な組織に所属しているので学級委員ではないです。ちなみにイアノンも同様。男子の学級委員はウルヴァロが務めております。ナツトは、能力が事務的なことに有用なので半ば強制的に生徒会に入れられました。


目標構成はEp.60で四章を〆、その後少しの番外編と『登場人物まとめ&その他④』を挟んで五章へ行きたい。


そして五章をどうするかの二つの案で揺れています笑


ではでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ