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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.54 特別訓練

ふふふ、短い間だったけど話せてよかったな。これでやっと全員に再会できた。嬉しい限りだ。


クラスメイトのところに戻ったナツトは、交流会に少し遅れる形で参加していた。


なんとまぁ、生徒一人一人に騎士の方々が一人ずつ付くという、騎士に憧れる子どもからしたら歓喜するしかない対応だ。生徒たちは騎士から魔法についてどうすれば上手く扱えるのかや武器等の指南などいろいろなことを質問し、答えてもらっている。魔法に関しても、普段の授業とは異なり、より実践的な感じの魔法を聞いている生徒が多い。やはり、国を守る騎士たちがどんな魔法を使っているのか気になると言ったところだろう。他には、軽く実戦をして、遊んでもらっている生徒もいる。


ちなみに騎士たちは重い鎧等は身に着けておらず、訓練着と呼ばれる服だけ着ている。後は、基本的に腰に剣を差している。


ナツトは、自身の担当になった騎士によく使う魔法を聞いていた。具体的には防御系魔法についてだ。

今の段階で攻撃関連の魔法はある程度できているので、そっちの方が気になるのだ。


防御系魔法とはその名の通り、相手の攻撃を守るための魔法である。例として、最も初歩的な魔力の盾を作る『防壁』や、結界魔法が挙げられる。



それに騎士団が使う魔法というものに心底興味がある。


ナツト担当の騎士も喜んでその頼みに答えてくれた。尤もよく使う防御魔法を教えてもらった。


それは、『防壁(シールド)』を改良したもので、千年前にはなかったものだった。ナツトも千年前この『防壁』を扱いやすいようにあれこれ弄っていたが、今回教えてもらったものは、ナツトのものより耐久性と消費魔力が少なかった。

じっくり眺めていると、細かい構築の違いと、発動させたときの構造の微妙な違いに気付いた。

これらの点を上手く応用すれば、自身のものに更なる改良を施せそうだ。


ナツトがしめしめ、と思っているときに、周りの生徒がざわっと騒ぎだした。


騒ぎ出した時点でもう察しが付くが、一応見ておくか。


ああ、やっぱりオルウェルが来たな。マーヤもいるな。


また興奮する生徒たちを見てオルウェルが一言。


「よう、お前ら。どうだ?俺たちと少しゲーム…模擬戦でもするか?」


生徒達からすればとんでもない提案。かの伝説の存在と模擬戦。夢にも思わない展開だろう。


「男子は俺と。女子はマーヤと、でどうだ?こんなチャンス滅多にないぞ?」


やるか、やらないかどちらになったかは言うまでもないだろう。

早速と言わんばかりに、男女で分かれた。Aクラスの男女比は大体一対一。オルウェル、マーヤともに同じぐらいの人数を相手することになる。


というか、今更だがマーヤはどういう立ち位置なのだろか?彼女は騎士団に所属していたっけ?服装も一人違うし、なんだかよくわからないな。


「ルールは簡単。四分間、全員で一丸となって俺たちにかかってくる、だ。ただ人数が多いから魔法は使用禁止だ。武器は、なくても別にいいが、俺は訓練用の剣を使うから各自に渡した同じものを使うことをお勧めする。後は、勝利条件だな。まず、誰か一人でも俺たちに一撃でも入れたら勝ち。これに加えて俺たちに頭を叩かれたら脱落として、時間切れまで全員が脱落すればお前たちの負け、そうでなければお前たちの勝ちだ。それと…」


「それと最初の二分間は攻撃をしない」


「ああ!それいいなマーヤ。…よし、最初の二分間は俺たちは攻撃をしない。思う存分かかってこい」


オルウェルは自身の収納魔法の中に入れておいた特大のタイマーを取り出し、二分にセットした。


それに合わせて生徒たちが一斉に構える。


対するオルウェルとマーヤは特に構えも取らずに自然体で佇んでいる。


「よし、では、始め!」


オルウェルの一声で生徒たちが動き出す。


しかし、ナツトはそれには合わさず一旦待った。


理由は簡単。男女で分けたとはいえ、一人に対してクラスの半数約十五人が一斉に向かえば、どうなるか想像に難くない。簡潔に言うと、混む。


そんな状況で、連携など存在せず、生徒たちの個人技しか行われない。オルウェルもマーヤも絶妙に距離を保ち、まるで生徒たちに教え込むかのように綺麗に生徒達からの攻撃を受け流している。


受け流されて姿勢が崩れた生徒たちは隙だらけだが、二分間攻撃しないというルールがあるので、助かっていると言った具合である。


そういえば、ナツトともう一人、この事態を読んで突っ込まなかった生徒が二人いる。男子はイアノン、女子は、チェルーティアである。


考えていることは一緒のようで、無鉄砲に攻めていく同級生たちを見て、お互い苦笑いしていた。


今は彼らに目一杯の経験を積む機会をあげようということで、一旦静観しよう。

それに、そのうち状況は変わる。



オルウェルが、剣を強く握ったのをナツトは見た。

大きな音が鳴り響いた。二分経ったのだ。


瞬間、オルウェルの姿が掠れ、彼を追いかけていた生徒たちを突き放し、ナツト達がいる方へ超速で接近してきた。


ってこっち!?先に生徒達じゃなくて、こっちに来るのかよ!


と悪態を吐きながら応戦する。


明らかに本気、かなり本気。


先ほどまでの優しい受け流しはどこに行ったのやら、鬼のような強襲がナツトに襲い掛かる。受けていてわかったことがあった。


オルウェルがとんでもなく剣の扱いが上達していることだ。正直比較にならないレベルだ。千年前は、まだ技術足らずだった部分も見事に補完されている。


人知を超えた武人が目も前にいた。


ナツトは知らなかったが、ナツトの死後、オルウェルは自身の能力が周りより攻撃に生かし辛いことを再度自覚した。そこから、オルウェルは剣の道をひたすらに極めることを目指し、日々鍛錬を積んできた。あらゆる経験を糧として昇華し、身に着けた。元々運動神経はよく、剣の扱う才もあったが、そこに努力が上乗せされたのだ。ラーテル王国でオルウェルの太刀筋は「この国で最も美しく力強い」と称されている。


ナツトは攻防の末、崩されて蹴り飛ばされた。その間オルウェルは生徒たちを優しく相手して回った。一人、イアノンだけは一瞬で脱落にならず耐えた。


しかし、果敢に攻めるも数秒もしないうちに脱落した。


ナツトが戻ってくる頃には全員が優しく頭を叩かれて脱落していたのだった。


思えば、こうした戦いって千年ぶりだろうか。能力、魔法なしでのこの戦いのオルウェルは「確実」に格上である。

技術、戦闘経験、どれをとってもすべて向こうの方が上だろう。相手はこの世界の圧倒的強者の一人、「三勇」オルウェル・ウィルテーゴだ。

胸を貸してもらうとしますか。




やばい、まったく付け入る隙がない。オルウェル、化け物だわ。魔法なしで攻撃を一撃でも入れる?ちょっと無理かな。


魔法、能力なしで考えられるだけの崩しの手を試したんだが、全部いなされ明後日の方向へ。

同時に返しで来る攻撃はまともに喰らえば一発KOもの。


打ち合ってよくわかった。

時折、自分を相手にしているように感じるときがある。


これはオルウェルはナツトの剣技さえも我がものとしているせいだろう。

ナツトの剣技とは、受け流しに特化したカウンター型である。これは、自身の能力である誘導に合わせた型である。それをオルウェルはコピーして習得、そして自己流へ落とし込んでいる。


攻めも守りもともに非の打ち所がない。少なくとも剣のみの戦いではオルウェルに勝てる気がしない。


オルウェルは終始真面目な顔で油断もまったくない。


素直に彼の実力に敬意さえ覚えた。


国の象徴としての在り方を幾ばくか教わった気がした。



ナツトの体感では数分、されど現実では二十秒強。ナツトはオルウェルに頭を叩かれ脱落した。






ちょこちょこ書き方を変えたりしてます。まぁ、迷走しているだけなんですが。

「違う、こうじゃないッ」てね。

最近見返してて、結構焦ってる?って感じるところあるし、慎重にならないとね。


では。

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