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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.52 騎士団交流会

今日は、「騎士団交流会」が行われる。


例年行われる中等部一年生の学校行事であり、騎士団に憧れる多くの生徒が楽しみしているのだ。生徒たちは、騎士団の本部である建物に行き、そこの訓練場で騎士団の訓練体験を行うのだ。


今年は、サプライズでオルウェルが来るので、きっと先輩たちには恐ろしいぐらい羨まれることだろう。



三勇の一人、オルウェル・ウィルテーゴ。言わずもがなこの星のナツトのかけがえのない友の一人であり、現在はラーテル王国騎士団団長を務めている。

長い月日の中で慣れたとはいえ、主な仕事が書類仕事という彼の苦手な仕事なため、本人は大変苦労している。


転生して一年以上。ようやく会えるということでナツトはとても嬉しいという気持ちでいっぱいだった。ここ数日、交流会のことを考えると思わずにやけてしまったほどだ。

この一年、転移魔法があるから会いに行こうと思えば会いに行けたのだが、アルティオの話しぶりから相当忙しいそうである、という雰囲気が強く感じられた。そのため、機会が訪れるまで待っていたというわけである。


しかし、気がかりなこともある。オルウェルの反応だ。ナツトの存在が秘密にされている以上、オルウェルは事前情報なしでナツトと再会することになる。であるならば、オルウェルの反応次第でナツトの正体が一瞬で生徒たちや騎士たちに知られることとなる。今更ながらその展開はかなり面倒なことになるのではないだろうか。となれば、シャックという生徒の正体にオルウェルに気付かれるその瞬間、周りに人がいないという状況でないといけない訳だ。

最初に生徒全員が集められ、軽い挨拶の後、クラス単位で振り分けられる。よって、最初の挨拶のときは全力で気配を消すことに徹しよう。


作戦は多分完璧。最悪能力を使ってでもくぐり抜けてやる。


そうこう考えているうちに、目的地である「ラーテル王国騎士団本部基地」に着いてしまった。ラーテル王国騎士団本部基地は見た目が完全に城であり、遠くに宙に浮かぶ王城が見えてなければ、こちらが王城でないかと考えそうなほどだ。

ちなみに学園から騎士団本部まではそれなりに距離があるので、学園が借りたバスでの移動である。そう、転生してから大きな衝撃を受けた「宙を飛ぶバス」である。タイヤはなく浮遊魔法や飛行魔法を利用した乗り物。高さも任意で変えられるようで人が多い所では高く飛んだりできるようだ。

ナツトは初めて乗ったので結構楽しかったのは内緒である。


バスを降りた生徒から順に、騎士団の人が建物の中に案内していく。行きついた先は大きなホール。クラスごとにまとまって席に座った。

多くの男子生徒が興奮してテンションがハイになっているのが全体を軽く見回しただけでもわかった。全員座ってから、すぐに挨拶が始まった。

最初は一般的な挨拶のフレーズから始まり、そのまま騎士団の一日と称した映像がホールの舞台にある巨大なスクリーンに映された。


騎士団の一日の尺は約十分。それが終わると、ホール全体が暗転し、真っ暗になった。次に舞台に電気がついた時には、四人の人たちが立っていた。一目見ただけで彼らが四つある隊の団長たちなのだろうとわかった。雰囲気から強そうっていうのが素人目からでもわかるだろうし、何より他の騎士たちと異なり、マントを羽織っている。

ナツトから見て左側から、茜色、瑠璃色、深緑色、紫色のマントである。おそらく各隊のモチーフカラーであるだろう。


隊長たちの説明が入る。


一人目。一番背が高く、茜色のマントを羽織った遠目からでもわかるほど筋骨隆々の見た目三十代ほどのはっきり解いた栗色の髪が特徴の男。名は、カーライン・マドラー。主に国の治安を守る「警吏隊」の隊長である。


瑠璃色のマントの女性の名は、リピア・アンジュール。唯一の女性隊長であり、見た目は若く、茶色の長髪であり、背は女性にしては高めだ。「防衛隊」の隊長であり、その主な役割は迷宮で発生した魔物が溢れないようすることである。


三人目の隊長はヴィング・グレン。茶髪の短髪で女性並みに背が低い小柄な青年だ。深緑のマントも周りの隊長よりサイズが小さい気がする。担当する隊は「研究隊」であり、研究対象は多岐に渡り、武器開発などの軍事関連に深くかかわる隊である。また、各地に調査に出向くこともそれなりにある。


そして、四人目である紫のマントを羽織った、カーラインほどではないが長身の男性。スラリとした体型である。名は、エリゼオ・ウィルテーゴ。ウィルテーゴ、そうオルウェルとマーヤのニコレットに次ぐ、二人目の子である。尤も生まれた順はエリゼオの方が先だが、騎士団で隊長をしていた。担当する隊は「魔法隊」である。魔法の開発、街を守る結界魔法の維持、改善など、魔法にかかわることを担当している。


彼らが登場するだけでも生徒たちの興奮は最頂点に達しているのだが、今回はこれでは終わらない。


生徒の盛り上がりがある程度落ち着いた瞬間、司会役の騎士が「そして…」と言う。空気が変わったことを察した生徒たちはシン…と静まり返り、司会の次の一言を待った。


しかし、司会は何も言わずその代わりに生徒たちが座る席の一角にスポットライトが当てられた。


そこにいたのは、かの三勇が一人、オルウェル・ウィルテーゴ。


…と、その妻であり、同じく三勇の一人、マーヤ・ウィルテーゴ。



かなり本気で驚いた。そして笑った。まさか、マーヤもいるとは。アルティオ、聞いていないんだが!?

まさに最高のサプライズだ。


安心するべきかどうかはわからないが、二人とも以前と変わらない容姿であった。


しかし、オルウェルとマーヤのダブルパンチで来るとは…。えげつないな。

現に生徒たちは収拾がつかないほど湧いている。二人が出てきた瞬間、生徒は数秒思考停止し、思い出したかのように歓声が湧いた。二人がいる付近にいた生徒なんて痙攣しかけている。


というか、今このホール内に三勇が揃っているという事実。一生徒たちには些かサービスがすぎる状況である。


この後二人から軽い自己紹介があったのだが、興奮のあまり覚えていない生徒が多かったのだとか。九歳の子どもたちには少し衝撃が強すぎたのだろう。




例のごとく、書いていたら一話分になったので、ここで切ります。


ようやく全員が再会できます…。


これが終われば、やっと第四章のラストが見えてくるというもの。


それなりに話数はかかりますがね。


ではでは。

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