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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.51 休日、ダンジョンに入りて

「へぇ、ガルノの学友か!リアムだ、よろしく」


「こちらこそよろしくお願いします」


ギルドにて、ガルノラルクを待っていた二人の冒険者と合流し、軽く挨拶を済ませた。


一人はパーティの盾役を担っているリアム。高身長で所謂細マッチョだ。今は、防具も盾も外しているので軽装である。


もう一人が剣士役のゼクタ。彼の身長は平均的な高さであり、リアム程筋肉は目立たない。腰には短刀があるので、一撃離脱型の剣士だろうか。


また、二人とも年齢は二十半ばと言ったぐらいで、この国では一般的な茶系統の髪をしている。また、彼らの冒険者ランクはBランクであった。


彼らから聞いたところ、元々この二人は幼馴染で小さい頃からよく一緒にいたそうだ。冒険者登録してから、二人でパーティを組み、Bランク冒険者まで上り詰め、最近はここのダンジョンによく潜っているそうだ。


しかし、ダンジョンに潜ったはいいもののパーティが二人だといまいち安定せず、もう一人か二人中距離もしくは長距離をカバーできる人材が欲しかったみたいだ。そこで見つけたのがガルノラルクであった。


ときは一年ほど前。冒険者登録したてのガルノラルクは、傍から見てもウキウキだった。彼は早速と言わんばかりにダンジョンに行こうとしていた、がダンジョンのルールで少なくとも二人以上で入るというものと初心者には危なすぎるという理由で見事に追い返されていたそうだ。

ガルノラルクはギルドで一緒に付いて行かせてくれと多くのパーティに懇願したが、完全に子どもなので当然のごとく跳ね返されていた。


そんな彼に声をかけたのが、この二人であった。それは本当に二人の気まぐれであった。そのときはそれなりに貯金があったので、この子どもを少し鍛えて、それでももし使えなさそうなら切り捨てようかな、と考えていたそうだ。

しかし、いざその実力を見てみるとその認識は一変。初心者冒険者にあるまじき実力。こいつは強くなると確信した二人は正式にガルノラルクをパーティに迎えることにしたのだそうだ。


「ま、ガルノは学園に合格したからこうして学園が休みの日に一緒にダンジョンに潜るんだけどな」


ダンジョンの入り口に向かうために街中を歩きながら、リアムが大体の説明をしてくれた。


「ゼクタも俺も弟ができたみたいで嬉しいんだわ」


そういってリアムは後ろを歩く二人を見る。


「ほう、テストで満点取るとは…やるじゃねえか、ガルノォ!」


「フ、ゼクタさん、俺にかかれば、こんなの楽勝ですよ」


「ませやがって、このガキが!」


ゼクタがガルノラルクの頭をクシャクシャしながら、楽しそうに会話している。ガルノラルクの学園では見ない一面が見えた気がする。確かにこうしてみると兄弟そのものだな。


「リアム、どうした?お前もやるか?」


「いやいい」


「お、そうか。…そういえばシャックだったか?ギルドカード持ってるか?ダンジョン入るとき必要だぞ」


「はい、持ってますよ」


そう言って服のポケットからギルドカードを取り出し、見せる。するとそれを見たガルノラルクが驚きのあまりナツトのカードを手に取り凝視する。


「はぇ!?シャックお前もCランクかよ!?」


「お、本当だ。学園の生徒は優秀な子が多いな」


「ま、お前だけが特別じゃねぇってことだ。残念だったな」


リアムが慰めるようにガルノラルクの肩を優しく叩いた。


「ガルノもCランク?」


「ああ、リアムさんとゼクタさんの修行のお陰でな。シャックも誰かに手伝ってもらったのか?」


「いや、僕の場合はちょっと変則的というか…」


そんなとき、シャックのギルドカードを見ていたゼクタが気付いた。


「マジか!すげぇなシャック。資格系コンプリートしているぞ!」


資格系とは、飛行魔法、転移魔法、回復魔法の三大資格魔法のことである。


「本当か!?」


「え、シャックおま、それ、え?嘘だろ…俺、やっと飛行魔法取得したってのに」


なんだか、ギャグみたいな展開になってきた。収集がつかなくなってしまった。



数分後。


「なるほどだから変則的、飛び級って訳か」


「はい。だから魔物との戦闘経験自体は少なめです。あ、ガルノ、これ出来るだけ内緒でお願い」


決して嘘ではない。千年前ナツトが戦っていたのは主に過激派の魔族たちで魔物との戦闘経験はそこまでであった。


「…いいぜ、その代わり俺にも転移魔法とか教えてくれよ」


「了解」


「うんうん、友情。いいねえ」


「ゼクタさん、何言ってるんですか?」


「それはさておき、シャックは魔法が得意なのか?」


「はい、それなりに」


「シャックは近接もいける口だぞ、学園で見てる」


「ほう、ガルノが言うならかなりのものだな」


「…よし、ではこうするか。シャックは魔法メインの後方で立ち回ってくれ。そして必要であれば近接戦闘だ」


「わかりました」


「その他はいつも通りで…よし、では入るとしよう」


気付けばダンジョンの入り口前。入り口の手続きでギルドカードを認証し、中に入る。入った瞬間、ズンと魔素の濃度が上がったことが肌で感じられた。


「そうだ、シャック、武器は…っていう必要なかったか。そりゃそうか資格全部持ってる奴が収納魔法を会得していない方が不思議だもんな」


言われるより早く、ナツトは収納から自分の丈ほどある黒い杖を取り出していた。この世界では収納魔法はそこまで珍しい魔法はないため、資格系がバレた時点で隠す必要がないと判断したのだった。この杖は千年前の暇なときに作ったもので、手に馴染む。愛剣の『帝』ほどではないが。帝は下手に表に出せない。出すとすれば最終手段といった時ぐらいだろう。


少し進むと、早速と言わんばかりにスライムが十匹出現した。保護色とか一切知らないと言わんばかりに赤、青、黄、緑などと言ったカラフルな集団であった。大きさはどれも三十センチほどですべての個体に核が見られる。核があるスライムは雑魚である。危険度的にはせいぜい初心者が出会えばそれなりに危ないといったぐらいだろう。


「ちょうどいいな、シャック、あいつらを試しに倒してくれ」


「わかりました」


ここは狭めの一本道。ダンジョンは普通の洞窟と違い、強固であるが下手に爆発系を放つのは避けるべきだろう。一番周囲への影響が少なそうな魔法が望ましいだろう。

とすれば、だ。


「籠風」


手始めにスライムたちを渦巻く風で巻き上げ、一か所に集める。


「水球」


次にそのスライムたちを魔法で作り出した水で完全に包み込む。


「氷結」


そしてその水をスライムごと完全に凍らせる。そして、最後に一緒に作った氷結槍(アイスランス)を高速でぶつければ、核ごと木っ端みじんに砕け散った。


「完璧だな!よし、これを見てくれ。今日のターゲットは、このブラックマンティスだ。三人なら少し厳しめだが、この四人なら行けそうだ」


リアムが説明を始める。ブラックマンティス、つまり黒い蟷螂は、今ナツト達がいるところよりもう少し深いところに出現する魔物ようだ。危険度ランクは星三に分類され、Cランク以上推奨の魔物である。また、蟷螂のくせに群れて生活するため、狩るのが大変な魔物である。





「よしいいぞ、後二匹だ!」


あれから二時間程。目的の階層まで到達したナツト達は、ブラックマンティスと対峙していた。探知能力に優れているのか、不意打ちはできなかったが想定の範囲内。ナツトの身体強化魔法のバフをかけるところから戦闘が始まった。やはり、群れで行動しており、今回は四匹の群れであった。


場所はダンジョン内のそれなりに開けた場所。お互いに四対四。数では同じであるが、油断したら簡単に殺されるだろう。それにダンジョン内は暗いため、彼らの黒い外殻が見事に溶け込む。そのため、「光球」と呼ばれる魔法でフロア全体をナツトは常に照らしていた。


とりあえずナツトは後方支援に徹し、邪魔しないように熱線照射等の魔法を撃ち、全員のカバーを行っていた。

今回ナツトが入ったことにより、ガルノラルクも前衛に出ており、魔法を使いながら銀色に輝く剣で戦っていた。時折、彼の魔法が蟷螂の後ろから飛んできたりしている。簡単に言うとこれが彼の『権能;遠隔』だな。相手の意識の外に用意した魔法で虚を突きやすく、一人で多彩な攻撃手段が取れるのが大きなアドバンテージだ。普通に使っている辺り、どうやら、二人に隠しているわけではないようだ。


蟷螂の外骨格は魔法の効きがあまりよくなかった。そのため、魔法を付与して威力を上昇させた武器での攻撃や、一点に集中させた魔法で戦う必要があった。しかし、警戒心も高く正面突破をしようと突っ込めば、亜音速で振り下ろされる鎌で両断されるだろう。

それを崩す手段が、転移魔法である。最初の二匹は、警戒されていなかったから上手く刺さった。

ナツトの転移魔法で前衛であるゼクタとガルノラルクがそれぞれ蟷螂の背後に転移し、見事首を落とした。


それを見た残りの蟷螂たちは前衛が消えたことでナツトに素早く詰めてきた。本能かどうかはわからないが、ナツトが一番鬱陶しい存在だと持っていたのだろう。内一体は、リアムが止めたが、もう一体は鎌でナツトを斬りにかかった。ナツトは焦らずすぐに、あらかじめ準備していた自分用の転移魔法を起動させ、前衛二人の背後に移動する。

置き土産として、その場に設置型の爆発魔法を残して。


直後その蟷螂が爆発に巻き込まれ動きが止まっているうちに、リアムが止めているもう一体を背後から前衛二人が潰しにかかる。

ナツトは、爆発した方を仕留めるため、杖に氷を纏わせて刃を作り槍のように投げた。もちろん、今の体の素のままでは大して飛ばないので身体強化のフルドーピングと、外れないように槍に久々に使う『権能;誘導』を紐づけた。このタイミングなら他の人にも気付かれない。


そしてほぼ同時に残りの二体を仕留めるに至ったのだった。







「全員、お疲れ!!」


一行は、迷宮から出て、蟷螂のいらない部分の素材を売ってできたお金でレストランに食事しに来ていた。


「動きやすかったな。ガルノが前衛メインで立ち回れたの初めてじゃないか?」


「ああ、やっぱりすげーなシャック。お前ただもんじゃないな」


「何言ってんだガルノ。お前ら二人ともただもんじゃないぞ。九歳だろ!?お前ら優秀すぎだ!大人にいいかっこさせやがれ!」


と、ゼクタが愚痴半分、褒め半分と言った具合で話す。

大人二人は酒を飲んでテンションが高い。ナツトとガルノラルクはジュースを飲んでいた。


今日一日でガルノラルクと結構親しくなったと思う。これもダンジョンのお陰か。

手に入れた素材は、パーティの装備更新に使うそうだ。最初は、ガルノラルクの誕生日プレゼントとして、剣を作るつもりだったようだがナツトの収納魔法のおかげで蟷螂は全部回収できたのが大きいそうだ。

それを聞いたガルノラルクは感激していた。ひっきりなしに二人に感謝していた。


その後、リアムから「パーティ入るか?」と聞かれたが、下手にどこかに所属するのは立場的にやめた方がいいと思い、断った。リアムは、「そうか」と言い、「でも、たまに手伝ってくれ」と続けた。

その程度なら支障がないので、それに対してはナツトは快く了承したのだった。



長くなったけど、なんとか終わった。



さて、本日は五十話記念として二話更新


…と、まぁ一時の一日三話、四話更新していた勢いを見るとそれがどうしたって感じになりますが、それは置いておいて…


ここまで来るのに体感的にはそう長くないです、意外とすぐというか。


ま!更新頑張ります!ではでは~

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