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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.48 学園の教育方針

学園の教育方針の一つとして、生徒の想像力を高める、というものがある。


狙いは、単純に世に出たとき考えて動ける人材育成のため。

また、魔法をより上手く使えるようになるためだ。


何度も言うようだが、魔法とは想像力の結晶である。想像力がなければ、高度な魔法を行使することなど無理な話である。


そんな意味でも、幼い頃から想像力を鍛える訓練を積むことは非常に意義があると言えるだろう。


例として、ある日の歴史の授業を見てみよう。





「これは約千年前のこの星の世界地図です。そして、これが今の世界地図です」


そう言って、歴史担当の女性の先生がホログラム画像を映し出した。

学園の授業は、教室指定である。時間までに指定された教室に向かい、そこで授業を受ける。一応クラスごとに教室があるにはあるが、ホームルームの時間ぐらいしか使わない。


各教室によって構造は少し変わるが、基本的に段になった机に生徒が着き、正面の大きな黒板といつかの電車で見たホログラム機械に似たものを使って先生が授業を行う。


黒板にも仕掛けがあるようで、書いた文字や図を拡大縮小することや、色を変えたりすることもできるようだ。


便利なことだ。



ノートやペン、ファイルなどの文房具も充実しており、生徒たちは各自でそれらを買い揃え、授業を受ける。


つくづく魔法がなければ地球にいた頃の教育環境と大差ないと感じる。


「さて、そこの貴女。この二つの地図を比べて感じたことを言ってください」


「は、はい!」


前の方に座っていた女子生徒が当てられた。ちなみにナツトは後ろの方に陣取っている。後ろが落ち着くのだ。


女子生徒は緊張しながらも思ったことを答えた。


「え、えっと…。国の数が全然違うと思います」


「そうですね!その通りです。彼女の言う通り、千年前と現在とでは国の数がまったくと言っていいほど違います。具体的には現在は世界の国の数はギルド総司令部を除いて14ヶ国。しかし、千年前は約100ヶ国です。しかも、千年前はこのラーテル王国のあった大陸に国がなかったのに、です」


ここで先生は一度発言を止めた。


「というわけで、今日の本題は『なぜ、今と昔ではこんなに国の数が違うのか』です。そうですね、近くの人たちと六人ほどでグループを作ってそれぞれの意見を出し合ってください。そして、それをグループで纏めて、最後に発表して貰いましょうか。では早速、グループを作って始めて行ってください」


グループワーク、嫌いな人はとことん嫌いなものである。ナツトは嫌いとまではいかないが、好き好んでやる方ではない。

そして、このグループワークはあることを満たすか否かで心の安心度が雲泥の差となる。


それは、グループ内に知り合いがいるかいないか、である。いたらかなり楽になる。しかし、いなければキツイ。誰かが勇気を出してきっかけを作らなければならないのだ。


そして、今回はというと、ナツトと同じグループにイアノンがいた。後は現在までほとんど会話したことのない男子一人と女子三人。悪くない男女比である。

[00:43]

イアノンは王子とあってリーダーシップがある。それに彼は美形だし、多分だが女子からの人気も相当なはずだ。

ここは、さりげなくグループのリーダーをイアノンに押し付けるのがいいだろう、とナツトは瞬時に判断した。


グループのリーダーを押し付ける方法はそこまで難しくない。悩んでいるフリをして黙っておくのだ。こうすれば、リーダー性を持つ人が仕切ってくれるのだ。

そして、リーダーを任せる代わりに、リーダーはみんなの意見を聞いてから自分の意見を言うことができるという特権が与えられるのだ。


「じゃあ、みんなの意見を聞かせてくれ。そうだな…シャックから右回りで行こうか」


いきなり来た。いや、考えれば至極当然のことだ。


ナツトだって意見を聞く立場に立ったとき、グループ内に知り合いがいて、その他はあまり知らない人たちならば、真っ先に知り合いを当てる自信がある。


自分なりの考えはある程度まとまっている。一番目だし、所々省いて改良の余地を残す意見にしよう。


「そうだね…戦争のせいじゃないかな?二つぐらい大きな戦争があったよね?それのせいで国の数が減ったんじゃないかな?」


よし、悪くない。子どもが答えそうな大雑把な答えだろう。戦争のせいとは言っても、戦争のどの部分が国が激減した原因になったのか、という肝心な部分が抜けた解答である。



「なるほど…ね?」


チラリと怪しむようにイアノンが視線を合わしてくる。その視線は「もう少しあるよね?端折りすぎでは?」と言っているようだ。


知らないな。なんのことやら。


「……。…次大丈夫かな?」


「あ、うん」


諦めた様子のイアノンは次の人の意見を促す。

こんな感じで一周回り、イアノンもナツトに近い意見を述べて、全員の意見が出揃った。


例えば、魔物の影響という意見や世界各地にいろんな種族が散らばったことによる人のグローバル化など。転移魔法が発展したことも相まって、これは必然のことなのかもしれない。


なかなか、面白い意見だ。


魔物の影響の方はひとまず置いておいて、各地にいろんな種族がバラけた原因は何かと考えればやはり、千年前の魔王との戦いに帰着する。


彼の戦いにおいて、全種族に戦争を吹っかけた魔王ディタロは、現にいくつかの種族を滅ぼすか、滅ぶ少し前まで追い詰めた。

しかし、その一方で各種族も結託したので、それまで弱かった各国との関わりが強くなり、国同士の仲もかなり改善されたという戦争により引き起こされたいい面もあったわけだ。





各グループの発表のときも、基本どのグループにも過去の大戦が影響しているのではないか、といった意見が多く聞かれた。

そして、やはり魔物の話も挙がった。現在も一部地域は魔物が蔓延る魔の領域として存在している。そして、人々が魔物に対して十分な対策するために、比較的弱い小国ではなくて強く大きな国を作ったなどの意見が出た。

後は、国をたくさん作るのが面倒くさいだけでは、となんとも愉快な思い切りのよい意見もあった。こういうちょっと言い出し辛い馬鹿正直な意見を出してくれる人もいるようだ。



「沢山、みなさんの考えが出てよかったです。やはり、かの大戦が現在の国々の数に影響していると思う人が多いようですね。結論を言いますと、今回の問題にただ一つの答えというものはありません。複雑に絡み合ったいろいろな物事の結果、今があるのです。次の授業から世界の歴史を見ていきます。そして、今回私が課した事に今回みなさんが出した考えが果たして本当に影響を及ぼしていたのか、みなさんなりに答えを出してみて下さい。それでは、少し早いですが、今日はここまでとします」



成程、歴史を学ぶ先駆けとして、このグループワークを課したのか。生徒の関心を過去の大戦に向け、入りやすくしたのか。


お、十分も早く終わった。ちょうど昼だし、お昼ご飯食べに行こーっと。



この春の間にナツト死亡後の歴史を書けたら進み具合としては最高。


あと、前々から言っていた章分けは無しで行くことにしました。四章、他と比べるとかなり長くなること決定。

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