Ss.3 とある王女の心の内
こんにちは、私はチェルーティア・オル・ラーテル。
ラーテル王国の王女として、この世に生を授かりました。
幼い頃から、多くの教育を受け、王女として恥じぬよう日々過ごしてきました。
ときに嫌になり、投げ出してしまおうかと何度も何度も思っとときがありましたが、私が生まれたときからずっと専属メイドとして助けてくれた、クラリィの励ましのお陰で今まで無事生きてこれたと日々感じております。
…………う~ん、やっぱりやめ。堅苦しい言い方は止めよ。
城の部屋の中だけ、普段のお母様を参考に身に着けた振る舞い、口調を捨てて素の私を出せる。
クラリィも最初は困り気な顔をしていたけど、今ではこれが日常となっているから、何も問題はないの。
私の素を知っているのは、お父様とお母様、クラリィと後はフィー爺ことフィーディースかな。あ、あとその奥さん。
そんな私は普段からずっと欲しいものがあった。それは友達。それも自身と同じぐらいの年齢の。
こればかりは、いくら願っても手に入れることはできなかった。
だから、私はお母様の学園に入学することを今か今かと心待ちにしていたの。学園に入学すれば、きっと友達ができる。そう願ってきた。
それに、お母様の学園は世界でも有数のエリート学園で、世界から留学生も結構入学する。私は幼い頃から魔法に関する訓練なども受けてきて、浮いてしまうかもしれない。でも少なからず入学生徒の中に私と同等もしくはそれ以上の生徒がいてもおかしくない。それに、能力だって…………。
こんな風に、期待と悩みを半々に入学を待っていたの。
それで、今に至る訳ね。
今はお昼時。私は、食堂に来ていて、昼食を食べている。あったかいご飯が食べられるのも、お母様のお陰。一応、一般的な毒物を認識して無害なものに変える魔法具を首にかけているけど、こんなのあまり信用できない。城で毒物関連の訓練は結構行った。あまり思い出したくないけど。
と、それはさておき私の周りには四人のクラスメートが座っている。
彼らはクラス、いえ同学年の中で特に隔たりを感じさせることなく接してくれる。他の同級生も話しかけてくれるんだけど、話しているとやっぱりどこか私のことを王女として見ていて、同級生としての私として見てくれていないと感じる。
でも、この四人は違う。本当の意味で同級生として接してくれている。ただそれだけで本当に嬉しい。
一人は、イアノン。ネララバール王国の王子で留学生として入学。現在は寮生活で滞在している。王族なのに寮で生活しているなんて、珍しいこともあるものね、と思ったけど、理由が「面白そうだから」というのを聞いて、ちょっと独特な人だなって感じた。
後は、婚約狙いかな、とも思っていた。ちょうど同じ年齢だし。自分でいうのもなんだけど、私の影響力って相当なものよね。仮にイアノンのような他国の王子などと婚約を結べばかなり世界が荒れるという自信がある。だって、ねぇ…………私と婚約を結ぶだけでラーテル王国がバックにつくようなものだし。私の婚約はそれだけ慎重に決めないといけないってことで、私個人としては結婚は憧れるけど、今から考えると憂鬱ものよね。あ、話が逸れちゃった。イアノンが私との婚約狙いで留学してきたのかなって思ったけど、今のところそんな感じの動きはない。小説とか読んでいたら、王子っていう人たちはグイグイ来る印象だったけど、そうでもないかなって最近思うきっかけになった。
次に、ウルヴァロ。確か特別推薦の生徒だったかしら。特別と言っても、普通に試験は受ける必要があるから実際あまり他と違いなんてないけどね。最初は、私に対して緊張していた様子だったけど、周囲に揉まれた結果からか、今では普通に接してくれる。他の人があまり気付かないような細かいところに気を配れるまじめな男の子だ。
次にノアラナチア。同じ女子というだけあって、一番仲のいい友達。彼女のウルヴァロと同じく最初は緊張していたけど、今は普通に接してくれる。彼女もまじめな生徒で、いつも明るい笑顔を見せてくれる。城の中だとあまり知ることができない話も多く聞かせてくれて、話していて楽しい。
そして、シャック。彼は特別な身分というわけではないが、他の生徒とは決定的に違っていた。彼と初めて会話したとき、それこそ彼は敬語だったが、他と違って私が彼から感じたのは緊張していたのではなく好奇心だった。王女という私に一切緊張せず、まっすぐ返事してきた。正直吃驚した。
でも同時に、彼が入学の少し前にテレビで見た男の子であると確信するに至った。
数日後に魔法訓練の授業で彼とペアを組む機会があった。その時に彼の魔法技術がどれくらいのものなのか試してみた。テレビで見た通りならば、転移魔法は使えるはず。それならば、多少弾数が多くても当たらずに躱しきれる出そうと考えた。結果は見事すべて当たらずに躱しきって見せた。なんなら、最後の方は弾で遊んでいた。
確信した。確実に彼は私よりずっと魔力の扱いに長けている。特別な教育も受けていないはずなのに一体どうしてここまでの実力を持っているのかとても気になった。
それだけじゃない。彼の魔力の扱いはきっと参考になる。他人のいいところはどんどん盗んでいけ、とどこかの本で読んだことがある。是非ともそうさせて貰おうと私は思った。
それから少しして、彼ら全員が能力を持っていたのは今年一番の衝撃だったわね。
これからみんなで能力を高めあっていくのはとても楽しそう。
中でもシャックのだけ、珍しい内向系能力だった。彼は知識を多く持っている印象があったから納得ね。彼の能力は日常生活での大いに役立ちそう。学年ごとに学級委員を決める必要があるみたいだし、誘ってみようかな。書記とか向いてそう。
彼は、しばらくは能力と魔法を上手く併用する方法を練習すると言って、魔法を練習している。ニコ先生にも許可を取ってるみたいだし、彼が能力をどう生かしていくのか楽しみね。
…………いつか、みんなと素で接したいな。
久々の番外編。ちなみにもう一話番外編が続きます。




