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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第4章】初代勇者の学園生活►中等部編◄
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Ep.44 学園長室にて

アスタナチアの名前をノアラナチアに変更しました。

「…なにこれ?」


朝いつものように登校してきたナツトは自身の机の中にナツト宛の茶封筒があることに気が付いた。

少し不審に思ったが、差出人は学園長、つまりはミューカであったのでその感情はすぐに消えた。封を破り、中身を出した。

中には二つの書類、というより手紙が入っていた。


一枚目の内容を確認した。内容のポイントをまとめるとこうだ。


能力を有しているため、その制御法を知る特別授業を受けることの推奨。そして本日の授業終了後に、ある教室で説明を行う。なお、受講は自由である。


…なるほど、参加は自由なのか。でも、ちょっと気になるので説明を聞きに行ってみることにしようか。さて、もう一枚の方はなんだろうか。


そう思い、ナツトはもう一枚の方を開いた。見た感じこっちの紙はなんだか少し高そうな紙だった。


紙を広げるとそこには綺麗な字でただ一言こう書いてあった。

「お昼を食べてからでいいので、昼休みに学園長室まで」

この字は間違いなくミューカの字だ。それにしても昼に呼び出しとは、一般生徒ならどんな説教が待っているのかと思ってしまいそうなものだ。






さて、時は進み今は昼休みの真っただ中。

サッと昼食を済ましたナツトは用事があるからと、チェルーティア、イアノン、ノアラナチア、ウルヴァロに伝え、学園長室に向かった。


学園長室の荘厳な両開きの扉をノックし、返事を聞き、入室する。

中はかなり広く、入って正面に大きな黒い執務机が設置されており、その周囲にはファイリングされた資料や本が本棚に並べられていた。右を見ると入り口の高さから一段下がったところに来客が来たとき用の黒いソファが二つ、高そうなテーブルを挟んで置いてあった。


「いらっしゃい、そこに座って」


ナツトが来たことを確認したミューカは執務机から立ち上がり、ナツトをソファの方へ誘導した。


「ナツト、コーヒーか紅茶どっちがいいかしら?」


「うーん、じゃあ、コーヒーで」


「わかったわ、ブラックでいいかしら」


「うん、いいよ」


ミューカは棚にあった給湯器からお湯をポットに入れ二人分のコーヒーを用意した。


「はい」


「ありがとう、いただきます」


…美味い。流石ミューカ。一学生にはもったいないコーヒーだ。


「それで?今日は何の用事?やっぱりあの手紙関連?」


「一つは、そうね。ナツトは受けてみるの?」


「…まぁ、気になるから説明ぐらいは行ってみようかなって。それで楽しくなりそうなら受けるかな」


「そう、でも楽しいか楽しくないかの心配はいらないわよ。なんたって担当教員はこの学園きってのエース教員だもの」


「ミューカがそこまで言う教師がいるんだ」


「私の教え子なんだけど、それ以前から自分の子どものような子よ。彼女から率先してやりたいって聞いたから、やらせてあげようって決めたのよ」


「へ~、なんだか楽しみになってきたなぁ」


彼女、ということだから女性の教員なのか。しかし、ミューカがここまで推すとは、相当なものだな。それに、能力の制御を教える授業という性質上、教員も能力保持者である可能性が非常に高いな。


「時間も限られているし、もう一つの方に話を移しましょう。この話は学園には関係ないのだけど、ナツトには知らせておくわね。近いうちにマーちゃんとオルウェルが帰ってくるわ」


「お!やっとか!」


「あの二人が途中で会わなかったらもう少し早くに帰っていたんだけど…。まったくあの二人ときたら…仕事しながらバカンスを満喫してくるなんて…」


「ハハハ、そうだったんだ。そういえばあの二人は結婚してたっけ」


「そうよ。あーあ、私もたまには旅行に行きたいわ。あの二人の自由な振る舞いは少し羨ましいわ」


「また、全員揃ったらどこかに遊びに行けるといいね」


「そうね、絶対行きましょ」


そこから、授業開始五分前まで話し合った。学校生活はどうか、とかチェルーティアは馴染めているのか、などといった教師ではなく親としてのミューカと話した。チェルーティアの話になるとミューカの表情がころころ変わっていることに気付いた。千年前はここまで顕著じゃなかったのに、いい意味で変わったなと思ったナツトであった。


「そうだ、ナツト。貴方、今何かやりたいことはあるのかしら?」


「やりたいこと…?うーん、今は学生生活を満喫するぐらいしかないなぁ…」


「それなら、千年前はやらなかったことをすることをお勧めするわ。そうね、魔法ばっかりだったからそれ以外の…例えば音楽関連とかかしら。確か貴方、知識はあっても経験はなかったでしょ?」


「…音楽か。いいかもね。幸いにも時間はたくさんあるし。それに音楽に限らず何か新しいことするのはありだね」


確かに何か目標を持っていた方がいいな。ミューカの言うように千年前は魔法関連ばっかりに目が行ってそれ以外のことはあまり興味がなかったな。役に立つかも、と思って知識とかは頭に入れたけどそれ以上まで発展させていなかったな。地球にいたときは楽器とかそう言った音楽関連はやってなかったから、今世でやるのはかなりいい案だ。

ミューカが言うには、放課後に学業とは別に習い事のような活動を学内で行っているからそれに参加するのもお勧めなんだとか。とりあえず頭の中に入れておくことにした。


「ご馳走様。楽しかった、ありがとうミューカ」


右手の人差し指をクルクルと回転させて自分とミューカが使ったコーヒーカップを宙に浮かせて綺麗に洗う。その後すぐに水気を飛ばし、再度コーヒーカップを机にゆっくり置いた。


「こちらこそ」


「じゃあ」


簡単に挨拶を済ませ、部屋を後にする。あと数分で授業が始まるため、少し早足で教室に戻った。





それからあっという間に午後の授業は終わり、ナツトは指定された教室へ向かう。場所はナツト達中等部が使っている校舎の、なんと地下にあった。地下があるとは聞いていなかったが、それもそのはず。手紙に書いてあった教室への行き方には、教師用エレベーターを使うよう指定されていたのだ。地下に向かう階段は見当たらない。地震とかの災害が起きたときにエレベーターが止まったとき用の何かしら地上に向かう手段はあるとは思うが、それがどこにあるかは不明だ。


そこまでして隠したいものがあるのかなと思いつつ、地下に向かった。


地下は、ひんやりとしていて少し肌寒かった。エレベーターを出ると灰色の壁と廊下がまっすぐ前方に続いており、左右に鍵のかかった部屋が並ぶ。廊下をそのまま進み、その突き当りにある教室がどうやら指定場所らしい。


突き当りには両開きの扉がずっしりと構えており、扉の隙間から光が差し込む。どうやら、鍵は開いていて、扉がずれているようだ。


ナツトは扉の取っ手に手をかけ、ゆっくり開いた。




はい、またもや先延ばし。


書いているうちに一話分になっていたと。


ま、いいとしよう。変に展開を早めるのはよくないしね。

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