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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第3章】ラーテル王国建国祭
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Ep.34 友との会話

「アルティオ……って、ちょ、何してるんだ?」

アルティオと向き合って固まっていた夏翔はいつの間にか傍に来たアルティオに抱きしめられていた。恥ずかしいから一瞬やめてほしいと感じたが、アルティオの体が小刻みに動いているのに気付きそんな気持ちは消え失せた。

夏翔からすれば一瞬のことだったが、アルティオ達からすれば千年も時間があった。彼らの抱えていた重いというのは計り知れないものだろう。

夏翔はアルティオが満足するまでそっとしておくことにした。


「わっ!?」

数分間抱きかかえられていたが、突然持ち上げられソファに座らされる。アルティオは先ほどのように対面側のソファに腰かけた。

そのタイミングで、フィディースが入室しお茶とケーキを置いてすぐに退室する。


「…さて、いろいろ話したいことはあるけど、お帰り、ナツト」


「…ただいま」


「…しかし、予想はしていたけど随分と小さくなたったね。でもいざ闘技場で見たら思わずビックリしたよ」


「確かにね、転生したとき自分でも驚いたよ。でも、赤子じゃなかったのは幸いだったかな。…あ、そうだ、報告って言ったよね。フィディースさんも言ってたけど、どうやって僕が本人を見つけたの?」


「あぁ、それね。これ、覚えているかい?」


アルティオはそう言って、収納魔法を使いあるものを取り出す。それは黒い板だった。夏翔はそれを入国審査の際に見たことを思い出す。


「入国審査の時の…」


「そう、これは我が国が開発した新たな確認装置さ」


アルティオは説明する。既に世界各地で一般的に使われている透明の板の役割は魔力の登録。アルティオは先ずこれを上手く改造して、魔力の登録と同時に魔力量の計測と登録者が収納魔法を有しているか調べることができるようにした。先ず入国者はこれを使用し収納魔法の有無を確認する。

なければそこで終わりで、あればこの黒い板の出番というわけだ。

この黒い板の役割は収納魔法の中に入っているものの確認だ。この黒い板は魔力を通すことでその魔力の持ち主の収納内を丸裸にすることができるのだ。この技術はテロを防ぐうえでも効果は絶大で、何度か未然に防ぐこともできたそうだ。今は友好国ぐらいにしかこの技術は公開していないそうだが、元々夏翔検出のための装置だから今後は世界に本格的に広めていくことにするらしい。


「この装置からわかる判断材料として挙げたのは二つ。一つは収納内に入っている魔物の素材。魔物の素材の中には今では絶滅したものもあるから、その素材を所有している者はかなり怪しくなる。もう一つが、君の武器『帝』だよ。武器の見た目を共有してあるから収納内にそれが入っていれば本人の可能性はぐっと高まるわけだ。全入国管理局にこれらの条件を一つでも満たす者が入国すれば即座にこちらに連絡するよう手配していた。そして、ナツトはその両方を満たしていたからね。報告してくれた入国管理官はとても声が上擦っていたよ。…あぁ、大丈夫。管理官は契約魔法でいかなる形でもこの話は漏らせないようにしているから」


アルティオの話を聞いて納得する。謎だった黒い板の正体がわかりモヤモヤが一つ晴れる。

そうだ、モヤモヤと言えばあれの答え合わせがまだだった。


「アルティオ、リコアに来るまでに超速特急っていうのに乗ってきたんだけど…」


「あぁ、あれね。スピードも速くて乗り心地もよかったでしょ?何か疑問に思ったことでもあったかい?」


アルティオは知っているようなそぶりで夏翔に問う。

「単刀直入に聞くね?…能力の魔法化をしてるよね?」


アルティオの顔を直視する。数秒してアルティオが笑う。


「正解だよ流石、ナツト。よく気付いたね。でも、まぁこの話を全て語ろうとすると時間がとてもかかるから説明はまた今度ということで、とりあえず正解とだけ言っておくよ。今は夏翔がここに来るまでの経緯を聞かせてくれないか?」


そこからしばらくこれまでの経緯を順に説明した。




「そうだ、あの女の子って誰?」


一通り話し終えたときふと開会宣言時にアルティオの後ろにいた女の子を思い出した。


「あぁ、チェルーティアか。あれは私とミューカの子だよ。今年で八になる。そういえばナツトと同じ年だね」


そう言うアルティオは凄い偶然だねと後に付け足して言った。しかしどこかわざとらしい。


「いや、実年齢は八歳じゃないって」


「…でも、ギルドカードには八歳ってなっているよね。見た目は完全に八歳に見えるし」


そう言われると何も言い返せない。


「…子どもは一人?」


「そうだよ。…千年もあったのにという質問は不要だよ。理由はいろいろあるけど一番大きいのは転生魔法の解析が進んで君が千年後に転生する可能性が非常に高いことがわかったからだ。ミューカがそのほうが面白そうだと言って聞かなかったんだ。マーヤとオルウェルは結構前に子どもを産んでいたけど」


「へぇ~…………えっ?あの二人結婚したの!?」


「言ってなかった?そうだよ、二人もその子どもたちも元気にしているよ」


意外なところでマーヤとオルウェルの生存確認と衝撃の事実が手に入った。しかも話しぶりから複数子どもがいる様子だ。


「今、千年という月日の凄さを知った気がするよ…全員結婚しているとは。でもオルウェルは元からマーヤに気があったし当然と言えば当然の結果か」


「ははは、確かにね、あれはわかりやすかった。…そういえばナツトも千年前好きな子言ってたじゃないか」


「…その話は忘れてくれって言ったじゃん…。あれはお酒のノリだよ…。」


それからは他愛もない会話が続いた。千年間で何があったのか、笑いと一部悲しみを交えながら話し合った。途中、祭りの後処理はしなくて大丈夫かと聞いたが、「何も問題ない、気にしないでくれ」ときっぱり言われた。彼がそういうなら大丈夫なんだろう。この件はもう考える必要はないようだ。


あと、現状夏翔が帰還したことはアルティオとフィディースしか知らないそうだ。夏翔かどうか本人確認が済んだら全員にも知らせようとしていたそうだが、このままどこまで隠し通せるか試してみるのも楽しそうだ、と言い出すアルティオ。

夏翔も面白そうだと思ったのでそれに乗っかることにした。



「そうだ、大事なことを言い忘れていた」


「大事なこと?」


「戸籍だ」


「あぁそれは確かに大事だね」


「基本的にギルドカードがあれば入国審査は抜けられるんだが、今のナツトにはどこで生まれた等諸共の情報が一切ないわけだ。それは今後大きな問題に繋がる可能性がある。そこでナツトの戸籍を作る必要がある。…というか千年前に君が住んでいたこの国しか作れない」


「…まぁ、そうだよね」


「じゃあ、つくるってことでいいかな?」


「うん、デメリットはないし…」


「よし、じゃあこれ」


アルティオが一枚の紙を取り出し、手渡してきた。


「…なにこれ?国立グラル学園の入学案内…?…ま、まさかアルティオ…」


「すまないね。この国では八歳は普通、義務教育を受けている年齢なんだ」




これにて3章はおしまいです。


この後は短めの番外編一つと人物紹介を挟みます。

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