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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第3章】ラーテル王国建国祭
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Ep.33 建国祭最終日

今日も昨日と同様武闘大会の会場に来ていたのだが、遅れてしまったことで会場内の席は満席。立ち見はやろうと思えばできるようだ。


しかし、外にも大きなモニターが設置されているのでそこで観戦することも可能だ。


少しの間今日の行動を考える。思えば、今日が祭りの最終日だ。会場に入れなかったのも何かの縁だ。これは祭りの最終日を楽しめというメッセージだと考えることにしよう。


と、いうことで売店を巡っている。

武闘大会はあくまでアルティオの確認が目的であってそこまで優先度は高くない。売店を最後に目いっぱい楽しんでから最後のおまけとして武闘大会を楽しもう。流石に最低限として決勝戦ぐらいは見ておこうとは思うが。


朝・昼あと念のため夜ご飯の分と食べ物を確保した夏翔は、売店に売ってある甘いお菓子をひたすら求めていた。


武闘大会会場周辺のフードエリアの甘いもの系はすべて網羅し終え、いつしか別の売店エリアに向かっていた。別のエリアでも、かぶっているもの以外をほぼ買い揃えた。

今日一日で全部食べるのは無理かもしれない。だが、別に食べきれなくても構わない。食べられなかったら食べられなかったですべて収納魔法に入れておけば解決だ。

この辺りの問題を一瞬で解決できる収納魔法はやはり能力並みのぶっ壊れ性能だと言えるだろう。


会場に戻ってきたとき、ちょうど三位決定戦の途中であった。

大画面のモニターには二人の男が映っている。一人は予選でいい勝負をしていた盾持ち男性ことダドエル。もう一人は、本戦初戦でエリュンドに胸を貸していた鎧騎士。共に剣と盾を持った似たようなスタイル。お互いそのスタイルの強みも弱みも知っているわけだ。


二人の消耗具合から試合が終盤に差し掛かっていることは推測できた。


試合が動いた。ダドエルのスピードが上がり最後の猛攻を仕掛ける。攻撃を仕掛けながらもダドエルは魔法の準備をしている。あれが本命の攻撃だろう。

当然鎧騎士もそれには気付いている。ダドエルの全力の攻撃を全力で受けながら、鎧騎士も魔法を準備する。

お互いの距離が離れた。ダドエルは白い極太の光線を放ち、鎧騎士は持つ剣に魔法を付与し突っ込む。

鎧騎士が光線と激突する。鎧騎士は光線に巻き込まれて姿が見えなくなるが、光線が二つに裂けているのが映っているので鎧騎士がどこにいるのかはすぐにわかった。

徐々に鎧騎士がダドエルに接近していく。お互いの剣の間合いに入った瞬間、ダドエルが先に剣を大きく振った。ダドエルは最初からこの一撃でとどめを刺すつもりだったのだろう。映像越しからでもわかる全力の一撃だった。

映像の中で何かが飛んだ。鎧騎士の盾だ。ダドエルの全力の一撃は鎧騎士が投げた盾に防がれたのだ。鎧騎士はその後隙を逃さず、ダドエルを場外に吹き飛ばした。決着だ。いい勝負だった。



決勝は、三位決定戦とは大きく異なり完全に圧倒的火力同士の力対力のぶつかり合いだった。戦っているのはラーテル王国の推薦者と獣国の推薦者、ちなみに黒髪長髪猫耳のこの大会本戦唯一の女性。獣人でしかも女性というのも相まってか注目度は高い。


ラーテル王国の推薦者は実はラーテル王国の騎士団の五人いる副団長の一人で、名はセティアート。見た目はいい感じのおっさんで人柄もいい。しかしお金のことになると目の色を変えることで有名だそうだ。大会に出場するのもお金が欲しいからで、一度予選に参加したとき秒で決着をつけ、本戦に。本戦でも優勝してしまった。翌年も出場する気満々だったので、見かねたアルティオがそれまではなかったラーテル王国の推薦枠として彼を本戦から出場させることにした。

最近はかなり実力がある者が大会に出場してくれているので、そんな金欲に塗れた彼を倒してくれることがあるのだ。実際去年は負けたわけだし。武器は剣一本。鎧とか着ていない。


一方、獣国の推薦者の名はアーリア。年齢は見た目からだと二十歳にもいっていないように見える。実況のマークの説明によると、数年前、自ら志願し獣国の兵士になったらしい。戦闘の才能はピカ一で獣王の目に留まるほど。獣王からこの大会のことを教えてもらい、出場したのである。武器は鉤爪のような形状をした刃がついたグローブを両手に装着している。


両者空中を舞い、見る者を圧倒する戦いを繰り広げている。当然武器には魔法を付与し、時折お互いの武器の接触から起きる爆発が見られる。

見えない人からしたら何が起きているのかさっぱりだろう。突然宙で爆発が起きたと思ったら、次の瞬間には闘技場に大きな亀裂が入ったりするものだからとんでもない自然現象が起きているのかもと思っているかもれない。

まぁ、そうならないために実況がいるわけだが。こんな戦いでもマークは自然に実況解説をこなしている。


決勝は最終的にアーリアが勝利をおさめた。彼女が先にセティアートの動きを掴み、彼の動作の隙をつき畳みかけた。

大歓声の中彼女はぼろぼろの体で横になり、勝利を嚙み締めていた。



それから時間が経ち、すっかり夜になっていた。会場でアルティオが優勝者のアーリアにトロフィーと賞金を授ける。それから順に二位、三位とメダルを首にかける。アルティオがこの大会の締めくくりの言葉を言い長かった武闘大会は終わりを迎えた。


そして、そのまま今度は祭りの終了宣言に移る。

「祭りがここまで盛り上がることができたのも国民全員の協力があってこそだ。今年もこうして無事終われることに感謝する。では、これで第975回ラーテル王国建国祭を終了する!」


アルティオがいろいろ話していたが、周囲に五月蠅い人がいて最後の方しか聞こえなかった。流れるように終わった建国祭。いざ終わってみるとあっという間だったなと感じた。










「あ、そうか。ギルドに帰る必要はないんだった」


武闘大会もアルティオの終了宣言も聞いて、今日のやることは終わりだなと思ってギルドに戻ろうと歩いていた夏翔だったが、途中であることを思い出して立ち止まった。


ギルドの部屋を連続で借りることができる期間は三泊分までで、それ以上宿泊したければ三泊ごとに更新する必要があった。

ギルド内の宿泊場所にはカードキーのような形のある鍵というものはなかった。その代わり、使う前に部屋の使用者の魔力を登録し、それが鍵代わりとなった。そしてそれは三日で自動的に解除されるので三日ごとの更新をする必要があったのだ。


荷物は全部収納内に入っているのでわざわざギルドに戻る必要もない。

それに、武闘大会会場からギルドまでは距離がある。となれば、ギルドには戻らずこの周辺にある宿なりホテルなりを探して泊ったほうが時間的にも体力的にも楽だろう。


「よし、じゃあここいらでちょうどいい値段の宿を______」


「探す必要はございません」


「え…?」


後ろから急に話しかけられ驚きながらも振り向き、その声の主を見る。振り返るとそこには執事姿の高齢の男性が立っていた。見た目は白髪のお爺さんだが、その立ち振る舞いには洗練された印象を受ける。

夏翔はその人物に見覚えがあった。

忘れもしない、この人はアルティオがまだサタナル王国の第一王子だった時から面倒を見てくれていたと言っていた男性。

そして、アルティオがこのラーテル王国を建国すると聞いたときにサタナル王がアルティオの補佐のため送り出した男性だ。

名前は…。

「…フィーディース、さん…」


「そうです、フィーディースです。名前を覚えててくださいましたか。ありがとうございます、ナツト様」


「………やっぱり、僕の正体ばれていたんだ」


「それは、もちろん。ちなみにナツト様がこのラーテル王国に入ったときからアルティオ様は知っておりましたよ」


「…え!?そんなにはやくから!?てっきり、武闘大会のときかなって思ってたんだけど…」


「そのあたりの事情は直通アルティオ様にお聞きください。それでは、立ち話もなんですし行きましょうか。ナツト様、手を」


「…一応聞きますが、行くって…?」


「もちろん王城でございます。アルティオ様がお待ちです」


やはり、向かう先は王城か。いつかは何かしらのアクションが起きると予想はしていたが、まさか祭り終了直後に来るとは。祭り直後はいろいろと忙しそうだからそれが終わってから来るものと思っていた。


フィーディースの手を握る。フィディースが魔法を発動する。目の前に門のようなものが構築されていく。門が完成し、一瞬光を放つ。その光に呑まれた夏翔達は次の瞬間にはその場から完全に消え去っていた。



景色が変わる。豪華な廊下に出た。フィーディースが「付いてきてください」と言ったのでそれに従い、後を付いていく。少し歩くと廊下の突き当りに来た。そしてそこには扉があった。


「こちらです、どうぞ」


そう言い、扉を開けて夏翔を中に入れる。フィーディースは部屋には入らず、そのまま扉を閉めた。

部屋の中は応接間のようだった。部屋の中央にはテーブルを挟んで二つの大きなソファが向かい合いように置かれており、扉から見ておく側のソファに金髪の男性が座っていた。その男性は立ち上がり、夏翔の目を見てこう言った。


「…やぁ、千年ぶりだね、ナツト」


一応次回で三章のストーリー部分は終了の予定。


少し短めになるかも。

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