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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第3章】ラーテル王国建国祭
33/214

Ep.30 武闘大会予選と花火

花火自体はすぐ終わる。というかさっさと終わらしたかった。

「さぁ!皆様!予選第一試合、間もなく開始でェす!まずは、出場者たちの入場だぁぁッ!」


会場中に響き渡るその声を合図に、観客席が沸きだす。観客たちの拍手喝采を浴びながら、出場者達が入場してくる。


「本日の司会は!毎度おなじみ私!マーク・ロイスターが務めさせていただくぜ!!さて、今年は、五百人以上がエントリーしたァ!今年はそれを五個のグループに分けることとなったァ!初戦を飾る彼らは一体どんな戦いを見せてくれるのかァ!楽・し・み!です!!!」


会場であるドーム内の中心には円形の競技場が設置されている。競技場と観客席の間は安全のために少し離れていてスペースがある。その部分は協議が始めれば、そこは場外判定となる。


観客席は言うまでもないが席数はとても多い。尚、観客席の上にだけ今は屋根がある。屋根は閉めようと思えばすべて閉められるつくりのようだ。観客席には等間隔にモニターが設置されており、競技場が見えにくいという人のための配慮が見られた。ちなみに夏翔は前の方に座った。身長が低いので後ろに行ったら絶対に何も見えなくなるからだ。


「試合を始める前に、ルールをおさらいしておこう!ルールは簡単!闘技場から一歩でも外に出るか、戦闘不能になったら脱落だ!また銃や毒の使用、殺し、脱落選手に攻撃は禁止だ。だが、どうしてもたまに死にそうなやつが出る!しかし、我が国きっての回復魔法の使い手がすぐに対応してくれるから死ぬことはないから安心して戦ってくれ!予選で選手が身に着けている装備や剣などは運営から支給されたものだから条件は五分。戦って実力が上の方が残るのだ!勿論、能力、魔法の使用は自由だ!」


司会進行兼実況役がルールを解説したが、彼の言った回復術師が見た感じ相当ヤバい。場にいる出場者のほとんどより実力があるように見える。


「さて!準備も整ったようだッ!では!諸君!準備はいいかァ!予選第一試合、その試合開始を告げる鐘が今!」


実況の声に合わせて、鐘を鳴らす役の人が鐘を思いっきり叩く。ゴーンと耳に響く重低音がドーム内に響き渡る。


「鳴ったぁぁぁ~ッ!」


鐘が鳴った瞬間一斉に動き出す。最初の位置取りをミスって真ん中にいた人達が四方八方から攻撃を受けどんどん脱落していく。競技場の隅でも落としあいが勃発し百人以上いたのが噓のように一瞬で半分以下になった。

そこからさらに人数が減り、普通に数えられるぐらいの人数になったときようやく状況が落ち着いた。一試合目はどうやら全員の実力差がそこまで離れていなかったようで、急に全員慎重になりだした。

沈黙の中、我慢できずに飛び出した者から落ちていく。

一人、また一人と少しずつ減っていき、言っちゃ悪いがやっとラスト二人になった。

そこからは一対一の戦い。二人の実力は拮抗していたが、それまでで消耗していたのか髪の長い男性が力尽きるように倒れて試合が終わった。


「け、決着~ッ!勝ったのは冒険者のエリュンド・コアルだァァァ!!」

エリュンド・コアルがどこの誰だかはどうでもいいことだが、かなり白熱した戦いだったので観客たちの反応も良かった。闘技場に立つ彼は歓声を全身に浴び、実にいい笑顔をしていた。


続く二試合目、三試合目、四試合目は明らか格が違う実力を持っていたのがいたので各試合の他の出場者

には同情した。

最後の第五試合も別格の出場者がいたのだが、他の三試合と異なり二人いたというのが違う点だった。

一人は剣を持ったチャラい髪型をした男性。本人は似合っていると感じているのかもしれないが、夏翔の感性が間違っていなければ絶対にダサい髪型の部類に入る髪型だ。そいつはあろうことか真ん中に立ち全員を挑発していた。それで退場すればただの馬鹿で終わったんだが、向かってきた全員を完全に返り討ちにしていた。彼が全体の六割は倒したのではないだろうか。とにかく実力は確かなようだ。

後ろの方から、「Sランクだ…」と聞こえたのでそういうことなんだろう。あれがSランク…一気にSランクに対するイメージが悪くなった気がする。


もう一人は盾と剣を持った攻防共にできる両刀型のガタイのいい男性。かつての勇者パーティには盾役が存在しなかったので結構彼の行動には興味があった。見たところカウンター戦法が得意なようだ。集団が来ても、魔法が飛んで来ようとも冷静に対処し、反撃を確実に決めていた印象だ。彼もSランクかなと思い、後ろの人の会話に聞き耳を立てていたが、彼は冒険者ではなくどこかの傭兵のリーダーとして有名な人らしい。


予想通り最後はこの二人の戦いになった。チャラ男が先制で攻撃を仕掛けたことから戦闘が開始した。

チャラ男は見た目こそあれだが、彼の戦うさまを見ていれば彼の持つ才能とこれまで培ってきた努力がわかる。

盾持ち男性も、その技量を得るまでの努力は計り知れない。両者拮抗している中、全力で相手を超えようとしている気迫が伝わってくるような素晴らしい試合だ。

チャラ男は見た目は派手だが扱いが難しい魔法を完璧に制御して猛攻を仕掛けた。盾持ち男性の方は派手な魔法は使わず、ただチャラ男の攻撃を凌いで見せた。


だが、終わりは唐突だった。きっかけは基本的にカウンターを狙っている様子だった盾持ち男性が急に攻め始めたことだ。重く鋭い攻撃がチャラ男を襲ったが、チャラ男は最早脊髄反射のようなレベルの反応速度で対応して見せた。だが、次の瞬間に二人の剣が交差したとき、チャラ男の方の剣だけが壊れ、そのまま盾持ち男性の斬撃を喰らい、決着がついた。


「ついに決着ぅぅ!最終第五試合!勝ったのはかの有名な傭兵団、「となりの傭兵団」のリーダー、ダドエルだァァッ!」


司会の叫び声の後に会場が沸き立つ。これで五度目なので鼓膜を破りそうな大歓声を聞くのも少し慣れた。

盾持ち男性、ダドエルはチャラ男が起きるのを手伝い。そのまましばらく握手していた。口元が動いているところを見ると互いに称賛しあっているのだろう。


「この後は、皆お待ちかねの建国記念花火大会だァ!王城から打ち上げられるたくさんの花火は最高だから、絶対見ろよ!あと、武闘大会本戦は明後日、祭り三日目にあるから是非見に来てくれ!これで予選は終わりだ!解散!!」



途中で会場を抜け出そうと考えていたが、見ていて楽しい勝負をするものだから結局最後まで見ることになってしまった。

あと、当然というべきか子どもの出場はなかった。


「…流石に昼で焼きそばだけは少なかったかなぁ…」


会場内で焼きそばを食べて腹を少し満たしたが夜まではもたなかったようだ。空腹で胃が何か寄こせと訴えかけてくる。

すっかり夜の顔になった街。昼の時に行ったフードエリアはその大半の店が明日に備えて閉店していた。だが、開いている店はまだある。

夏翔はそれらを片っ端から確認し、食べたくなったものを買いまくる。当たり前だが酒類は買っていない。夜まで開いている店は狙っている客層が大人なので、そういうものが置いてある店が多かったので一応補足としてだ。



さてもうすぐ花火が始まるのだが、問題はどこで見るかだ。ギルドに戻りテレビを点けてみたが中継もやっており、そちらからでも見ることができるようだが、せっかくリコアにいるのだし生で見るべきだろう。

幸いにも場所には心当たりがあった。

ここ、ギルドのビルは五十階建てのかなり高いビルだ。その屋上は展望デッキになっていて景色を見ることができるのだ。しかも、その展望デッキを使用可能なのはギルド職員と宿泊客のみと限定されているのだ。

これはまさにこの時のためにあると言っても過言ではない。


開始時刻まであともう少し。急ぎ足でエレベーターの方に向かう。宿泊客用のエレベーターは一階と宿泊施設があるフロアと屋上しか止まらないようになっていた。

つまり、今いる五階から屋上までノンステップで向かってくれるわけだ。宿泊フロアは四階から十三階まであるので途中で誰も乗ってこなければの話ではあるが。


屋上は既にたくさんの人が城の方を向いていた。予想はしていたがかなりの人数だ。今の身長でも城をよく見えるロケーションがないか探すことにした。

しばらくあちこち歩き回っていたが、いい場所は見つからなかった。


そんな夏翔を見たのか一人の女性が声をかけてきた。そのまま半強制的に女性に連れられて、女性の仲間達と思われる四人の人達のところに着いた。

おそらく彼女たちは一つのパーティなんだろう。親し気に話している。女性が夏翔のことを彼らに話し、最終的に男性に抱きかかえられ城がよく見える場所に置いてあった椅子に座らされた。


座らされてから数秒後に子ども扱いをされたことによる恥ずかしいという気持ちが全身を巡り、同時に申し訳なさで椅子に座るのを断ろうと思った。しかし読まれていたのか全員から「立ったら駄目だよ、じっとしていなさい」という圧をかけられた。



最終的に諦めて、素直に感謝を述べた。

城の方を見ると少し城が低い位置にあるように見えた。実際それは見間違いではなく、昨日より確実に低い高さに浮いている。花火を見えやすくするための配慮だろう。城にあたる部分もよく見える。



それから数分後に最初の一発が空に広がった。一発目はとにかく大きく広がった。目視では城より大きく広がったように見えた。

その花火に続くように一斉に打ちあがっていく花火。空は一瞬でたくさんの色で埋め尽くされた。


魔法で制御されているのか変な軌道で打ちあがっていく花火もあった。真横に飛ぶものや蛇のようにぐにゃぐにゃと空を昇っていくいくものなどバリエーションは豊富だった。



花火大会はきっかり一時間。

そのフィナーレは城以外のビルからも花火が打ち上げられ、空を一面輝かしい黄金の光に染め上げたのだった。




気が付けば三十話になっていた。最近更新しまくってるからなぁ…。


今回名前がいくつか出てきましたが覚える必要性はそこまで高くないです。今後出番があればワンチャン再登場できるかもね程度です。


花火、水場が近くにないけど大丈夫なん?という質問が出てくるもしれませんが、ここは魔法があるのでそういう心配は無用です。

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