Ep.2 四人の仲間
それから十分程、予想通りというか、この国(サタナル王国というらしい)の王様からこの星の現状を聞かされた。何度も強調してきたのは、魔王ディタロとやらのことだった。この世界にいる以上、このままでは彼に蹂躙されるだけだ。そのために我々は結託しているのである、と。
勝手に喚んどいて迷惑な話だ。しかし帰る方法を探すにしてもこの状況下では難しいか。腹が立つが、怒っても仕方がない。何も状況は変わらないな。どうあがいても結局戦うことになるみたいだし。
「〜ということだ。わかっただろうか?」
王は自身の話を締めくくると、理解したかと言っている視線を向けてきた。
「まぁ、だいたいは。あの、おひとつよろしいですか?」
内心はドキドキのビクビクなんだが、悟られないように丁寧な口調で質問の許可を取る。相手が王様である以上向こうの機嫌を損ねる真似は何としてでも避けたい。もっとも、現代日本で王様とお話しするときの態度や接し方等は習うはずもないが。いや、確か二重尊敬語なるものがあったっけ?いや、そんなのとっさに話せないわ、少なくとも僕は。
「うむ、よかろう言ってみろ。」
…今更だが、会話がちゃんと成立しているな。こっちは日本語、向こうは謎の言語を話しているのにどうやら、お互い理解して会話している。不思議な感覚だ。全く知らない言語なのに意味が理解できてしまうなんて。
…っは!もしかしてこれが魔法の力というやつなのか?だとしたら素晴らしいな。現代地球における言語の壁が一瞬にして解決してしまうぞ。
「ありがとうございます。では、元の世界に戻る方法はあるのですか?」
十中八九ないと言われると思われるが、とりあえずダメもとで聞いてみる。
すると王様は白いローブの人たちに視線をやった。視線を向けられた彼らはみな首を横に振った。
「…すまんが、今のところは見つかっておらん。」
「わかりました。」
(嘘って可能性も全然あるけど、わざわざ召喚したのに、送り返す馬鹿がいるわけないよな。それにしてもはた迷惑な話だ。帰る方法も見つけないとなぁ。でも、喚ぶだけ喚んで、「魔王を倒したらもう用済みだ!じゃあな!フハハハ」と言うような終わり方もザラにあるしな。よく考えて行動しないと…。でもとりあえず生き残るためには…。)
「…他に何かあるか?」
「…では、一つだけお願いがあります。今のまま戦っても絶対に負けて死ぬだけなので戦えるようになるまで鍛えてください。」
「勿論、もとよりそのつもりだ。寧ろすぐさま突撃すると言い出さなくて安心した。やはり彼らの言う通り早めに喚んで正解だった。こちらで稼げる期限は一年までだ。それ以上は待てん。だが、状況によってはそれよりも早くなるかもしれないが、そこは理解してくれ。ああ、あと流石に貴殿一人で戦うにはさすがに荷が重いだろう。同年代ぐらいの将来有望な若者が四人いる。このご時世、戦力になりそうな若者は貴重だからな。彼らと一緒に修行して共に魔王討伐に行った方がいいだろう。分からないことがあったら以後彼らに聞いてくれ。」
「(一年も!…そんなに待てるものなの!?)…ご配慮ありがとうございます。そうさせていただきます。」
夏翔は内心とても吃驚した。まさかそこまで時間的余裕があるとは思っていなかったからだ。だが、これは寧ろありがたい話だ。夏翔はこれならばやりようはありそうだと感じた。もっとも、こんな若輩者を戦場に立たせて反撃の象徴にすること自体変な話であるが、敢えて夏翔は触れないことにした。
そのとき、強烈な悪寒が夏翔を襲った。夏翔は思わず周囲を見渡すが、特に何もなかった。夏翔は疑問に感じつつも気のせいだとすることにした。
「よし、話は終わりだ。おい、誰か空いている部屋に彼を案内しろ。」
「こちらの部屋です。少ししたら別の案内が来ますので、それまで部屋でお待ちください。」
そう、王命により夏翔を部屋まで送った兵士が言った。夏翔は兵士に礼を言うと、彼は一瞬うれしそうな表情を浮かべ、すぐに「私は別の仕事があるので。」と言い、去っていった。
「うわ、ひっろ。」
部屋に入ると、その広さに驚かされる。そこそこ高いマンションの一室ぐらいの広さは余裕でありそうだった。少なくとも高校生が使う部屋の広さではないのは確かである。当然のことながら、ベッドはもちろんシャワー室、トイレまで完備であった。流石、王の住まう城である。さらに驚きなのがトイレである。、形状はほぼ洋式のそれで、見た感じ水流式ではなさそうであるが、なんか魔法陣らしきものが描かれている。しかし、使い方がよくわからないので後で誰かに聞いておかないと死活問題になりそうだ。
それから間もなく、部屋に別の兵士が来た。なんでも、所謂修行仲間の紹介がある、ということだった。
兵士についていき、数分、外に出た。外といっても周囲が城壁に囲まれているので、中庭といったところか。そして、建物の様式から推測していたが、やはりこの城は一言でいうと西洋風のものであった。
まあ、そんなことは別にどうでもいい。それよりも、中庭には比較的動きやすそうな服装をした、僕と同年代ぐらいの二人の男性と二人の女性がいる。
内男一人と女一人少し派手な服を着ている。誰かを待っている様子からして彼らが共に戦うことになる四人だろう。夏翔が着くと早速と言わんばかりに自己紹介が始まった。
「やあ、先ほど召喚の時にいたのを覚えているかい?早速だが、私はアルティオ・オル・サタナル、十七歳。この国の第一王子だ。魔法も剣も使えるが、剣の方が得意だ。よろしく。」
と先陣切って自己紹介したのはあの時王の隣にいた兄と思われるほうの王子だった。アルティオは親の遺伝だろうか、王様そっくりな金髪をしていて、両目とも綺麗な碧眼で身長も僅かに僕より高く顔も美形でいかにも王子だ!というか庶民の僕にも分かるぐらい王者の風格を纏っている。
…ん?ちょっと待って。魔法やっぱりあるのか!薄々ありそうだとは思っていたがこれで確定したな。これで完全に異世界と確定したな。
って、いうか!
「あの、第一王子が戦いに出ていいんですか?もしあなたに万が一のことがあったら…。」
「ふふ、心配には及ばないよ。確かに止められたけど世界の一大事にそんなこと言ってる場合じゃない!!と言って黙らせてきたからね。それに優秀な弟もいるから万が一のことがあっても大丈夫だ。」
「はぁ、そういうものなんですか?…ここの王族って。」
「…うん、そうなんだ。あ、言い忘れていたけどこれから旅仲間になるんだから、畏まらずに接してくれ。さ、とりあえず全員自己紹介してくれ。質問は後でまとめてしよう。」
「じゃ次は俺にさせてくれ。俺はオルウェルだ。もうすぐ十七だ。平民出だが、騎士団の人に格闘センスを買われてここにいるんだ。よろしくな。」
二番目に自己紹介したオルウェルは茶髪、赤目が印象に残る、背も高く髪も所々はねていて、どこかやんちゃそうな印象を受ける青年だった。所々怪我してるし。あ、それは騎士団の訓練でかな?まぁいいや。
「次はあたしね!あたしは、マーヤ・シーラ!十六!この国から東に行ったとこにあるシーラ商業っていう結構有名なところの娘だよ!魔法が得意だよ!ヨロシク!」
女性陣一人目は商人の娘で人懐っこそうな感じで紺色の髪のショートヘアーと薄い水色の目をしている。背は百五十五ぐらいかな?あと初のこの国以外の人だ。
さ、最後だ。
「最後は私、ミューカ・ハピ・グラル。十六歳。このサタナル王国のお隣のグラル王国の第一王女です。私もアレク同様お国の心配は無用です。回復補助系が得意です。勿論攻撃も出来ます。よろしくお願いいたします。」
えぇ、最後でまた来たよ、王族…。 一つはっきりしたのは派手な服を着てたのが王族二人だった事だ。どうでもいいけど。
でも違う国だけど、6分の2王族って些か多くないか?本当に大丈夫なのか?こりゃ世界は思ったよりやばいかもな。王族をバンバン戦場に送り込むとは…それも第一
ミューカはアレクより濃いめの背中の我ん中あたりまである金髪で目は赤というより、紅色だな。背はマーヤより少し高い。顔はなんてゆーか、美女に近づいている美少女みたいな。違う国の王族同士でアレクを呼び捨てにしている辺り、何かありそうな気が...別になんでもいいんだけどさ。
そして、とうとうやってきた僕の番。
「僕は季空夏翔です。ご存じの通り異世界から来たから、この世界のことは全然わからないから色々教えて下さい。あ、夏翔が名前で季空が姓です。よろしく」
よし、噛まずにいけた!実は自己紹介って嫌いで、いつも何かとミスるから上手くいけたら普通に嬉しい。うん。一応夏翔の方が名前だと言っておいたから姓を名前だと勘違いする間違いもないハズ。畏まらないでくれと言われようが、初対面の人たちにはとりあえず丁寧に挨拶、丁寧に接する、これ大事。
てかメンバー結構濃い気がする。勇者が霞んでいるような。
あれ?待てよ…みんな十六以上、しかも男性陣十七!
やばいぞ、一年の長さは地球とは違うと思うが、もし一年が地球より長かったら年齢だけ見ると自分が一番年下じゃないのか?
後に一年の長さが地球とほぼ変わらないが一日の長さがこちらのほうが若干長いことを知り、驚きと謎の危機感を感じた夏翔だった。
この後互いに色々質問し合い、親交を深めた。まあ、主に夏翔に対する質問であったが。
この日は紹介だけで終わり、明日から本格的に始めるということだった。アルティオの提案で男三人で少し話すことになり、三人は夏翔の部屋に向かった。
彼らはこの世界について詳しく夏翔に教えた。
魔法は夏翔の予想通りやはり存在した。この時点で夏翔の内心テンションは上がりまくりである。
魔法には、火や水属性魔法や身体強化系や回復系など沢山の種類があるらしい。曰く、適正はあるが、初級程度の魔法では訓練すれば基本的に誰でも使える。それに使えない属性の魔法でも魔方陣をの知識があれば、それで代用が可能であるということであった。
この世界にはいたるところに魔素と呼ばれる目に見えないものが存在している。空気中、水中、更には生体内にも。魔素はこの星で生活していたら、普通に空気と一緒に生物の体内にも入る。そして、生き物がまさに順応し体内、大気中問わず魔素を意図的に動かすことための力のことをを魔力というらしい。魔力は人それぞれ違った波長をしており、また人によって魔力の質が違う。それによって人によって一度に体に行使できる魔力の絶対量が違うらしい。使えば消費する。休めば回復する。体力みたいなものらしい。ただし体内魔力がゼロになると気絶する。戦闘中に魔力切れを起こせばほぼ百%死ぬ。要注意。
魔法が発現する流れは、まずはどんな魔法を使うかしっかりイメージすることから始まる。そしてそれを魔力に乗せて、周りの魔素に伝える。この過程を踏んで初めて魔法という形で僕たちの目に見えるようになる。
なるほど。
ついでに言語が違うのに話が通じたのは伝えようとする意思が魔素に乗って相手に伝わるから意味が取れたらしい。つまり、無意識のうちに僕は魔法を使っていたことを知った。ただ、これは初歩的な魔法で魔力と伝えたいという意志さえあれば、基本的に誰でもできるものであるらしい。つまりは、ひらがなみたいな認識である。できて当たり前の領域である。
次に持っていない人のほうが遥かに多いらしい、能力だ。他にも固有能力とも言うらしいが前者の方が主流らしい。何でも自身の魔力に起因して生まれた固有の力なんだとか。本人の素質で手に入れることができる力ということらしく、天に認められた才能ということで捉えられているらしい。また、一点もので同じ能力を持った人はいない。能力は系統的に大きく二つに分類されている。内向系能力と外向系能力である。また、一部では魔法に変革をもたらす力とも言われており、まさにその通りに、魔法発動時と合わせて使用することで魔法に普通ならば起こせない現象を起こすことができたりする。ちなみに、十万人に一人ぐらいの割合で持っている。稀に二つ持ちもいるとのこと。
後は称号。個人行動とかに基づいて知らぬ間に付いているそうだ。特に影響等はないが、どこかの誰かが、つけているのか…それなら神様的な存在が存在するのかもしれない。
夏翔が世界のだいたいの仕組みを聞いて情報を整理しているときだった。
「ああ、そうだナツト、心に聞いてみたら?」
と、アルティオ。
「お、確かにそうだな。聞け聞け。」
続くオルウェル。
「……は?心に聞くぅ?何を??」
「あはは、知らないとやっぱりそういう反応になるか。心に聞くって言うのはね、要は魂を意識してみ
るって言う意味でそれを行うことによって自分がどんな力を秘めているのかざっくりだけど分かるんだ。」
「へぇー、なるほど、それも魔法的な何かかな?。…でも、どうやって?」
「瞑想して心を感じて。」
「はあ…心を感じる、ね…」
うーん、心を感じるかぁ、ざっくりし過ぎだな。
集中して……何も考えるな……。
……お?お?
な、なんだ!?凄い!頭に抽象的だが自分に関する知識が流れ込んでくる!これが心に聞くっていうことか。
…そしてこれが、僕の力。成程勇者として呼ぶだけのことはあるわけか…使い方次第だな。
「どう?聞けた?」
「うん、聞けたよ。ちゃんと能力もあった。そして、勇者だとも今はっきりと分かった」
「そうか、よかった」
「あ、魔法って使えるようになるの?何か今は使えないみたいなんだけど」
「ああ、魔法は一度チャレンジしてみない限り適性があるかどうか分からないんだよ。明日教えるよ。」
「成程、そういうことか。」
「ま、勇者なら大丈夫だろ。全部いけっちゃたりするだろ。実際アルティオもそうなんだし。」
そう信じたいが、何も適正ないっていうのも十分に考えられる。てゆうか、アルティオも全適正あるんだ。まあ、焦らなくても明日分かることだ。今悩んでも仕方ないな。
それから、時間が許すまで二人にこの世界のこと(国とか)をある程度聞きいた。
「じゃあ、私たちの世界のことは言ったから、次は君がいた世界のことを教えてよ」
「わかった、いいよ。何から聞く?」
「じゃあ…そうだな…。」
タイトルで「千年ぶりー♪」とか言っちゃってますが、千年ぶりするのはもうしばらく先になりますね、ハイ。
本来なら、十行ぐらいで転生にもっていこうかなとか考えていましたが、やめました。
普通なら回想シーンでやる過去のお話。初っ端からガッツリ始まります。(笑)




