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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第3章】ラーテル王国建国祭
29/214

Ep.26 列車に乗って

「間もなく一番線に列車が参ります」


近くにあった駅に到着した夏翔は、駅構内で列車を待っていた。アナウンスが入り、列車の光が視界の端に映る。


その間、それまでのことを思い出していた。駅に到着して階段を上り少し進んだ先は、日本でも見慣れた電車の駅の様子そのものであった。発券機が並び、その近くに改札のようなものがある。建物内は壁も床も白一色で統一されており清潔な印象を受ける。

発券機の上には路線図が描かれており、緑色の線でトレーカス周辺を一周している。これが先ほど見た列車でトレーカス地域を回る路線であり「トレーカス線」と呼ばれるものだ。路線図を辿ると今いる駅から五駅進むとトレーカス線最大の駅「中央トレーカス駅」があり、そこから黒色の線の「北部接続線」に乗り換えが可能とあった。

ついでにトレーカス線は港近くにも通っていたので港にあった駅に行っていればもう少し早く列車に乗れたわけだ。普通に凡ミスであった。


近くに列車案内のパンフレットが置いてあり、ご自由にお取りくださいと書いてあった。一部取り、邪魔にならないよう通路の端に行って、それを開いた。


その中で欲しいところだけ取り出す。パンフレットによると、首都行きの列車は四種類存在するみたいだ。


一つは普通車。料金を前もって払っておけばいちいち改札を通らなくても直ぐに乗り換えが可能。ただ、「中央トレーカス駅」から「首都リコア駅」までのすべての駅に停車する。


一つは特急車。「中央トレーカス駅」で別に特急代を購入する必要がある。尚、購入場所は駅構内に設置されているので改札を通る必要はない。「中央トレーカス駅」から「首都リコア駅」間のいくつかの駅に停車する。


一つは寝台特急車。夜をまたぐ場合にのみ運行。こちらも同じく特急代を購入しなければならない。それと追加で寝台料金を払う必要がある。スピードは特急車より遅いので所要時間は長くなるが止まる駅は特急車と同じ。これは時間的に乗らなさそうだ。気になるが。


最後の一つは超速特急車。本数はかなり少なめだがその圧倒的な速度が売りでどこにも止まらず直で「首都リコア駅」に向かう。国王も開発に携わり、二十年前に見事開発に成功、改良を重ねて今に至る。料金は他のものに比べかなり高いが、払えない額ではない。所要時間は他のものなど比べ物にならず、回数券なども販売されているようだ。


その下に各列車のリコア駅までの所要時間がまとめて書いていた。

それによると、普通車は到着まで約十二時間、特急車は約六時間、寝台特急車は約八時間、そして超速特急車が約二時間。


…ちょっと待ってほしい。速すぎじゃないか。記憶が確かなら、リコアとトレーカスまでは千、いや千二百キロメートルはあったはずだ。国造りで楽しかった時、皆で計測したのを確かに覚えている。


首都の場所が移動していないとするなら、あの距離を約二時間で!?

一秒の定義はここと地球では違うが、体感的には大体同じぐらいだったはずだ。それも変わってないとするなら、時速約六百キロメートルになってしまう。お、恐ろしい…。



何に乗るかは置いておいて、まずは「中央トレーカス駅」に行こう。パンフレットによるとそこで料金を追加することも可能なようだ。そこでいろいろ考えることにしよう。


漸く発券機にお金を入れ、路線図を確認しながらチケットを購入する。発券機のうち一台だけ低いところン設置されていたのがあり良心的だなとひどく感激した。


普通に大人料金で購入しようとしたのだが、見た目から判断する年齢感知機能でもあるのか出てきたのは

黄色いチケットというよりカードでその隅に子ども用と記載されていた。お釣りもご丁寧に帰ってくる始末。確かに今思えば発券機に子どもか大人かの選択がなくあったのは人数だけだった。子連れの家族の場合どうするんだと思ったが、ちょうど隣でまだ小さい可愛らしい子どもが二人いる家族がやってきた。


それを気付かれないように見ていたら、母親が子どもの面倒を見ている間に父親のみがチケット、いやカードを発券機に向かい購入した。男性の手元を見ると黄色いカード二枚と黒いカード二枚を持っていた。


それを見てますます混乱する。発券機に向かったのは男性一人なのになぜ大人と子どもで区別できているのか。結果謎が謎を呼んだだけだった。


モヤモヤするまま、改札に向かった。カードはタッチパネルにかざすタイプのもので、機械に通すのではないんだと、日本との違いを感じる。

カードをかざした瞬間「ピヨピヨ」とどこかで聞いたことのある音を若干恥ずかしくも聞いて、改札を抜けた。


そして、「中央トレーカス駅」方面で待ち、今に至る。立っているところは三号車の三番ドアが来る所。日本と同じくホームにどこいらに何番ドアが来るか書いてあるようだ。なぜここなのかという意味は特にない。ホームに出たときに一番近かった乗り場がここだっただけだ。ホームには俗に言う黄色い線ではなく赤い線だった。

ホームと線路との間には白く濁った膜のようなもので塞がれていて、ホームに落ちないようになっていた。気になって触ってみたら、ガラスのような感触であった。叩けば簡単に割れそうな感じではあるが、実際はこれがガラスではなく何かしら魔法で形作られているもので簡単には割れないだろうということはすぐに予想がついた。



列車がホームに入ってくる。風がホームを走る。本当に車体が浮いている。

先ほど見た緑色のラインが刻まれたピカピカの白い車両が目の前で停止する。

ふと車両を見て、あれ?となる。扉が見当たらないのだ。自分が乗る三番扉はもちろん、他の乗り場も目の前には電車の窓しかない。どこにも扉が見当たらなかったのだ。

列車が完全に停止すると目の前にあった白い膜は一瞬で消え去り、列車と乗客との間に乗車を妨げるものはなくなった。


列車の扉は目の前の窓が縦に割れた、と思ったらその切れ目から左右に開き、人が乗れる広さになった。どうやらこれが扉のようだ。もはや訳がわからない仕組みであり、頭がこんがらがるが、とりあえず乗る。

車内の席はほとんど座っていたので、そのまま扉付近に取っておくことにした。

扉は駅構内に出発音が鳴り響くと先ほどの逆再生のように閉まり、次の瞬間にはそこには何事もなかったかのように窓ができた。

指で切れ目があった部分をなぞってみたが、引っ掛かりはどこにもなく綺麗に窓はつながっていた。


列車が静かに動き出す。乗り心地は最高の一言で、浮いていることを忘れてしまうぐらいだ。もっとも浮いていることさえ相当意識しないと感じない程度であるが。


走行中の列車からの音もほとんど感じないレベルで、少し怖いぐらいだ。


列車からの景色は夏翔の立っていた方では街を見下ろすアングルで綺麗な街並みが眼下に並んでいた。


道中の駅に着く前に夏翔が立っている側の天井に付いていたランプが点滅し、それに合わせて窓に「こちら側が開きます」という表示がされた。急に出てくるもんだから、少しビクッとなったのは内緒である。


駅ではその言葉通りに扉が開く。先ほどと同じように扉、いや窓が開く。何度見ても不思議な光景だ。




この列車の窓はやはりギミックが多いようだ。この窓は高さは天井の少し低めのところから床一メートルほどまでの一メートル半ほどの高さで、横は三メートルほど。窓より下は普通に白い車体である。謎の開閉機能は窓部分とその下にある白い車体部分も一緒に開閉されるので窓の機能というわけではなさそうだ。

この窓の本当の機能は、先ほどの文字表示機能だろう。窓の少し上の方には今は何駅で次は何駅です、という表示が映し出されている。日本の列車にある扉の上のモニター画面をそのまま窓に落としこんだ印象を受ける。

入り口になる窓以外はその機能はないようだが、代わりにボタンを押すことで窓が徐々に黒くなり、入ってくる日光の量を調整できるようになっていた。


窓に文字を表示できるのはまだ理解できたが、やはり開閉の仕組みだけはわからなかった。



あれこれ考えていたら、景色も楽しむ間も忘れ、あっという間に第一目的地である「中央トレーカス駅」に到着し、下車する。他の乗客もここが目的だったのかほとんど降りた。


天井はとても高く、開放的な空間だった。中からでもわかるほど大きな駅だとわかる。夏翔は視線の先にあった大きなモニターの指示に従い、北部接続線の乗り場へと向かった。


北部接続線の乗り場は、トレーカス線より上階にあった。エレベーターで昇ると、広い空間に五個の乗り場があった。構内は観葉植物などがところどころに置かれていた

エレベーターのすぐ横に料金追加機械と書かれたものが数台と、特急券・超速特急券販売機なるものがあった。これらの機械は、乗り換えてきた人たち専用のものである。


機械を使う前に考えよう。先ず普通車は論外。次に現在時刻は大体十二時半頃なので寝台特急車も除外。

となれば、選択肢としては特急車か、超速特急車となる。勿論時刻表を確認するとどちらも今日はまだ運行予定だ。この後の出発時刻で近いものはともに十三時頃である。


しかし、列車というくくりでは体感したことのないスピードが一体どんな具合なのか知りたいという誘惑が体を包む。お金はあるんだし、悩む必要はないじゃないか、という囁きが聞こえる気がする。


…いつの間にか超速特急車の料金を払い終えていた。

機械に発券機で買ったカードを入れ、何に乗るか選択。次の画面に出てくる座席で空いている場所を選択し、その後料金を払うことで手続きが完了。入れたカードが出てくる。黄色のカードに大きく「超速特急」と座席番号が印字がされていた。超速特急料金は大人子どもは関係なかった。今回はラッキーなことに先頭車両の席が空いていた。


構内には売店があり、そこでお茶と秘密の弁当とお菓子のグミを買った。お茶はペットボトルに入っていて、秘密の弁当は開けるまで何が入っているかお楽しみというものだった。お菓子関連も普通に棚に陳列されていた。


少し待っていると、その列車が駅に入ってきた。

一瞬黒い車両と思ったが、違った。今の夏翔の紫に黒を混ぜた色をしている目とほとんど見た目的には同じ色。見る角度によって黒に見えたり紫に見えるその車両は大きいのにやけにスタイリッシュに見えてかっこいいという印書を植え付ける。列車の窓も外から見たらすべて黒で中の様子は見えない。車体側面にトレーカス線にあった緑のラインではなく、金色で植物の茎と葉を彷彿とさせるものが描かれていた。

それには小さく「黒揚羽」と書かれていた。

当然その列車は浮いており、扉はどこにも見当たらない。


列車が停車し、各車両の前後が開き乗客が一斉に降りていく。そこから十分ほど車両整備を行い、アナウンスで乗車可能と流れる。

それに合わせて扉が開く。夏翔は列車に乗り、入口に設置されたゲートにカードをかざす。いかにも高級そうな木で作られた列車の内装で、床は黒いカーペットが仕切る目られていた。。今回夏翔が取った席は先頭車両の一番後ろの席。前の方は既に取られていたので仕方がない。窓はやはり内からでは外の景色を綺麗にみることができた。


席に座る。とんでもないぐらい座り心地がよかった。座っただけで体中の疲れが吹き飛んだかと思うぐらいだ。目をつぶればたちまち眠りについてしまいそうになる。

一席一席の幅も広く前を気にすることなく足を伸ばせる。


席を堪能していたら、すっかり出発時間数分前になった。駅構内にも車内にもアナウンスがかかる。


「本日もラーテル魔導列車北部接続線、超速特急黒揚羽にご乗車いただき誠にありがとうございます。この列車は首都リコア駅直通で首都リコア駅到着は十五時を予定しています。短い間ですが、列車での旅をお楽しみください。本列車は間もなく発車いたします。発車までもうしばらくお待ちください」


それから数分後、遂に首都に向けて列車が動き出したのであった。



なんかトレーカス線のあたりの話が長くなってしまった。

書いているうちに浮かんだイメージがどんどん追加されていってしまった。



前回ちょっとわかりにくい部分があったので補足。トレーカスは都市と言いましたが、本当の意味でトレーカスと言われている都市は「中央トレーカス駅」周辺です。

そのため、夏翔が降りた地域は大きな都市であるトレーカスが近くにあるためその他の周辺地域をグルっと、ひとまとめにして「トレーカス地域」と言われています。

わかりにくい表現で申し訳ない。

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