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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第3章】ラーテル王国建国祭
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Ep.25 技術力の片鱗

船の中の生活は特にこれと言って特別面白いことや、特別変わったことはなかった。

語ってもいいが、大して身のない話だ。大部分は部屋や展望デッキから海を眺めていた。そういえば海をじっくり見たことはなかったな、と実に中身のない感想を浮かべながら。

個々での食事はバイキング製だった。かなりの大きさの船だけあって食事は美味しかったと思う。


船に乗ってからというもの、なんだか変な気分になってずっと、ボーと遠くを眺めるようになった。

何かに集中しようとも思えなくなって、お腹は空き、ご飯ものどを通るが味はあまり感じなかった。

心の中に、何とも言えない気持ちや葛藤等いろんな感情がこう、ごちゃごちゃになったような気がしていた。多分他の人が今の自分を見たら魂が抜けた人形のように見えるかもしれない。


そして、気持ちの整理がついたのか、そう言った感情が消えて、ようやく物事に集中できるようになったと思った時には既に二日目の夜になっていた。明日の朝には到着する予定だ。到着予定地は千年前、ラーテル王国の一大貿易都市にするために作った都市「トレーカス」だ。前にも言ったが地形自体は逆Y字だが、「Y」で考えると下の一つ出っ張りのところに位置する都市だ。


今はどんな感じかわからないが、着いたらわかるだろう。


ラーテル王国に着けば、やはり、最優先で首都リコアに向かうのがいいだろう。でも、トレーカスからリコアまでは相当な距離である。それこそ、数日前のエルトラ王国からルドバギッシュ王国までの道のりが短いなと笑えるほどには。

しかし、その点はあまり気にしていない。千年前の時点で首都からの交通の不便性は浮上していたし、アルティオ達がそれを見過ごすはずがない。


…これ以上考えても無駄か。明日のために今日はさっさと寝ることにしよう。




…想像の二時間程早起きしてしまった。国に着くという思考のせいか眠りが浅く、まだ日も昇っていないのに目が覚めてしまった。二度寝しようにも眠気が全く湧かなかったので、顔を洗って部屋を出た。

一人、展望デッキに上がる。まだ日も昇っていない早朝の闇の中、ひんやりとした風が寝起きの頬を撫ぜる。


どれくらい経ったのか、ある瞬間とある方角から一筋の赤い光が闇を貫いた。それまで真っ黒だった世界は、徐々に色を手に入れる。


すっかり日が昇ったころ、船は遂に陸地を視界に収めた。

うっすらと見えるそれは間違いなくかつて魔王を討伐するためにやってきた、あの大陸だった。


遂に帰ってきたぞ、と感動で少し泣きそうになりながらも陸地から目を離さず、ずっと見続けた。


船内にもアナウンスが入り、乗客も降りる準備で慌ただしい雰囲気になっていた。夏翔は持ち物などすべて収納内なので余裕の表情で展望デッキにいた。徐々に街が大きくなってくる。

近くになってわかったが、それはそれは発展していること。

港には大量の船が停泊しているし、港の近くには横に長い建物があり、少し離れた住宅街を見ると所々大きなビルが建っている。元々この地は高低差が激しい地形であったが、それを上手く活用し、建物が規則正しく並んで建っている。そして、気になるものが一瞬見えた。電車のようなものが空中を飛んでいた。

一瞬見間違いかと思ったが、あれは幻覚ではなかったはずだ。

宙に浮かぶバスがあったぐらいだ。宙を浮かぶ電車もあっておかしくはない。いや、電車ではないか。ここは列車と呼んでおくことにしよう。


そして、船は完全に停止し、乗客たちが順番に降りていく。船から出たら全員同じ建物に誘導され入っていく。多分そこで一人ひとり入国審査を受けているのだろう。乗客数は多い。しばらくは時間がかかりそうだし、もう少し景色を見てから船を降りることにした。


結局一番最後に降りることになったが、別に気にしない。足を地に着ける。再び到着したという感動が再起する。しかし、すぐに審査の人にこちらにどうぞと言われたので、すぐに切り替え入国審査を行う。

入国審査所はさながら地球の空港のような設備で、ゲートの横に審査官が座っていた。

ギルドカードを提示したら、入国目的などを聞かれたので観光と返す。

質問に答えていると、こちらに手をかざしてくださいと言われ、見慣れた透明の板が夏翔と審査官との間にあった台から出てきた。板の登場の仕方が台に一本の亀裂ができたと思ったらそれが左右に開き、その中からシュッと出てきたので無駄に凝ってるなぁ、と思いつつ手をかざす。

もう大丈夫です、と言われ手を離すと先ほどの逆再生のように台の中に収まった。

これで終わりかなと思ったのだが、最後にこちらにも手をかざしてくださいと言われ、今度は黒い板が出てきた。これは何のためのものだ、と感じたがこれをやらないと入国できないので疑問に思いながらも手をかざす。

「はい、問題ないです。ようこそラーテル王国へ」

審査官の声が若干焦ったように声が上ずっていたが、夏翔はそれに気づかずゲートを通り抜けた。


さて、入国審査で若干時間がかかったが、無事に入国することができた。ここまで来たら後は会いに行くだけだ。


船から見えた大きな横長の建物の中は大きな市場であった。多くの店が並び、多くの客で賑わっていた。

朝ごはんの代わりになるものを買い、出口を探す。

出口を出てもここいら一帯は商業施設が多く並び、人々で溢れかえっていた。人々の熱気がすさまじかった。

しばらく坂道を上り、賑わう場所から遠ざかる。ようやく落ち着ける場所に辿り着き、見晴らしもよかったので周囲を見渡す。さっきも言ったが、この街は高低差が激しい。港周辺がここいらでは一番低く、海から離れていくほど高くなる。現に今港の方を振り返るとかなり視線より下にある。


今度は港の方じゃない方を見渡す。すると空中に緑のラインが二本浮いているのが確認できた。

ラインを辿っていくと、途中途中で建物によって遮られ途切れているところがあった。

そのうちの一つに注目していたら、建物の中から空を飛んでいる列車が出てきたではないか。


白い車両が八両ほど繋がり緑色のラインが刻まれている。先頭車両の形状は空気抵抗を少なくするためか、新幹線のような形状をしている。

やはり、さきほど船から見たものはこれだったのだ。見間違いではなかった。


街中に列車が飛んでいる。日本でも見ない光景に夏翔も実際に見てもにわかに信じられなかったが、その光景はここに生活している人たちの当たり前の日常として確かにここに存在していたのであった。


少しの間呆気にとられていたが、立ち直り歩き出す。あのラインが線路変わりだとするならば、そのライン上に作られる場所というのは駅しかない。

とりあえず、最寄りの駅に行こう。線路を辿れば確実に首都に繋がる列車が見つかるはずだ。















1993.6.25

トレーカス入国管理局より連絡。

本日朝九時入港の「ルドバギッシュ⇔ラーテル間客船」の乗客の中に、提示条件に該当する者を確認。

詳細を送ります。

さぁ、三章の幕開けです。しばらくはあんまり盛り上がらないので飽き飽きするかも。


はよバトルとか、魔法とか書きたいね。


信じられますか?これ一応剣と魔法の世界なんですよ?白熱するバトルは一体何処!?


…夏翔所持金あと、六十万と少し。子どもの持ち歩く金額じゃあないね。

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