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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第2章】王国に向けて
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Ep.21 ここは本当に別の星なんですか?

世界観を書いているときが一番楽しかったりする。想像が膨らむので。

ギルドから出て、少し街中を歩き回る。

地図を見ながら、いい感じの店がありそうなところを探す。人の邪魔にならないよう注意しながら進んでいると、地図に商店街を見つける。

自分が今いるところからも結構近い距離にあるようだった。ここなら飲食店以外もありそうだ。


早速向かう。その通りに着く。他の道より人通りが多く賑わっていた。人の流れに乗って、道なりに進む。道の左右には店が並び活気に満ち溢れていた。

夏翔がいたころの地球、いや日本ではこういった商店街が衰退していく一方だったのでこの様子はなんだか新鮮な気がした。


店を通り過ぎる前に各店の商品やその値段を確認する。

今通った店は野菜を売っていたな。目に入った野菜は大体百ソートぐらいの値段だった。

次に見た店は掘り出し物を売っていた。安いやつで三百ソートぐらいで高いのでも二万ソートぐらいだった。

あれ、もしかしてギルドでもらった八十万ソートって相当な金額なのか。もう少し観察してみよう。判断材料がまだ少なすぎる。


うん、八十万ソートはかなりの金額だった。単位が違うかも、と思ったが当然同じ単位だった。

ということは、想定よりずっと買えるな。この通りでいろいろ仕入れておくことにしよう。


しかし、一万ソートからしかないからちょっと数字が大きくて逆に不便だな。ここは靴や服を先に買ってお金を崩すとしよう。


暫く通りを直進していたら靴屋を見つけた。早速入る。

中には店主と思われる少々小太りの女性と客が三人いた。子ども靴のコーナーに向かい見る。これから先結構歩くことになると思うので運動靴のようなしっかりしたものが望ましい。棚に並ぶ靴を左から見ていく。その中で一つ目に留まった靴があった。黒一色のシンプルなデザイン。紐靴で動きやすような形をしている。サイズもぴったりでこれにすることにした。値段は大体三千ソート。一万ソートで問題なく買うことができ、予定通りお金を崩すこともできた。お釣りでもらったお金はまとめて小さい袋に入れて首から下げておいた。


次は、服屋かお昼のどちらかだが別にどっちからでもいいので先に見つけた方から済ませることにしようかと思っていたのだが。


目の前には「ラーメン」という看板が。しかもご丁寧に写真付き。まさにあのラーメンそのものだ。値段設定も千円以下だったりとお手頃価格というものだ。おいどこのどいつだ、この世界にラーメンを広めたやつは。

…あれの影響か…?いや、あれの影響だとしても千年前だからな…。というか、千年前から食べ物は防ぎようがないのはわかりきっていた話だ。千年もあれば、広めるやつもいるか、そりゃ。

昼時だからか、人気なのかはわからないが結構並んでいる。悔しいが、見ていたら食べたくなってきた。


地球の食文化が別の星で人気になることはいいことなのかもしれないが、あまり過度に流入しすぎると、もともとその地にあった食文化が失われる危険性が少なからず存在する。

なのでこういった未知のものの導入は慎重に行わなければならないのだが、一人でも地球の記憶を持った人間がどこかで生まれるだけでメニュー開発無双を始めてしまってすべてが崩壊するからなぁ。

それに、性質が悪いのは絶対に一種じゃ済まないことだ。

ラーメンがあるんだ。カレーも絶対どこかにあるぞ。


おっと、熱くなってしまった。起きてしまったことはどうしようもない。今更騒いでもそれは後の祭りというものだ。

それにこうなる可能性を見越したうえで千年前にあれを残したんだし。言うなれば、初代勇者の置き土産だな。


さて、と。ラーメン食べたくなってしまったが並んでいるので先に服屋に行って時間を潰そう。


ラーメン屋から少し歩いたところに服屋があった。

そこで長ズボン数着と半袖シャツ、長袖シャツ、ちょっとした上から羽織るための上着と下着を少々、あとベルトとパジャマセットを一つ購入した。半ズボンはあまり好きではないので買わなかった。合計で二万ソート程したが、財布の中に比べれば微々たる出費。モラゾールさまさまである。


やることが終わったのでラーメン屋に向かった。並んだが比較的短い時間で店内に入った。

店内は前世でよく見たラーメン屋そのもの。メニューの中にあった、定番ラーメンというものを注文し食べた。

うん。完全にラーメンだ。味も見た目も。久々に食べると懐かしくて美味しいものなんだな。いやいつ食べても美味しいけど。

…あれ、今もしかして地球にいるのかな。商店街に入ってからというものの日本での暮らしと遜色なさすぎで違和感が半端ない。

千年でだいぶ変わったものだ。

値段は七百五十ソート。もう、何も言うまい。


腹も膨れたので、後は宿探しか。この分だとビジネスホテルみたいなのあるんじゃないだろうか。まぁ、この際泊まれればどこでもいいが。

最後に歩きながら目に留まった生活用品や自炊に使えそうな食材を適当に買って、商店街を後にする。時刻はもうすぐで夕方に差し掛かるといった具合であろうか。


暫く歩いて、すっかり夕焼け空になったころ、ようやく泊まれそうな場所を見つけた。そこそこ広めなホテルっぽいところ。

受付に行き手続きを行う。そもそもこんな年齢の子どもが一人で泊まれるのかと思ったのだが、ギルドカードとお金を出したら、あっさり部屋をとれた。一番安い部屋で晩付き、一泊一万ソート。シャワー室は地下にあるとのこと。シャワーあるのか。あとで使うか。


鍵を渡され、部屋に向かう。一階のどん突きだな。三畳ほどの広さで、三分の一はベッドが占領している。靴を脱ぐ場所を入れると自由に歩ける範囲は多少あるぐらい。一応座れはするが。

なんだか、転生した場所を思い出すな。

さて、ご飯はもう少し後だし、先にシャワーに行ってさっぱりしておくか。おっとその前に、先ほど買った服を魔法で洗濯、そして乾燥。いやぁ、実に便利だ。


地下のシャワー室に着く。二十ぐらい個室があり、何個は使用されていたが空いていたところに入る。扉を閉めて鍵をかける。服を脱いですべて収納に入れ、シャワーを出そうとする。

「…ほう、そうきたか」

シャワーに注意書きが書いてあった。


シャワー代は一分当たり百ソート。出るのは冷水でお湯がよければ別料金で百ソート投入してください。シャンプー、ボディソープは一回十ソートです。問題が発生してもこのシャワーは監督責任は業者に委託しているので、ホテル側は対処できないのでご注意ください。


なかなか、姑息な稼ぎ方をするじゃあないか。一分あたりにお金を要求し、しかもお湯代は別、と。実にいやらしい。

文句を言っても仕方ないのでお金を投入する。一分じゃ少ないのでとりあえず四百ソート。お湯二分分を投入する。

流石に温度調整はさせてくれたのでいい感じの温度で汗を流す。本音を言えば風呂に入りたかったが、今はこれだけで十分だった。

と、しばしリラックスしながらシャワーを浴びていたわけなのだが一分ほどシャワーを浴びていた時、ふいにシャワーが止まった。

「ん?まだ二分経ってないけど…」

シャワーのレバーをいくら上げ下げしても一向に水が出る気配がない。ここで夏翔はある可能性に気付く。

「…ま、まさか。一気に入れるのではなくて、一分ごとにお金を入れていく仕様、なのか…!?」


…ふ、ふざけんな、詐欺じゃねーか!お金返せ、畜生!と心の中で悪態を吐きまくる。


謎の注意書きの時点で察するべきだった。よく考えればどこにも業者の名前は書いていないしだまし取る気満々だ。ここは日本ではないのでこういうことも簡単にできるわけだ。

恐ろしい世界だ。

取られたのは、相手が一枚上手だったと認めて、シャンプーとボディソープを使う。もう一気洗いにしよう。そして再度二百ソートを入れる。これでかなりさっぱりした。


「あ、タオルないや。…魔法でいっか」

温風を魔法で出し、体を乾かす。先ほど洗濯したパジャマを着て部屋に戻る。全くシャワーにはしてやられた。


部屋に戻ったころにはちょうどご飯の時間帯だった。パジャマの上に上着を羽織ってご飯を食べに行った。メニューは肉、スープ、サラダ、パンもしくはご飯だった。ご飯にした。米を食べられたのはうれしかったが、あまり美味しくなかった。


商店街で買っておいた歯磨きセットで歯を磨く。部屋の外に手洗い場があったのでそこを使わせてもらった。

寝る前にもう一度地図を見ていたら、この近くに図書館があるのを発見した。明日はここに行くとしよう。


電気を消して、固いベッドに横になり今日一日を振り返った。


「……あれ?ここって日本だったっけ?」


目次のページを見れば、いろいろ改稿した記録がありますが、読んでいて気付いた誤字だったり脱字だったりを修正しているだけなので内容には影響していません。



作品を書く上のモットー的なものとして、最低限筋の通った設定を心掛けているつもりです。極力こじつけのようなことはしないつもりです。

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