Ep.20 基準
「さてと、後は冒険者ランクや魔物等の危険度ランクの説明ね。口で言うよりこのパンフレットにわかりやすくまとめてあるから。絶対に見て頂戴」
と言って渡された二十ページ以上はあるパンフレット。タイトルは「冒険の書」とある。
大事そうなことだし、素直に空いている席を見つけそこに座って見る。
先ずはギルドカードの表記についての説明があった。
カード表はシンプルなデザインで白いカードの左上に冒険者ギルドのマークである剣と盾。右下には斜めにラインが引かれていてランクが上がるほどにラインの数が増えていくようだ。ちなみに今は黒いラインが一本入っている。
カード裏は登録の際書いた本人サインと魔力登録することでできるデザインが刻まれている。このデザインはギルド加入者全員が違うデザインであるため、言い換えるならば各人の魔力を可視化しているものである。偽造してもすぐにばれてしまうわけだ。ちなみに夏翔は紫色の波のようなデザインだった。
次は「冒険者ランクについて」だ。
冒険者ランクは「Sランク」「Aランク」「Bランク」「Cランク」「Dランク」「Eランク」が存在し、前から順に高ランクとなる。
ランクの高さで先ほどにも記したとおり、ギルドカードの表のラインの本数が増えていく。ちなみに色が決められていてSが金色、Aが銀色、Bが銅色、Cが青色、Dが赤色、Eが黒色となっている。
夏翔の例のように登録可能年齢が低く設定されているためEランクやDランクが全体の七割を占めていたりする。E、Dで冒険者のイロハを学ぶのである。
Cランクから一人前冒険者となり、自身の実力に見合った依頼をこなしランク上げを目指す。全体の二割。
BランクになるとCランクではこなせないようなより難度の高い依頼を受けることができるようになる。
Aランク。ここまで到達できる冒険者はそうそういない。強大な魔物を討伐するときに声がかかる。ちなみにギルドマスターになるための最低条件のランクである。
Sランク。ここに到達できたものは世界でも指で数えられるぐらい少ない。その実力は最早人外の領域で理解を通り越して理不尽極まりない意味不明なものである。
ここまで読んだが、このパンフレット、なかなか笑えるな。Sランクのところの表記だけ書いた人の心情が表れている。人外って。Sランクの人たちはさぞ納得がいかないだろう。続きを読もう。
ランク上げの方法だが、昇格判断基準は以下の通りである。依頼受注の数、完遂依頼の割合、倒した魔物の数、危険度ランク、普段の行い等を総合的に評価し、ランクアップがギルドマスターより認められたらランクがあがる。
「魔物の危険度ランクについて」
初めに注釈として書いておくが、たまに魔物以外の危険な動物も危険度ランクで評価されることがある。
ランクを見る前に、どんなものがこの危険度ランクに適応されるか示そう。
先ずは一般的な動物。野生の動物が時たま人里にやってきて被害が出た場合。また大きく成長し、危険だと判断された場合。だが、通常の動物であれば殺さずに元居た環境に返してあげるのがベストである。
次に一般的な魔物。通常の動物が何かが原因で体内に魔素の影響を受け変異したもの。元は動物だったが、魔素の影響を受けたことで魔法や身体能力が大きく向上しているためCランク以上が通常相手をする。
最後に、純魔と呼ばれる魔物だ。純魔は魔物に分類されるが、上記記載の一般的な魔物と異なり、魔素から直接生まれたとされる魔物だ。これに分類される魔物は一部例外はあるが上記二つよりはるかに危険な存在で、発見したら即撤退しギルドに報告する必要がある。稀に意思を持つものも存在し注意が必要。
危険度ランクは☆(★)の数で示され、危険度は全八段階である。
1.☆☆☆☆☆☆→星零。危険度極小。子どもでも倒せる。逆にほとんどいない。
2.★☆☆☆☆☆→星一。危険度小。Eランクでも勝てる。
3.★★☆☆☆☆→星二。危険度中。Dランクなら問題なく対処できる。
4.★★★☆☆☆→星三。危険度中の上。Cランク以上推奨。
5.★★★★☆☆→星四。危険度大。Bランク以上推奨。
6.★★★★★☆→星五。危険度特大。Aランク以上推奨。
7.★★★★★★→星六。危険度超特大。Sランクを呼べ。
8.★★★★★★+→星六+。危険度未知数。世界中で協力し、その総力をもって戦うレベル。実際に分類された魔物はいない。一応形上存在。
と言った具合だった。なるほど、最後は「+」なんだ。まあ、誰が見てもわかりやすい分類なんじゃないだろうか。後は、冒険者の心得などでざっと目を通して読み終えた。
その他大事そうに思ったことは、武器は抜かなければ基本帯刀していていいとのこと。ただし、銃は絶対に人目に見えないようにしまっておくこと。また国によっては帯刀が禁止な国もあるからしっかり把握しておくこと。収納魔法があれば解決だな、そういうところは。まあ、収納魔法という持ち物を誤魔化しまくれるやばい魔法があるわけだし、そういう対策は難しいんだろうな。
…さて、残る問題は資金だ。何か売るものでもあったかな。収納の中に何か金になりそうなものはないものか。
収納魔法はいちいち入り口を開けなくても、中に何が入っているかは頭の中で確認することができるのだ。これが地味に便利で収納魔法を知っている人なら共感できるはずだ。
何かいいものはないか…。これは千年前の国作るときに倒した魔物の素材か。うーん、いかにも強そうなやつだし今の姿で出したら不自然だな…素材系は駄目そうだ。
じゃあ、他に売れるものと言ったら、なにがあるんだ。
いや、待てよ。ここには素材だけじゃなくて武器や防具も売れるところがある。
ならいい感じのガラクタでも売れば多少の資金になるな。
何か、いい感じのも、の?何だこの剣は。無駄に大粒の宝石が付いている剣だ。状態も悪くない。使おうと思えばまだまだ使えそうだ。
でもこんな剣どこで手に入れたっけ…。…あ、思い出した。これモラゾールの剣だ。モラゾール戦の後地面に突き刺さっていたから収納に入れるだけ入れて放置していたんだった。
自分には帝という素晴らしい剣があるし、この剣はこのままずっと使う予定はないだろう。ならば、ここで売って別の人に使ってもらうのがきっといいはずだ。歴史的価値とか結構ありそうだがとりあえず当面の間問題なく過ごせるだけの資金が欲しい。お腹すいてきたし。
ということで、これ、売ろう。
自分は収納魔法が使えないと言っているのでばれないようにローブの中で入り口を開き剣を取り出す。ちょっとデカかったがギリギリローブの中に収まる。そして帝の鞘に一時的に入れる。
これで初めからローブの中に剣ありましたよ作戦で行くことにする。
席を立ち、道具買取所に足を運ぶ。そこにいた男性に買取をお願いしたいと言う。どんなものだ、と聞かれたのでローブから剣を取り出し渡す。
「!?ちょ、ちょっと待ってろ!」
それを見るやすぐに剣をもって奥に行く男性。その反応からやはりレアなものだったかと推測する。
別のところで売るべきだっただろうか。いや別に今更だな。あれの価値とか別にどうでもいいし、あんな反応をするぐらいだ、欲しいと思う人がきっといるだろう。
暫くして男性が戻ってきた。
「本当にこれ売っていいのか?」
と聞いてくるので、きっぱりいらないので、と答えた。
そうか、とだけ返した男性は五十万でどうだ?という。そういう話を子どもにするなと思いながらも、もう少し上げられませんかね、と返す。
謎の駆け引きが開始され、最終的に八十数万で決着がついた。
「ほらよ、八十万ソートだ」
男性からお金を受け取る。八十万ソートというものがどれくらいの金額かわからなかったが、多分そこそこな金額なんだろう。驚いたのが渡されたのが札束という点だ。紙幣なんだと思いながら、それを受け取りローブの中で収納にしまう。男性がお金を出す際に、硬貨や別の紙幣も見え見た感じ一万ソート紙幣が数字が一番大きそうだった。
お金を渡した男性はにんまりしていたので、八十万でも安かったかなと思ったが彼の幸せそうな顔を見て、まぁいっかと思った。
お金も手に入ったし、ギルドでやることももうないな。外に出てお昼を食べて、靴や服を買って、宿でも探そう。
今日はまだまだやるべきことだらけだ。
さてと、今回いろいろ導入しましたが、危険度は以後星六とか星一とかいう表記でやろうと思います。
鑑定魔法が出てきたら、こっち(☆や★)の表記を使うかもしれませんが。(しばらく出る予定なし)
それとお金の単位でソート(適当に決めた)が出ましたが、面倒なので一ソート大体一円という認識でいいです。
ついでに、この星の公転周期、自転周期も地球と大体一緒で行きます。ずれていたらややこしくなって書く気が失せてしまうので笑。
次回。夏翔、街を歩く。




