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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第2章】王国に向けて
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Ep.17 街を求めて

見渡す限り鬱蒼とした木々で埋め尽くされている。

外に出たはいいが、これでは少々骨が折れそうだ。今自分が立っている場所も人の手が加わった痕跡等は一切なく、状況的に人里からかなり離れているのではないかと感じる。


理想としては、近くに街でもあればよかったのだが、叶わなかったらしい。自分がさっきまでいた遺跡も改めてその入り口の方を見ると木々が邪魔でこの位置からは見えず、これでは発見も容易ではないなと思ってしまう。

山の傾斜は幸いなことにそこまで急ではないのだが適当に歩き回っても体力の浪費だし、この体だ。以前とは勝手が違うので安易な行動は避けるべきだ。それにここまで人里から離れていれば、野生動物や魔物との遭遇する危険性もある。魔物の有無はここが自分の思っている星である場合に限るだが。あと虫。徹底的に対策しないと、後々痛い目を見てしまう。

木々が緑色の葉をこれでもかと付けているし、よくよく感じれば、日の光が地味に暑い。まだ本格的に暑いとかではないが、要はそういう季節であるということだ。


となれば、下手に動かず魔力の回復を待ち飛行魔法で街を探すのが現実的な方法であろう。

数日程度なら収納魔法の中にある食料をチマチマ食べればいけるはずだ。


問題は水となるわけだがこれは大丈夫だ。魔法で空気中の水蒸気から液体の水として得る便利な方法がある。それを使えば確実に水は得られる。だがそれは地味に魔力を使う。今は魔力を少しでも回復させたいので極力消費を抑えたいのも事実だ。そこで確か遺跡の階段に水が流れていたことを思い出す。あれを辿ってみるか。あれが飲めたらいくらか魔力が節約できる。魔法は最終手段として取っておきたい。


あった。大きな池に繋がっていた。

しかし、池なので水の循環という点ではよくないように思われたが、よく見ると湧き水が出ていた。

これならもしかして飲み水としていけるのでは。

鼻を近づけ、匂いを確かめる。…特にヤバそうな匂いはしない上、透明度も圧巻の一言だ。飲めそうな気はするがこんなところで心配性になる。


収納魔法から鍋と水筒を取り出す。ちなみにコップ付きだ。最小限に小さく入り口を作ったので魔力消費は空気中から水を集める方法と比べたら微々たるものだった。鍋いっぱいに水を汲む。

三回同じ魔法を使用してやはりと感じる。転生した影響か魔力の操作性が以前より向上している感じがする。うまくコントロールしないと大量に魔力を消費しそうになる。慣れるまで少々時間がかかりそうだ。


水を汲みそそくさと洞窟に戻った。水場はいろんな生き物が使っている可能性があったので長居するのは止めにした。落ちていた枝と洞窟内の岩や石を集めてきていい感じに組み立てる。

魔法で着火だけ行い、鍋をセッティングする。


数分後ボコボコと水が沸騰し、一部水筒に移す。最低限の殺菌は行った。コップに注ぎ、少しだけ飲む。


多分、大丈夫だ、そんな気がした。

そうこうしているうちに日が暮れあっという間に夜の闇に包まれた。乾パンなようなものを少し食べた。


寝る前に空を見ることにした。素晴らしい景色であった。満天の星空がそこには広がっていた。転生のおかげか目も以前よりよくなっていてより明確に見えた。地球とは全く違う星空。似たよな星の並びはあるが、違う星にいるという明らかな証拠。これを見るとアルティオ達と以前一緒に見たことを思い出す。


…待てよ。確か転生前にも何度も星空を見た。記憶の能力のおかげでその時の景色はすぐに思い出せる。星の配置などどれぐらい時が経っていようとそうそう変わるものではない。ここがイストヴィラスであれば今自分が見ている景色と似たような景色は転生前に見たことがあるはずだ。

その記憶は…あった。これだ。時間帯は異なるが星の配置関係が一致する記憶が確かにあった。このことはこの星がイストヴィラスである可能性が非常に高いことを示していた。


思わず朗報を得たことでウキウキで洞窟に戻った。興奮のあまりなかなか寝付けなかったがいつのまにか寝てしまっていた。



数日経ち、十分な魔力量に達した。水場が近かったため体も洗えたので意外とここでの生活も悪くなかった。池の水が思いのほか冷たかったので夏でよかったとは思った。

火の処理をしっかり行い、いよいよ出発することにした。前世で使いまくった飛行魔法を発動。問題なく体が浮く。多少動作確認だけ済ませ、上昇した。


ちょうど晴れだったので遠くまで見渡せた。ぐるっと一周隈なく見渡し、整備された道が見えた。ここからちょうど直線距離にして五キロメートルほどだろう。山の反対側はどうやら草原になっているらしくその中に確実に人の手で作られた道があった。ちょうど道の上に小さな点が移動しているのが見えた。多分、人も乗っている。移動速度からしておそらく馬車とかだろう。

進む方角の候補としては二つあるが、ここは馬車の向かう方向に行ってみることにしよう。


人に見られるのはできるだけ避けたかったのでシュッと移動を済ませ、道に降り立つ。降り立って気付いたが、道というより街道だな。石のレンガがそこそこ綺麗に並べられており、道幅も広い。三車線分はありそうだ。

再度周囲を確認する。誰もいない。好都合だ。

少しだけ体を浮かし、進む。こんな先の見えない道、まず歩いていくなんて論外だ。普通に考えて歩きなど想定していないはずだ。

いい感じのペースで進んでいる。魔力感知も使っているので仮に誰かがやってきてもこちらが先に気付ける。ある程度進んだら完全な草原から多少木々が生えてくるようになり、今では身を隠せる程度には木が生い茂っている。誰か来たらすぐに隠れるのだ。

普通に考えて、こんなところで子どもが歩いていたら不自然極まりないだろう。話しかけられる可能性が高い。今はそれは望んでいないので全力でスルーさせてもらうつもりだ。

おっと、そうこう考えていたら誰か来たな。隠れよう。


木の陰に隠れ様子をうかがう。数分後に馬車が一台過ぎ去ってゆく。食品などの荷物を多く載せていたことから商人とか仕入れ人かな。乗っていた人がちゃんと人間で安心した。

そして、この先が街に繋がっている可能性も高くなった。食品をあれだけもっているということは直近で仕入れた可能性が高い。木々が邪魔で見えにくいが街が近いかもしれない。


それから進んでいると先ほど見た馬車にどうやら追いついてしまったみたいだ。魔力感知によると少し道が混んでいるようだ。馬車の少し前には別の馬車があった。街に近づいている証拠だろうか。どうしたものか。今は気分的に接触はしたくないので暇つぶしにゆっくり上昇し木々の上に出る。

そして遠くに見える大きな壁。間違いなくそこに人が住んでいるという証拠。ついにたどり着いたわけだ。

このまま少し木々の上から進んでもいいが、街に近づきすぎると発見されてしまう可能性も上がる。ここは木の隙間を縫うように進む方が見つかるリスクは少ない。

それで行くか、と決めた時であった。後ろから馬車以上のスピードで接近してくる反応があった。かなりでかい。これは魔法具の一種か。

魔法具とは魔法陣を組み込んだ道具のことで魔力さえあれば動くものを言う。

再度茂みに隠れる。そして、それが過ぎ去る。


「なッ!?」

目を疑った。それは、まさしくバスであった。地球でよく見かけるバスに似たものが目の前を颯爽と通り過ぎていった。唯一違った点はそれが浮いていたということだ。タイヤのないバスが通って行った。勿論その内部には乗客とみられる人たちが何人も乗っていた。

インパクトが大きすぎて少しの間フリーズした。


思考を取り戻した夏翔は思い出したかのように浮きあがり、木々の間を進みだした。

未だに少し信じられなかった。なんだあれは。あるなら言えよ。乗りたくなるじゃないか。


暫くして、魔力感知に多数の反応が出た。どうやら着いたみたいだ。

魔法を解除し、ここからは徒歩に切り替える。帝も仕舞っておくとしよう。少し進んで茂みに終わりが見えた。しゃがんで周囲の様子を確認する。

さっきのバスがあった壁の端に止まっている。止まっているときは足みたいなものが出てきて上体を支える仕組みになっているみたいだ。

馬車は馬車で、人は人で別々に並べられている。入国審査みたいなものだろう。

一旦武器である帝は隠しておくか。


茂みから出ようとして立ったがすぐに立ち止まる。

今自分は身分証明できるもの一切持ってない上にお金もない。これ、もしかして入ることができないのではないだろうか。

急に冷や汗が出る。

不味い!心の中で叫んでいるときだった。


「君、今この茂みの中から出てきたよね?」


急に声をかけられて、思わずハッとし声の方に目線を向けるとそこには見るからに兵士だっていう人が立っていた。

本日二度目と思いきや実際は三度目の投稿ですね。


だいたい一話あたり作成に一時間から二時間ほどでしょうか。


実はですね三章ぐらいまでの分までこの作品の原型ともいえるデータがスマホにあるのですが、もう改変しまくり。大筋は大体同じなんですが細かいところが全然違うんですね。参考にしていたりするんですが少しずつ参考にならなくなってきています。

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