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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第8章】現代の勇者
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Ep.139 高等部修学旅行⑥-翌朝-

「わかりました。もう夜も遅いです。リュウセイ様、お休み下さい」


「………はい」


事の顛末を説明した流星は、部屋を退室した。彼の様子からして明らかに項垂れていることがわかる。

一人で解決しようとした結果がこれだ。

スパイを取り逃したことは彼にとって、それなりにメンタルに来ていたようだ。


「謎のマントの人物……か」


扉が閉まると同時に教皇ギフトが話し始めた。


「徹底的にまで素性を隠していたみたいですね……残存魔力の波長は何故かリュウセイ様の物だけで判別は不可、何かしら行ったであろう結界の侵入手段も不明、ついでの撹乱粉で捜査は至難を極めており、挙句、間者の痕跡も見事に無い……という状況です」


急ぎ作られた資料を片手に、メベリータが状況を説明する。


「ふむ……相手が一枚上手じゃったな」


してやられたな…と言わんばかりに愉快に笑うイデリス。


「枢機卿!我々の領域で好き勝手されたのだぞ!?何を呑気な!」


それに食い付くのはジャッコアだ。

かなり気が立っているのか、勢いで立ち上がっている。


「落ち着け、座れジャッコア。君の焦りはよくわかるが、怒鳴り散らかすことが君にとっての詫び…なのかい?」


「……ち、違う!」 


場が騒がしいと進む話も進まない。ギフトは熱くなっているジャッコアを黙らせ、座らせる。


「なら、お口チャックしておく事だ。……メベリータ」


「はい」


「君はどう見る?」


話を前に進める。

今この場で最も参考になる発言をするのは、メベリータである。


会議のいつもの流れだ。

先ずは彼の見解を聞き、そこから順に話を進めて行くのだ。


「そうですね……マントの人物が身に付けていた防具が実に高性能だったところが気になりますね。話を聞く限り、我が国でも再現出来るかどうか……」


「成程……」


「そして、そのマントの人物はそこまでして素性がバレたくない人物……という訳ですね」


「ほぅ……となるとある程度は絞れる訳だ」 


「ええ、我々でも再現困難な技術を持つとしたらラーテルのみ。そして、それを身に付けていた人物は一端の使いとは考え辛い……彼の国にとって重要な人物である可能性の方が高い」


「……それで、その人物は?まったく目星がない訳ではないだろう?」


「えぇ、勿論。……もし、この人物が勇者ナツトであったら……面白いと思いませんか?」


「馬鹿な!?間者を守るために最重要の勇者を送り込んだというのか!?何を考えているのだ、あの王は!?」


メベリータの話を聞いて、ジャッコアはありえないという顔で驚く。


「飽くまで推論の域は出ないので、ご注意を。何せ……証拠がないのですから。しかし、ナツトであるとすれば、状況的にも色々納得が行くのも確かです。あの時、あの場に迅速にかつ確実に間者を救えると考えると、彼が適任でしょう」


「……確かに、其奴はこの国に今現在居るが……どうするのだ?重要参考人として捕えるのか?」


「放置ですね。証拠も無いのに捕らえようとすると最悪戦争になる。それに、彼は常識があるので捕える事は可能でしょうが、万が一彼が抵抗するようなことがあれば、兵士だけでは不可能。我々の内二人は出ないと確実にならない」


「そうだろうな。我々としてもまだ完全な対立は避けたい。ナツトを捕えるのはナシだ。いいな」


全員が異論なしという意味を込めて頷く。


「よし、ではついでに、折角集まったのだから逃走中の二人について話そうか。……間者がラーテルの者だとして、かつ逃亡に関わっていたものとするなら……ラーテルに既に逃げ込んだと思うかい?」


議題は移り、未だ行方知らずなとある二人の話になる。


「難しいところですね。可能性としては十分有り得る話です。しかし決め打ちはできない。前に言った、国内に留まっている…もしくは、獣国へ逃げたかの可能性の方が高そうですね」


間者騒動があり、消去法でラーテルの者だった可能性が高い……となれば、逃走中の二人も既にラーテルにて保護されているのではないか。

ギフトにはそういう考えが浮上していた。

夜中も夜中だが、折角集まったので、全員の意見を聞きたいところだったのだ。


「国内ならばそう見つけ出すのは難しい話では無いが……獣国に逃げたとなれば少し面倒じゃな」


「えぇ、間者がラーテルの場合、ラーテルにも知られたと言えます」


出来たら秘密裏に処理したかった問題だったが、既に露呈してしまった。ここは幾つもの想定を出しておき、柔軟に対応することが求められる。


「私が行く」


ここで、沈黙を貫いてきたカテラキアが発言した。

この国初の聖女として長く国を支えてきた彼女は、次代の聖女育成の任も担当していた。

そして、手に塩をかけて育てた聖女が殆ど国を裏切ったとも言える行為をした。

真偽はどうあれ、聖国から逃げた事実は変わらない。


「カテラキア…悪いが許可出来ない」


「何で!」


いつもはギフトには反論しない彼女が珍しく反論する。


「お前はそれなりに世間に顔が知られているだろう?下手に他国に行かせられる駒ではない。それに自身の価値を考慮しろ」


「それくらいわかっているわよ!それに変装すれば問題ないでしょ!」


「今は準備の期間だろう?それに聖女を複数同時に育成していたのはこういう事態も想定しての事だ。一人欠けたとて支障はない」


元々は一代につき一人と言うふうに特別感を出して育てて来た聖女だったが、国が大きくなるにつれて、合理性に欠け出した。

そこで、才覚のある者数名を見つけ、互いが切磋琢磨するという環境を与え育てる事で、その問題を解決した。


「それこそ、悠長なのよ!ラーテルに先越されたらどうするつもり!?聖女の事を知られるわよ!」


彼女の心配はわからない訳ではない。だが、仮に二人が獣国に逃げたのなら、尚更彼女は送れない。変装と言ってはいるが、出入国の際は変装のしようがない。無理矢理送ることも出来なくはないがリスクが高い。

獣国の連中は察しがいいし、何かあるのではないかとなったら面倒だ。

彼らに怪しまれずに行けるとしたら、ギルドと協力して身分を偽れるような、そんな人物だけだろう。


「今更だし、別に構わない。あの国に知られても、そこまで問題ではない。あの国は既に運用の域まで達している。ジャッコアのやらかしもバレるだろうが、証拠は不十分。今回の我々と同じく、追求はそう簡単には出来ない。そして、仮にそうなったら口実が出来る。何もデメリットのみではない」


「口実……?何の?」


「さっきその話はしたね」


「……まさか!」


「そういう事。……世間には勇者でない者が召喚された事は知られていない。それを考慮しても裏で捕えるのが良いだろう。予定通り日が昇ると同時に捜索を開始する。先ずは国内を重点的に。国外は各国に悟られない程度に行う」


「しかし、残念じゃな。初の獣人の聖女には期待していたのじゃが」


「そうですね。恐らくたまたま巻き込まれたのでしょうが、残念な話です」


「メベリータ、君は今後どうなると思う?」


「脱出後、包囲網は直ぐに張りましたので、国外に行くのは困難を極めるでしょう……しかし、万が一抜け出せていたなら、先の会話に当て嵌まるのでは?」


「私も同じ意見だ。下手に野良を彷徨われるくらいなら保護してもらう方がいい。なに、猫一匹の面倒くらい見られるだろう」


捕まるか、逃げ果せるか。

どちらに転んでも問題はない。

蒔いた種がいつ芽吹くかなんて、種ごとに違うものなのだから。










空の見た記憶(カラモリィ)


アルティオのとある指示を聞いたナツトは、瞬きをするぐらい短い時間の中で、魔力を解き放ち、能力の効果を乗せた魔法を行使する。


乗せた能力は「記憶」の方。

行使した魔法は、練習段階のもの。だが、練習段階でもその効果はとても有用で、成功すれば情報線において強力なカードとなる。


この魔法の対象は人や物ではなく、魔素。

それは、大気中に漂う魔法の素となる粒子であり、この世界の魔法の大前提となる未だ謎大きモノ。


パソコンやスマートフォンの検索履歴を見るように、魔素に残された僅かな魔力の痕跡……つまり、魔素の記憶を魔素に干渉することで無理矢理引き出す。

これにより、過去に行使された魔法がどのようなものなのか知ることができ、これに加え事前に特定の人物の魔力を知っていればそれの特定も可能となる。


「……見つけた。二人の魔力残滓」


探し物は見つけた。昨夜にバロトナッツの記憶を引き継いでいて良かった。


アルティオの予想通りだったな。

アルティオの指示は、昨日引き継いだ記憶を元に、大教会から逃走した二人の人物の捜索だった。

逃げ出した人物は、「サルビア・ニューニャ」

と「陸野秋楽」。それぞれ聖女と召喚者の一人である。

アルティオの予想では、二人は既に国外に逃亡済みとの事だった。そして、今魔法にて調べた限りその通りだろうと推測できた。


「それにしても……中々思い切った方法だなぁ。転移魔法があるとは言え、真っ暗闇の中よく決行した」


身元がバレる国際間転移魔法装置は使わないとは考えていたが、恐れ知らずと言うべきか……。

……だが、それなら、アルティオから今朝聞いた通りの予定で行こう。

このまま旅程通り獣国へ向かう。

そして、獣国にて再び同じ魔法を行使して、二人の場所を特定し、接触する。


獣国……ウガオロダドラ。獣王が治める獣人が住まう島国であり、北部には人類未開拓の「未開の樹林」が存在する。

過去にナツトが訪れた「魔の領域」同様、魔物蔓延る危険な領域である。


訪れるのは前世も含め初である。そもそも獣人と呼ばれる彼等もあまり見かけない。彼等は愛国心が強いことで有名で、国外で活躍する人はそこまで多くない。獣国出身の冒険者達もその目的のほとんどが「未知の樹林」の脅威から国を守るためである。まぁ、狩猟本能が強い彼等にとっては隣り合わせで存在する「未知の樹林」とは狩って狩られるような関係性なのだ。


そんな中々国を出てこない獣国にとって、獣国内から選ばれたの聖女という存在は今後、国同士の橋渡しの意味も込めて期待の声が大きい訳だが……今回の騒動が公になればどうなることやら。


それから数時間後、学園一行は聖国に別れを告げ、問題なく獣国へ足を踏み入れた。


急いで書いたから内容薄っっす!

薄味ですよ、こりゃあ。

なんか申し訳!



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