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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第8章】現代の勇者
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Ss.13-2 太古の記憶-人竜大戦-

Ss12-1 の続きからです

我、トシュ・ゼラ・アーティアゴが父から聞いた"ヒト"との戦いの全貌はこれだけだ。


ヒトの技術……特に魔法陣についての知識を得たエルフは更なる発展の道を突き進むこととなる。

この戦いで『エレシオンの定義書』こそ見つからなかったが、その知識を持つヒトから教えて貰ったのだ。

見立て通り、魔法陣というものは無限の可能性を秘めていた。

既存の詠唱して使う魔法も素晴らしいが、魔法陣は一度発動したら終わりではない。陣がある限り何度でも発動が可能という詠唱魔法では不可能だった再現性があるのだ。

完璧な効果を発揮するには、文字の大きさ、配置、バランスなど様々な要素を完璧な配分で調整しなければならないが、研究者にとってはこの難しさが堪らないそうだ。

研究者達もよくこんなシステムを創り上げたものだと舌を巻いていた。

そして、一度完璧な配置の魔法陣を作ってしまえば、それを見ながら複製も可能である。


まだまだ歴史が浅い魔法陣だが、既にこんなにも有用性を示している。

実に素晴らしき力よ。この力を研ぎ澄ませば、海を挟んだあの大陸に居座る竜とも同等以上の力を得ることになるだろう。


今後の成果が実に楽しみである。


さて、父から引き継いだこの我だが、前二代に比べると我は大したことはしていない。

継承したのは黒天暦500年。国の発展の術には疎かった父に対して、我がその辺りが得意だった点、世紀の区切りとしてちょうど良かった点を踏まえてこの年に行われた。

そして既に近い内容を記したが、我がしたことは、一括りにしてみれば国の維持とその発展だ。

一つ、魔法陣を新たな魔法の形態として定め、その研究に多額の資金を投入した。

一つ、ヒト共がいた土地を足掛かりにこの大陸の更なる開発を開始。より多くの潤沢な資源を得ることとなった。

一つ、同族の生活環境及び文明レベルの向上を図り、より質の良い暮らしの提供を行なった。

一つ、敗者であるヒト共を我等の奴隷とし、我等の従順となる手足とした。


魔法陣の知識を持つヒトは貴重であるが、その他は大した価値はない。

各地の開発地へ送り、資源の供給や土地開発を行わせると同時に農耕も併用する事で、自給自足を図る。

魔法の知識は与えず、管理者として魔法を使える同族を派遣する事で、力の差を明確にし、かつエルフの支配を実感させる。

また、この同族派遣はせっかくの人材であるヒト共が潰れぬよう適度な管理を図る意味もある。

奴隷とはいえ、各地の開発には多くの人材が必要なのだ。下手に使い潰していたらキリがなくなるからな。


我がしたのはここまでだ。

我の王としての期間も三百年を超えた。

そろそろこの座を次の新しき風に手渡してもいい頃だろうて。





846年、4代目国王、ラウガ・ヤロ・アーティアゴ即位。

先代以降の政治体制を見直し、悪法となるものの排除して新たに法令を定める。

首都に物や人々が集まるように街道や鉄道等の整備。中央集権国家を目指した。

同時に、竜の住まう大陸へ進出を目指す。


無策では竜に勝てない。そこで、ひとまず軍事力を増強することに尽力する。

兵器は勿論、魔法陣の応用も進める。魔法陣を兵器に組み込む事ができたらより強力な兵器となるはずだ。


898年。エルフは遂に竜の住まう大陸へ足を踏み入れる。海の猛獣達を潜り抜けた先遣隊が、島の安全な場所を探し、確保。竜達の目を掻い潜り、拠点を作成。島の環境調査を開始する。


同年、先遣隊が下位の竜一匹と交戦。予想以上の苦戦を強いられ、何とか退けることに成功。人数が少なかったとはいえ、下位の竜相手にこの結果。大陸の中心部にいるであろう中位や上位の竜相手では、敗北も考えられる。

この段階で認識を改める事ができたのは暁光である。急ぎ、兵器の完成を試みる。


901年。遂に対竜兵器が完成する。下位の竜の鱗を簡単に砕く事が可能な移動式バリスタ、瞬間的に防護壁を起動する魔法道具等を現地へ輸送。

来るであろう戦いに備える。


903年。王自ら大陸へ赴く。そして、竜の頂点である竜王と対話。

対等になりたいのなら力を示せと伝えられ、二日間の与えられた準備期間の後、竜との戦いである「人竜大戦」が勃発する。

基本的に敵戦力は下位の竜が相手であったが、数が非常に多かった。魔法陣や兵器は有効であったため、耐え忍ぶ事はできた。空を覆い尽くすような勢いの竜達は、まさにこの世の終わりのような光景であったが、それよりもたまに嵐のように乱入してくる中位以上の竜一頭の方が遥かに脅威であった。

そんな状況下でも、我等が生き残ったのは竜達は、終始我等を試すような姿勢であったことも大きい。

早朝や真夜中、悪天候の中など様々な状況下で我々が如何にして対応するのか見ている節があった。しかし、試すとは言っても戦っている以上、相手は本気で襲って来る。

そんな戦いが実に一年弱続いた。


904年、中位の竜を倒したことにより竜王より我等エルフの実力が確かなものだと認められた。「エルフ竜間友好条約」の締結である。これにより、大戦は終結を迎え、晴れて我々はこの大陸での活動の許可を得た。


910年。竜との戦いの中で受けた傷を鑑みて、早めに王位を継承することに決定。

その後もエルフの国は発展を続ける。


1000年。記念すべき年を祝って、世界三ヶ所に神のための施設、聖域を建設。


1324年。立体魔法陣の初めての成功例が生まれる。不可能と言われた分野の開拓により、魔法界隈に新たな風が吹く。


1506年。竜の行方不明事件が立て続けに発生。原因は不明。


1510年。エルフが条約を無視し、竜を殺したとして竜王が激怒。二度目の人竜大戦が勃発。

だが、以前とは異なり、遥かに技術が進んだ我等エルフは互角以上に渡り合いながら、無実を訴える。しかし、被害は両陣営前回の比にならない損害を被る。


同年、竜王の様子が急変する。禍々しき気配を纏い、真っ黒な姿へと変貌する。敵味方の区別が無くなり、世界中への無差別な攻撃を行い始める。民の誰かが言い始めた言葉がいつの間にか国中に広がっていた。あれは、邪神だ。


同年、この混乱に乗じて奴隷階級であるヒトが各地で一斉に蜂起。秩序が無くなり対処不可能な事態に陥る。


1511年。竜王による被害、及びヒトの反逆により中央都市の機能も完全に停止する。ヒトの手は王城まで迫り、城に残る王族は全て捕らえられるだろう。

その前に逃がせる事ができる者は死を偽装して逃すことにする。

この書は最後の王子、ライアスに託す。




同年、長きに渡って栄えて来たエルフの国が滅んだ。

ヒト達の追求を恐れたエルフ達は各地へ散り散りになる。


私、ライアス・レラ・テルテゥーアス。

最後の王として、役目を果たさん。


ここに私の知りうる全てを書き記したいが、特殊な魔法道具とはいえ、この書は引き継がれるもの。

あの者に見られうる可能性がある。だから、これには記さない。

そして、私が生きていると知れば、あの者は確実に私を葬りに来るだろう。


それより先に私がやるべき事は、私の持つ知識を隠し、あの者を排せる者へ託す事だ。


1512年。やはりあの者は私の生存に気付いているようだ。勘だが、間も無く私に辿り着くだろう。だが、私もこの二年間で出来得る限りのことは成し遂げた。

知識は神に渡した。後は、鍵だ。

この書も我が子に託そう。

例え、我が身滅びようとも、一矢報いる事はできる。


泣き虫王子、最後の悪足掻きだな。













ヒトとの戦い後、歴史に埋もれていたエルフ達の記録として大事そうな部分はここまでだ。

以降は、自然の多い土地で隠れるように村を豊かにするエルフ達の生活が記されている。

大きな戦いや異種族との関わりもこれを機に長く断たれることになる。


気になるのは、やはり最後の王。

彼が残した知識とは?鍵とは?そしてあの者とは?

後一つとされる最後の遺跡に辿り着く事ができればそれがわかるのだろうか?



こんな時期にコロナにかかってしまいました。

そして地味にしぶといという……。

全く、久しぶりに39度超えましたよ(疲)

お陰で一週間潰れてしまいました。


という訳で、今週は先送りにしていた話を差し込む形で失礼しました。

正直、碌に推敲出来ていないので迷いましたが、一週飛ぶ方が面倒だなと判断した感じです。


まぁ、何にせよ体調を整えるのが先かな。

あー喉いたい。

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