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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第8章】現代の勇者
154/214

Ep.123 誰が為の目的

歓喜、疲労、安堵、疑心、期待、同情。

今この時、様々な感情がこの場にはあった。



「聖女達を休ませておいて」


「はっ」


指示を受けた白装束の男達が、召喚を終えぐったりと倒れている聖女達を魔法にて浮かしてどこかへ運んでいった。


指示を出したこの国初の大聖女カテラキアは、運ばれた聖女達を見送った後、召喚された少年少女達の方を見る。


まだまだガキね……。


勇者召喚の度いつも思う事を思いながら、成り行きを見守ることにした。






召喚された彼等は見知らぬ偉そうな男に「世界を救ってくれ」的な事を言われたが、そんな事よりも今の状況を飲み込むことの方が大事であった。


髪の先が金髪のチャラい少年、水沢皇次郎(みずさわこうじろう)は叫んでいた。制服を雑に着て、180を超える身長の彼は、高校でこそその見た目が恐れられていたが、この場においてはただ叫ぶだけの存在だった。


制服の第一ボタンを閉め、校則に従って短い髪型をしている一見爽やかそうな少年、赤河流星(あかがわりゅうせい)は困惑しつつも何処か期待している目をしていた。「世界を救ってくれ」発言を聞いてその表情はより強くなっているようだ。


四角いメガネをかけ、無造作なパーマの少年、陸野秋楽(りくのあきら)は黙って様子を見ていた。内心では混乱しているが、それは表には出さず、どう動くのが正解か見極めようとしていた。


真っ黒な綺麗な髪を後ろで束ねている少女、日道桜(ひのみちさくら)は、「え?え?」とあたりをキョロキョロしていた。状況が理解できず、座り込んだまま混乱していた。


茶と黒の中間と言った髪色のショートヘアの少女、海音美春(うみねみはる)はゆっくりとこちらに歩いてくる「世界を救ってくれ」発言をした謎の男を睨み、後ろにいる日道桜を守るように警戒していた。


「勇者って?」


召喚された彼等の中で一番最初に発言したのは美春であった。警戒は緩めず、情報を抜き出そうと試みる。


「異界より、この世界を救済する選ばれた人間です。つまり貴方達のことであり、貴方たちにはそれを成すための力がある」


問われた教皇ギフトは、すぐに回答する。嘘を言っているような雰囲気は感じられなかった。内容を見れば迷惑極まりないが、その声には納得させられそうな感じがあり、神経がぞくりとする。


「勇者として選ばれた貴方達の力は我々では知ることは出来ません。ですから、皆様「ステータス」と叫び下さい。自らならその力を見る事が出来るはずです」


勇者には鑑定魔法が効かない。これは長年の勇者召喚の結果から判明した事だが、勇者が行使する『勇者の力』が勇者達の魂に作用し、そう言った効果を無効化してしまうからという説が挙げられている。

だが、勇者が自分自身で能力を知ろうとすれば、勇者本人は己の力を知る事ができることもわかっている。

ステータスという魔法は世界の管理のためギルドが作った便利な管理魔法である。この魔法は召喚された勇者達にも有効であるとわかっており、使わない手はないのだ。


長々となったが、要はこちらから勝手に見るのは出来ないが、本人は見られる、という事である。


「さぁ!」


警戒してか、なかなかステータスを見てくれない彼等にギフトは促すように叫ぶ。


「すっ、ステータス!」


それに触発されてか、一人がステータスを唱えた。一人目は赤河流星。期待の眼差しをしていた彼である。

彼の目の前に、青い板のようなものが現れる。ステータスの魔法が発動した証である。ステータスと唱えることにより、空気中の魔素が一部魔力により、板状に押し固められ、唱えた者の目の前に形成される。

そこには、本人の能力や魔力を数値で概算した値、人々がその人をどう思っているかなどで付くとされる称号を見る事ができる。

ちなみに、他人からはその画面は見えない。ただ青い板が浮いているだけにしか見えない。


「ホントだ、称号に勇者ってあるよ!そして、これが、ボクの能力……!?『権能:永続』……?はは、凄いや、ホントに漫画やアニメの世界みたいだ。ボクが主人公なんだ…!」


流星はすっかり夢中になっていた。


それを見て他の者も少しずつステータスを唱え、自身の力を見始める。


それぞれが己の力を確認し、様々な反応を見せる。





「それでは、皆様。皆様の権能をお聞かせ願いたい。過去に己の能力を暴走させて死んでしまった例がある。言い辛いかもしれないが、そうならないためにも是非教えていただきたい。我々には皆様を強くする確立されたノウハウがある」


全員が十分に自身の力を確認した後、ギフトはなかなかに狡い言い方をした。

これまでの召喚の経験から、召喚する彼等の元いた世界には能力はもちろんのこと魔法という存在そのものが架空のものであることはわかっている。


その上で、死をちらつかせて不安を煽る。

生死がかかるとなれば、彼等は話さざるを得なくなる。何しろ、魔法とは彼等とは無縁の世界なのだから。


「ボクは『永続』です!他のみんなは!?」


最初に言ったのは流星だ。

尤も彼はステータスの時点で口を滑らせて言っているのだが、実に良い働きをした。彼が言った事で「流れ」が出来た。


「仕切ってんな、オタクが。……チッ、俺は『段階』だそうだ。何なんだこれはよ?」


続いて皇次郎が流星に文句を言いつつ言った。


「わ、わたしは……『補助』です……っ!」


「私は…『中継』だって」


その後には、桜、美春の順で続いた。


「して、貴殿は?」


「俺は……」


最後に残ったのは秋楽のみ。自然と全員の注目が集まる。


「何か申し訳ないけど、俺は能力無いし、なんなんなら勇者じゃない」


混乱。秋楽のその言葉は、場を混乱させるには十分なものであった。

これには、ギフトも困惑していた。過去全ての例で、召喚した者は皆勇者であった。

「勇者ではない」というのは俄かには信じ難いものであった。


「鑑定」


「メベリータ」


ギフトが混乱している間に、いつの間にか後ろに控えていた、テキパキ仕事をこなすことに定評があるメベリータが、鑑定魔法を秋楽に向かって行使していた。


確かに、勇者でないのなら鑑定魔法が可能であるはずだ。こういうときのメベリータの機転には助けられる。


「どうだ?」


「驚きですね。彼の言う通り本当に能力もなければ、勇者でもない」


メベリータがそう言うのならそうなのだろう。

しかしそうなると彼の扱いに困ることになる。

勇者としての力も能力もないのであれば、今後の戦いで足を引っ張る可能性が高くなる。

世の中には能力無しでも化け物みたいなヤツがいるにはいるが、それはほんの一握り。何も知らない少年が魔王を倒すその時にその領域に辿り着くのは不可能と言える。

だが、変に彼を見放せば、勇者達や信者達に変な疑惑を持たれることにつながりかねない。


どうするべきか……そう悩んでいると、秋楽は続けてこう言った。


「あー……俺は勇者じゃないんで、元の世界に帰れるんかな?」


「……済まないが、それは出来ない。帰還魔法は魔王が掌握しており、我々では返すことは不可能だ」


「……?えっ、それって___ 」


「安心するんだ!秋楽君!ボク達が、魔王を倒し元の世界へ返してあげると約束しよう!」


秋楽が何か言おうとした時、横から飛んできた大声によって掻き消される。

流星である。意気揚々と宣言し、その目は謎の自信に満ち溢れている。


「ハァッ!?何言ってるんだ、テメェ!何リーダー面してんだよっ!」


これにキレたのは当然、皇次郎である。知らぬ間にリーダー面して仕切っている上に「ボク達」と一緒くたにされ、内心穏やかではなかった。

流星はそんな皇次郎を見て、やれやれと言わんばかりの表情を浮かべながら皇次郎の肩に手を乗せた。


「何を今更。わからないのか?ボク達しかこの世界を救えないんだ!力ある者が力無き者のために力を振るうのは当然だろう!?」


「…んだっ、お前!気持ち悪りィ!ここに来る前は暴力は駄目だとか抜かしていたくせに!」


「ふふん、あの世界はね、法が支配する世界だからさ。だけど、この世界は魔王がいる。つまりは話し合いでは到底解決出来ない……力を以てしか解決できない世界なんだ。皇次郎君、君は怖いのか?普段多くの人に嫌な思いをさせていたのに、場所が変われば何も出来ないのか?人間いや、生物はね……新天地へ来た時、適応できなければ死ぬんだよ」


「………まじ、何なんだよ、テメェ……」


皇次郎は流星の様子に圧倒されていた。元の世界だと口を開けばルールだの堅苦しい事ばかり言っていたのに、明らかな変わりようであった。豹変そのものだ。


「それに君、さっきリーダー面がどうのこうの言ってたけど、試しに戦ってみるかい?さっき皆んなが言った能力を聞いて確信したよ。この中だと、ボクの能力が一番強い。一番強い奴がリーダー……それの何がいけない?」


「お待ち下さい、勇者様。この場は争い事を嫌う場ございます。この世界の状況を瞬時に判断したその思考力は流石でございますが、勇者様同士の争いは我々としても避けたいのです」


「そうでしたか、それは申し訳ない」


皇次郎に向けていた凄みが消え、途端に爽やかな笑みを流星は浮かべた。


「まだ混乱しているでしょう。皆様専用のお部屋をご用意しております。取り敢えず、そちらでお休みください」


「それはそれは、大変ありがとうごさいます。皆んな、行こうか」


流星は全員を代表するように、率先してギフトの提案を受け入れたのだった。





あれえ?想定以上に豹変しちゃったぞ?

まぁ、いっか!


以下、勇者の皆様。

次のまとめでそのままベタ貼りする予定。


水沢皇次郎(16) 男

彼曰く『権能:段階』を有する。

身長は184程で、髪の毛は毛先が金髪である。喧嘩癖が強く、地球にいた頃は割とやんちゃしており、ヘイトは高めであった。趣味はストレス発散できるものを探すこと。


赤河流星(16) 男

彼曰く『権能:永続』を有する。

身長は170程で、短髪で爽やかな印象を受ける少年。地球にいた頃は委員長を務めており、口を開けばルールが飛び出してくるコテコテの真面目野郎だった。趣味は漫画やアニメを観ることで、その世界に憧れを持っている。


陸野秋楽(16) 男

彼曰く能力は無し。勇者でもない。

身長は175程で、四角いメガネをかけ、無造作なパーマの少年。基本静かにするタイプ。趣味は、読書や自室にあるパソコンで自由気ままに遊ぶこと。


日道桜(16) 女

彼女曰く『権能:補助』を有する。

身長は160程で、真っ黒な綺麗な髪を後ろで束ねている少女。上3人とは違う高校に通う。人見知りな部分がある。発育が良いせいか、周りに対して少し過敏である。趣味は裁縫。美春とは高校からの出会いだが仲が

いい。


海音美春(16) 女

彼女曰く『権能:中継』を有する。

身長は160程で、茶と黒の中間と言った髪色のショートヘアの少女。発育は、桜ほどではないが、平均よりは上といった具合。全体的なスタイルのバランスがいい。拘りが強く、また基本人には強く当たるが、親しくなるとデレる。趣味はピアノと気になった本を読むこと。好きなのは百合モノ。


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