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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第7章】歴史動かす最後の歯車
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Ep.118 玉座の間にて

本当に長い階段である。

段差がそこまで高くなく、たまに面倒になって二段飛ばしとかしてしまう。

こう言う階段って、段数も相まって面倒だが、良心的な方なのだろう。

だが、未発見の場所というだけあって罠等の警戒があり、精神は地味に削られる。


それにしても、やはり似ていると感じる

そう……あのときのあそこと。


「なっっっが過ぎだろ…いつ終わるんだ?」


「こればかりは耐えるしかないな。諦めろ」


「ちぇっ………おっ、あれゴールじゃね?」


隣で行われているガルノとリアムの会話を聞いていたら、ガルノが階段の遥か先を指差した。


視力を強化して見てみると、確かに階段が途切れている。

ゴールではないが、ようやく終わりと思われる場所が見えてきた。





しばらくして、その地点に到達した。

予想通り階段はそこで終わりであった。

何とも言えない達成感を感じると共に、一向の注目はその先に向けられていた。


階段の先は廊下となっており、その先には荘厳な両開きこ扉があった。

そして、その扉のうち片方は開かれていた。


ここまで、誰ともすれ違ってはいない。もし、壁を壊し、あの扉を開いた者がまだこの遺跡にいるならば、間違いなくこの先だ。

その者は、目撃証言のあったゴーレムらしき者なのかもしれないし、全く別の何かかもしれない。


何にせよ、油断はできない。







扉の奥は、玉座の間のようであった。

長方形のだだっ広い空間の先に少し段差がありそこにいかにもな玉座が設置されている。

壁の側面にはいくつか別の部屋に繋がっているであろう扉が左右に四つずつあった。

他に特徴的なものとしたら、部屋の壁はぎっしりと文字のようなものが彫られていることと、玉座の前に青い石のようなもので作られた球形のものが専用の台座に設置されていだ。


文字のようなものは読めないが、似たようなものの見覚えがある。そして、玉座の前にある球状の青い石。


これは、完全に同じであった。

記憶の中のあの場所。

この身体が転生し、初めて地に足をつけたあの場所にあった玉座と。


最早疑いようのない。間違いなくここはあそこの遺跡と同じ時代、同じ文明によって造られたものだ。

とすると、こんな離れた地に作った理由は一体何なのか。


そんな事を考えながら、僕は玉座に向かって歩き出した。

そして、玉座の前にある青い石の前で立ち止まる。


妙に気になるこの青い石。前にこれに触れた時は何も起きなかった。

魔法を使って探って見ても、一見ただの青い石であるが、果たして意味もなくこんなところに飾るだろうか。

これが、一つしかないと言うならばまだ納得できるが、同じ構造の遺跡が二つある時点で何かしらの意味があると考える方が自然である。


しかし、考えているだけでは何もわからない。検証も込めて、あの時と同じく僕はこの青い石へ魔力を流した。


「お、おい!罠じゃないのか!?危ないぞ!」


後ろでガルノが叫んでいるが、無視する。

罠の可能性もあるが、来たとしても対応できるだけの準備はしている。

それよりも、検証を行いたかった。この依頼を終えれば必然的にこの場所を報告する必要がある。普通に考えて、ここが歴史的に非常に価値があるのは明白である。そんな場所なんて、研究と保全のために封鎖されるだろう。そうなれば、一ギルドの冒険者である僕が今後来られるかどうかなんて保証はない。


無理矢理で来ることは出来るだろうが、出来たら規約違反に定するような行動はしたくない。


よって、今が最大で最後のチャンスなのだ。




流していた魔力を止める。

やはり何も起きなかった。


肩透かしを食らった気分である。

もしかしたら、方法が違うのかもしれない。

そう考えながら、手を離そうとしたその時。


脳内にバチっと電気が流れたようだった。

周囲からしたら一瞬。だけど、僕にとっては少しの間脳内にとある景色が浮かび上がっていた。


あの遺跡だ。


脳内にあるのは、転生した時にうろうろしたあの遺跡の玉座の間。

直感的に「繋がった」と確信した。そして同時にまだ足りないとわかった。


「大丈夫か!」


ゼクタが駆け寄って来る。どうやら一瞬ふらついていたようだ。


「大丈夫です。電気みたいなものが流れてきてビリッとしました」


嘘は言っていないが、今し方体験したことは伏せておく。


「無事ならいい。やっぱり罠だったか…」


ゼクタは一安心という感じで、安堵のため息を吐く。


「なー、リアム。壁の文字読める?」


「いや、読めん。さっぱりだ」


ナツトが無事ということで、安心したガルノは気になっていたことを隣にいたリアムに訊いた。

だが、流石に何千年も前の文明の文字は読めなかった。ガルノは視線でその他にも聞いてみるが、全員首を振った。


「そっか……なあ、シャック。心当たりはないのか?」


「……え?……何で?」


あまりに唐突に振ってくるものだがら返答に遅れてしまった。


「いや、何か道中やけにキョロキョロしていたし、ぶつぶつ言ってたし、何かあるのかなって」


しまった、声に出てたらしい。いや、声というか行動に出ていたのか。


「何でもいいから、少しでも心当たりがあったら教えてくれよ」


何というべきか。似た場所に行ったことがあると馬鹿正直には言いたくない。個人的にあそこには時間を作って調べに行きたいと思うし、変に口外する前にアルティオやギルドの長であるティアメシアに言った方がいいだろう。


そうだな、夢の中で見た気がしてデジャヴを感じたとでも言っておくか。


「その話、私も気になります。是非お聞かせ願いたい。後、先程僅かに感じた魔力の揺らぎについても是非」


そう答えようとした、そんな時だった。今この場にあるはずのない声が玉座の間に響く。

大人びている女性の声だ。しかし、僅かに機械の様な無機質さも感じられる。


「何者だ!」


ゼクタが声の主に対して叫ぶ。


「その様に大きな声を出さなくても聞こえておりますよ。……そうですね、私は貴方方と同じこの遺跡を調査しに来た者でございます」


声の主は、玉座の間の側面にあった扉の一つに入っていたらしい。

ナツト達が来た時はちょうどそこに入っていて、ナツト達とは遭遇しなかったようだ。


その者を見る。

明らかに人ではない。ゴーレムか?と言われると若干悩む。


その身体は銀に輝き、人型であった。身長は百七十センチメートル程であり、人で言うならば腰付近まで伸びた無機質な白い髪が靡いている。その見た目からしても女性をモデルにしているのは明白であった。


また、顔は黄色く光る目だけがあり、口や耳は無い。更に特徴を加えるならば、身体の表面に一切の接合部が見当たらない。記憶にあるゴーレムならば関節などに相当する部分は、ちゃんと曲げられる様に、部位ごと作りそれを繋ぎ合わせるのが一般的だ。

だが、目の前にいる者は、そう言うのが無い。だったら、間接はないのかと言われるとそうではなくて、人の様に足を使ってこちらに少しずつ歩いて来る。


言うなれば近未来のロボットだ。

明らかに異質。


ゆっくりと近づいて来るその存在に対して、全員の警戒が跳ね上がった。

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