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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第7章】歴史動かす最後の歯車
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Ep.111 戦い方

先生のGOサインが出たのがかなりギリギリだったので、間に合うかどうかは正直賭けであっが、間に合ったようだ。


だが、位置的にノアラに向かっていた生徒達のフォローは出来なかったのは残念だ。

だが、ナツトを除いて六人いるので戦力としては申し分ないだろう。依然、人数有利だ。


能力の詳細を教えるのが禁止されている以上、彼らには教えてあげる事はできないが、ここまでの攻防で、ある程度までの推測は立てているだろう。全員がそうかはわからないが、少なくともロックバードはしているはずだ。彼はそう言う人物だ。


「ウル」


膠着状態になりつつあったが、ノアラが戻って来た。これで七対二。ナツト一人でも戦えない事はないが、今回は目的が違う。後ろにいる彼等に能力を有する者との戦いという経験をしてもらわなければならない。


うーん、教えられないと言うのが中々邪魔になって来る。より統率の取れた動きをするためにも共有しておきたいが、出来ない。実にモヤモヤする。

だが、出来ないものは出来ない。行動で教えるしかない。


「どう攻める?」


「私、行きたくない」


「それは俺も」


いつも裏でやってる秘密の訓練のおかげか、二人は警戒して攻めの手は一旦止まったようだ。この間に、魔力で念話をして全員の戦闘体制を整える。

よし、じゃあ僕も攻めの準備を……。


「シャックは能力禁止な!」


「「「え!!?」」」


ナツト、ウル、ノアラの三人の声が見事にハモった。明らかに上からの理不尽なお話であるが、先生にも考えはあった。先生の考えでは、今頃楽しい戦闘が繰り広げられているはずであった。しかし、なぜか膠着状態に入った。

考えられる原因で真っ先に思いつくのは、やはりナツトの参戦であった。ウルとノアラも先程、ナツトの能力は何してるか分かりづらいと言っていたため、二人はそれにかなりの警戒心を持っている事はすぐに理解できた。

だが、それでは訓練にならない。ならばいっその事ナツトの能力を禁止してしまえば、状況が動くのでは…と考えた訳だ。


そして、実際その見立ては正しかった。


直ぐに戦況が変わった。


「あぶなっ!」


「まぁ、守る為の結界は用意してるよね、流石に……」


「流石にね。ロックバード、ウルを頼む!」


「そんな指示を出す暇、あるのかな!!」


動いたのはノアラ。瞬間移動が如く距離を詰めたと同時にナツトに斬りかかっていた。しかし、これは事前に張っていたナツトの結界に防がれる。

…が、それは単なる時間稼ぎにしかならない。

次々と繰り出される猛攻を前に結界はみるみる破壊されてゆく。


思わず後ろに下がるナツト。そして、直ぐにミスったなと思う。


そう、ノアラの能力に対して距離を取るというのは全く意味がない。


「ぐっ……!」


ナツトの腹にノアラの木刀が叩き付けられる。普通に痛いし、本当に厄介だ。彼女は移動と攻撃にかかる予備動作を省略している。目の前に来た時にはもう当たっている状態である。

わかっていても、能力なしではかなりキツイ。

ならば……。


ナツトは掌で魔法陣の構築を始めた。


「緊縛する柱よ。大地に突き刺さり、共鳴し、深くを鎖ざし給へ……」


「詠唱!?ウル、出番だよ!」


「ちょっ、今、手ッ離せないって!」


「言い訳無用っ!」


「〜〜ッ!わかったよ!ホラ!」


ウルには今ナツト以外の全戦力が向かっている。ロックバードは先の攻防で下手に魔法を使うよりかは物理メインでゴリ押したほうが有効的だと判断したようだ。

流石だ。概ね正しい判断だ。


だが、ウルも流石だ。そんな状況から能力を解放できるだけの余裕を作れたのだから。


ウルの能力が再び解き放たれ、大気中の魔素に「細工」が施される。


時間がなかったので、そこまで手の込んだ細工はされなかったが、魔法構築の邪魔は大いにされる。


バチっと音を立てて、ナツトの掌に形成されつつあった魔法陣が割れた。

そして、それによって生まれた千載一遇のチャンスをつくために、ノアラが突っ込んでくる。


「これも防ぐんだっ!?」


だが、ノアラの攻撃はナツトの剣によって阻まれた。

流石に何度も腹を木刀で殴られていたら、予測は立ってくる。攻撃も何もかも省略するが、当てるという行為に変わりはない。そのため、攻撃が来る前に守っておけば受ける事は可能だ。


両者はお互いの木刀を挟んで睨み合う。

そして、いつの間にか両者の足元に魔法陣が現れ、紫に光り出していた。


「え!?それはさっき壊れて……あっ……体内詠唱!忘れてた!!」


「緊縛結界」


結界が展開され、結界の境界に周囲の魔素が引き寄せられる。つまり、結界内の魔素を用いる行為、魔法が禁止されるという事だ。


「うわ、出た、脳筋結界」


遠くからウルの声が聞こえた。

この緊縛結界は日頃の能力訓練で、ナツトがたまに繰り出している技であり、魔法が撃てなくなるので物理でぶつかり合うしかないという事になる。お互い能力はおろか、魔法までもが封じられることになるが、相手を崩す一手となり得る。

だが、裏技はある。空気中の魔素はどこかにやれても流石に体内の魔素までは排除出来ないので、身体強化魔法などの体内で魔法を構築するのなら使えない事はないのだ。


そして、単純な剣の勝負ならナツトとノアラではナツトに軍配が上がる。


「…くっ……ん…くぅ……」


何度も何度も戦った仲だ。お互い攻撃にどんな癖があるのかなど熟知している。それでも生まれてる有利不利は、ここまでの魔力の消費量や純粋に自力の差に由来するものであるだろう。


一方のウルの方も勝負が決まりつつあるようだ。能力を封じられたウルは数の差に対応しきれなっている。もう後数十秒もかからず終わる事だろう。


後は、こっちだけ。

ナツトとノアラ。両者が、微妙にお互いの間合いの外に出た瞬間、ノアラは裏技を使って魔法を構築した。


「…負けない!雷属性付与(エンチャントサンダー)!」


体内での魔法構築か。

いいね、上手くなってる。

ならば、こちらも雷属性で行こう。


かなりシビアであるが、この距離ならばお互いの武器がぶつかるその前に、ギリギリ付与が間に合う。


両者、激突。

真っ向からぶつかり合い、そして雌雄は決した。










「よく一人であの意味のわからない動きをする奴を能力無しに止められたな」


「割とボコボコにされたけどね。ま、練習すれば、能力がなくとも戦えるって訳だ」


「持っているお前に言われても、な。何にせよ、良い分担だったシャック」


「ふ、ロックバード、君が人を褒めるなんて珍しいね」


「真っ当な評価はするさ。…それが人の上立つ者の義務の一つだからな」


ちょっと駆け足で描いたので、変なトコありそう

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