表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第7章】歴史動かす最後の歯車
134/214

Ep.108 生徒会会議

ある教室の扉を開き、中に入る。十人程度で会議を行うためのミーティングルームだ。部屋の中央には、長方形の机が設置されている。この教室は、本日ナツト達、高等部第一学年生徒会が会議を行うため、学園によく申請して借りる部屋である。既に二人来ており、いつも通り自身の場所に座っている。ナツトも同じく、いつもの位置に座る。その後すぐに、残りのメンバーがやってきて各々の席に座る。そして、この学年の生徒会長のチェルーティアが入室し、議長席に腰かけた。


「揃ったわね。じゃあ、始めましょ?ハイシア、進行宜しく」


「わかりました!それでは、白永歴1997年度高等部第一学年、第二学期第一回目の生徒会会議を行います。司会進行は前学期と変わらず、私、ハイシア・フィルフォウが務めさせていただきます」


学期の初めてあってか、テンションが高めな髪の長い彼女が、生徒会にて議長担当のハイシアである。そのため、生徒会関連の会議では、司会をいつも担当することになっている。はきはきとモノを言うので、実に聞きやすい。また声もよく通るので、イベントがあるときは彼女の声かけはとても役に立つ。


事前に作成しておいた簡単な資料を片手に、ハイシアは議題を進めていく。そして、それぞれの議題の中で出てきた意見などをまとめるのが、前学期の最後の方から全会一致で、書記もやるように決められたナツトである。元々は、別の人間が担当していたが、その人物が広報の仕事にプラスアルファの要素を加え、生徒会と生徒間の距離間の緩和を図ろうと言ったのだ。会議の末、その人物は結果的に広報の補佐と言う立ち位置に収まることに決定。そして、空いた書記の席がナツトに回された。普通なら、あり得ない役の分け方だが、書記をやるにせよ、やらないにせよナツトは会議の内容を能力で記憶するため、あまり変わらない。どれほど会議が早足で終わっても、すべて書き出せる。そんなこともあってか、わざわざ書記が頑張らなくてもいいじゃないかという結論に至ったわけである。


だとしても、会計、書記は分けるべきな役職なのでは、とナツトは以前聞いたが、「ナツトなら出来るだろう」という認識が強くある上、ここで人員を増やしたとしてもかえって効率が落ちるからいらないと返された。実際のところ、その認識は間違っておらず、ナツトとしても大した支障はない。


それよりも、それだけ信頼されていると知り、ナツトはただただ嬉しかった。しかも、この認識はナツトを除く同期の生徒会役員全員の総意である。つまり、ナツトを好ましく思っていないロックバードもナツトをそう評価しているのだ。意外だが、好き嫌いを置いて物事の価値基準を定められるのは彼のいいトコロだろう。


……というか、元々やっていた書記を降りると言ったのが、そのロックバード本人なのだから、凄いことだ。受け持っていた役職を自ら放棄するなど、プライドの高そうな彼とはまるで似つかない行為であった。あまりにも、吃驚な事だったのでナツト自身、思わず彼になぜと訊いた。その時、彼は一言「適材適所だ」と言った。このとき、純粋にナツトはロックバードのことを見直したのだった。


「さて、最後の議題です。まずは、詳細を広報担当のお二人からどうぞ」


「それではまずはこちらの資料を」


ハイシアの導入に続いて、話し始めた彼は元々広報を一人で担当していた、ヨジェットである。事前に作成した資料を風魔法を用いて、素早く丁寧に全員に配る。


「以前、ロックバードの意見を参考に、行った学年全体へのアンケートの結果です。色々と興味深い結果となりました」


ロックバードが広報の仕事にもう少し要素を盛り込み、生徒達の生徒会に対する認識やその活動により一層興味を示してみようとして試みた今回のアンケート。聞いたのは、生徒達が学生生活にどのような不安や、こうなってほしいなどと言った割と答えやすい一般的なものである。

その中でも、今回広報の二人が聞きたかったのは設問の五番目だ。


「何か、学生内で大きなイベントを行いたいですか?という質問ですが、六割以上の生徒がはいと答えました。そして続く自由記述に対しては、方向性こそ定まっていませんが体を動かすようなイベントがいいというような声が大多数を占めている……といったところです」


成程、運動会みたいなものか。確かに学園祭はあるが、運動会みたいなものは行わないな。


日本人的な感覚からすれば、違和感があるがこの世界の学校では割と普通である。と言うのも、魔法があるのが大きい。魔法があるため、地球のような純粋なフィジカルでの争いというのは難しいのだ。ならば、魔法ありきのものにすればいいじゃないかとなるが、これも難しい。魔法は、常に冷静に使用することが大事である。つい熱くなったりして羽目を外すと、魔法が暴走する危険性がある。訓練された人間ならば、そのリスクは少ない。しかし、ナツト達は一学生だ。確かに、魔力操作が優秀で問題のない者もいるが皆が皆そうではない。そういった企画を行うならば、そういう部分の対策というものをしっかりと講じなければならない。


ナツトはとりあえず考えたこの内容を全体に共有しておいた。そこから三十分程意見が飛び交ったが、やはり、実践的な魔法を用いた何かしらの大会がいいのでは、という結論に落ち着いた。


「よし、とりあえず今日はこれで終わりにしましょう。また後日意見を出し合ってこの案を詰めていきましょうか。お疲れ様」


会長のチェルーティアが終了宣言をしたので、今日の会議はここで終了だ。彼女の言う通り、今日話し合った内容は、最終的に全学年の生徒会役員が集う全学年生徒総会にて報告する必要がある。

その名の通り中等部から高等部まですべての生徒会が揃い、教員も出席し、意見や学年の状況など多くのことを話し合う。その中に、学園が行っていないイベントの案を募集するというものがあるわけだ。学園側としても、旧校舎の改築が終わったのもあって、新たにビックイベントを行いたいらしい。


そこで生徒の意見を取り入れるべく、話が生徒会へ降りてきたという訳である。


中々壮大な話であり、実現まで年単位も想定して学園側は考えている。

長い歴史を持つこの学園も少しずつ変わり、新しくなっているのだ。


「……変わる、か」


誰にも聞こえない小さな声でナツトは何かを思い、呟いた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ