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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第6章】初代勇者の学園生活►高等部編◄
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Ep.100 白き竜に勇者は何を見る

先週はなろうのメンテナンスで更新が遅れたようで、ご不便をお掛けしました。

先に動いたのは、白き竜であった。


素早く、鋭く。比較的小さめな前脚に魔力を纏わせ、巨大な爪を作り出す。それに雷属性を付与し、雷爪とした。


ナツトがいた場所に魔力によって作られた電気が迸る。


だが、当然そこにはナツトはおらず、回避していた。すかさず、ナツトが手に持つ剣に火属性纏わせ反撃する。


白き竜はこれに対し、回避は行わず結界で対抗した。両者が激突した。


結果勝ったのは結界であった。シヴの使っていた結界を真似た白き竜の結界は以前のものより強固であり、それはナツトの魔法だけの斬撃を見事防ぎ切ったのだった。


竜の尻尾が動く。

ナツトは回避を行いながら、無詠唱で作り出した炎と水の槍を結界に高速で当てる。しかし、槍は結界に対し何も出来ずに霧散する。そしてその瞬間己の結界を突き破ってくる竜の尻尾。音を置き去りにして迫るそれは、最早槍と言える。


全長と同等の長さの尻尾は、回避直後のナツトに到達し、貫く勢いであった。

そうなればその瞬間勝負が決するので、これを阻止するべくナツトは結界と防御魔法を詰め合わせた剣で尻尾を阻んだ。


だが、驚くべきことに尻尾は結界を紙を破るように貫通した上、剣に施された防御魔法全てを突破し剣を破壊した。幸いにもそれらがナツトを守りダメージは無かったが、まさかこんなに簡単に武器を破壊されるとは思ってもいなかった。

使っていた剣はかなり良いものであった。強靭で、割と無茶な動きにも耐え、更にはよく手に馴染み、切れ味も良かった。

それ故に、残念で悲しい。


だが今は戦闘中。感傷に浸る暇などない。


ナツトは一瞬の間に、なかなか使ってあげられなかった愛剣を使う事に決めた。


「おいで、帝」


まるでナツトの意思に応えるかのように、ナツトの収納魔法から勝手に、ナツトの愛剣「帝」が飛び出して来る。

白き竜は追撃をしようとしていたが、突如として出て来た帝に対し警戒して踏み止まった。


風拓(かざびらき)


ナツトが帝を手にした瞬間、ナツトは既に次の行動を終えていた。

ナツトがよく使う汎用技、風拓。『権能:誘導』を利用した攻防どちらでも使用可能な技である。この技の真髄は引き裂く力を意図的に誘起させることにある。風魔法を使うのは、それが一番やりやすいからだ。先ず魔法にて「全力」で対象に対して切り込みを入れる。この切り込みは分子結合の一つでも良い。何かしら切れたら、そこを起点に対象を引き裂こうとする力を魔力と誘導にて無理矢理最大以上にする。


やっている事を超簡単にイメージするならば包丁を思い浮かべると分かりやすい。切り口を入れて後はスーッと切る。ギコギコはしない。あのイメージだ。


魔法はイメージが大事。それ次第で結果は大きく異なる。


風拓の利点は、対象が魔法でも変わらない。魔素同士の繋がりを断ち、そこから魔法を切り裂く。だから、攻めでは敵及びその防御手段を切る事に。守りでは敵の魔法などを切る事に。

…という風に非常に便利な魔法なのだ。



そんな魔法である「風拓」が白き竜の結界に到達する。そして今度は結界に阻まれる事なく、結界を見事に真っ二つにした。

過去にシヴ達を苦しめた結界をナツトは突破したのだった。


残念ながら竜は結界が敗れた瞬間に身を捩り、風拓を回避したが、様子を見るにかなり驚いているようだった。


対してナツトは確信を得ていた。報告では異様な結界の硬さとあったが、能力を使えばそれに対抗できる事を。逆に言えば、能力がなかったら突破できない事を意味する。現に魔法のみの攻撃は見事に防がれている。

恐ろしい話だ。つまりこのドラゴンは能力がないと戦いにすらならないという事だ。更に付け加えるならば、このドラゴンの持つ能力に対抗できる能力でなければならない。


……能力。能力、か。


そういえば、ティアメシアから特別な鑑定魔法を教えてもらっていたな。


それは、能力の名を知る事ができる鑑定魔法である。

世界では主に出生時などに同時に行われる鑑定魔法だ。その魔法陣の情報はギルドが握っており秘匿されている。この出生時というのもギルド支給の特殊な魔法道具を使っており、どういう魔法が使われているのかわからない仕様となっている。勿論、この道具を解体しても、だ。


この竜との戦闘がどうなるにせよ、何かしらの情報は得たいところだ。


こんな事を考えている今も凄まじい速度での攻防が繰り返されているため、この魔法を構築する優先度と言うのは低いが、試すとしたらまたとない機会であるはずだ。




ナツトは鑑定魔法の準備をしつつ、攻め口を探していた。

小柄な竜故に小回りの効きの良さが半端ではない。地に足を付けていたら、「誘導」を使って足を掬うことが出来るのだが、当然竜は常に飛んでいるのでそれは不可。


向こうの攻撃は今の所問題ない。基本的に近距離ならば魔力を纏わせた爪及び尻尾での攻撃で遠距離だと複数の熱線照射による攻撃である。すべて「誘導」を用いれば対処が可能だ。近距離は逸らし、遠距離も逸らすもしくは叩き斬る。


お互いに被弾しておらず、状況は膠着状態だ。


と、思っていたのが油断であり、「誘導」を用いれば対処可能と考えていたのが慢心であった。


竜が距離を取った。

これ自体にはナツトは「またか」と思っただけであった。これまでも何度か距離を取ったが、いずれも熱線照射を放つためであった。ここまでは色々試している節があるが、意外と単調でまるで決められた動きをしているようだった。


しかし、今度は少し様子が違うようだった。ナツトは少なからず油断はしていたが、その変化には鋭く気が付いた。

竜の口から真紅の炎が溢れる。


ナツトは、誘導を乗せた結界を張る。


竜から放たれたのは「竜息吹(ドラゴンブレス)」である。過去にシヴ達が確認した森の一角を消し飛ばしてみせたソレ。しかし、威力は当然その時より数段上だ。竜は準備完了までの間、別の魔法を使用できるようになっていた。そのため、竜の気分次第では密着状態からのゼロ距離発射もあり得るわけである。


しかし、竜はナツトが確実に魔法を落としてくるので反撃を警戒して距離を取ったのだ。


豪炎の中、ナツトは普通に耐えていた。結界が迫る竜吐息を左右へと流し、内部にいるナツトには一切の被害を与えなかった。かと言って、解除したら死亡確定なので大人しく結界内で魔法を構築していたのだった。


三百六十度すべてが炎だ。あの竜の中に恐ろしいまでの魔力が秘めている事がよくわかる。


ピシリと音がした。周囲は炎による轟音が五月蝿いほど聞こえていたが、その音はハッキリと聞こえた。


音の発生源は結界正面。炎を掻き分け突き立てられた銀の槍が結界を破壊し直進してくる。


槍に見えたそれは、竜の尻尾だ。つまりこの竜は、自身の吐いたブレスよりも速く動き、炎で自身をカモフラージュして突っ込んできたのだ。


正面衝突。


策や小細工は一切ない、単純な攻撃。

ナツトは帝に「誘導」の効果を付与し、尻尾を逸らして反撃の隙を作ろうとした。


……作ろうとしたが、現実はそうはいかなかった。


逸らせない!??


何と竜の尻尾は、「誘導」の影響を多少受けたが、それを気にせずにナツトの心臓目掛けて突き進んできた。


それは自身の能力に絶対的な信頼を寄せていた故の油断。


辛うじて身体強化とその場で構えていた帝によって竜の尻尾を力任せに逸らす事ができたが、ナツトの心臓を抉る代わりに左脇腹を尻尾が貫通した。


直後に全身に響いた、酷く重い痛み。突き刺さった尻尾に生える鱗が返しになっていて更に痛みが増える。


だが、ここで倒れたらそこで終いだ。


ナツトは元々行使していた身体強化に加え、瞬間的に一部の感覚を麻痺させた。


「五属性複合、光よ来たれ」


そのまま放つは、光属性魔法。短いながら久々に詠唱を行った。

光属性を帝に付与し、狙うは腹に突き刺さっている尻尾。「誘導」の効果も乗せれば貫通力に長ける光属性魔法で切断は可能だ。

尻尾を斬れば竜の近接攻撃の手を一つ奪うことが出来る。


…が、流石野生の勘と言うべきか竜は尻尾を大急ぎで引き抜き、距離を取った。


尻尾が引き抜かれた場所から血が溢れる中、気合でナツトは振り下ろす帝を止め、斬撃を放つのをやめた。これにより帝には光属性が付与されたままの状態を維持することに成功した。


竜はこれを脅威と感じているようで、警戒はそのままで様子見をしている。

ナツトはこの間に傷の応急処置を施した。状態は全く良くないが、一先ずはこれでいい。動ければ問題ない。


そして、それと同時に鑑定魔法が完了した。結果が可視化され、それを見たナツトは心の中で軽く笑った。

能力の名前しかわからないが、それでも十分この能力について理解できたからだ。



……身体強化とかそんな生温いものじゃないな、コレ。「誘導」が無かったら本気で無理なレベルで理不尽だ。


内心ナツトはこう感じていた。


そんなナツトが見た白き竜の能力の名は……。




「鑑定結果。権能:補正」



何と100話目という今回。体感的には意外と早かった印象です。


折角記念すべき100話に至ったと言う事で裏話を…。

前にも言った気もしますが、本作品、当初完結まで300話ぐらいかなと想定していたのですが、多分と言うかやっぱり無理ですね。


外伝とか入れたらどうなっちゃうのやら。入れるのはほぼ確定ですが。


と言うか、本当の意味での本編まだ始まってないし。キーキャラの一体がようやく主人公と会っただけだしね。


まあ、それはさておき。これからもいつも通り更新していくので、お時間とご興味があればこれからも読んで頂けると幸いです。毎週更新時間に見てくれている人がいると言うだけでも大きな励みになりますので。


一先ず、ここまで読んで頂きありがとうございます。


では、また次の更新で。

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