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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第6章】初代勇者の学園生活►高等部編◄
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Ep.92 これから行くところ

「婆さんじゃないです!君はいつまでも失礼ね!」


ティアメシアが年齢不相応に叫ぶ。


「いや、婆さんだろ。年齢的に」


細身の男は冷静に返す。確かに年齢的に見れば、ティアメシアに対するその解釈はまったく間違っていない。しかし、人としては間違いしかない台詞である。


「むきー!喧嘩売ってる?売ってるよね!?お客様の前なのに!」


「ん?客?…おぉこの坊主が客か?すまんすまん割り込んじゃったな」


男はここでナットの存在に気付く。男は意外にも丁寧に頭を下げて謝った。


高等部にも入り、背も伸びたが、まだまだ坊主と認識されるようだ。


男はナツトをじっと見て少し何かを考えていた男は今度はナツトに向かって話しかけた。


「…なぁ、坊主。冒険者か?」


「?…はい、そうですが」


「そうか、ランクは?」


ナツトは少し返答を考えたが、特に支障もないし正直に答えた。


「Bです」


それを聞いた男は目を見開いた。


「Bィ!?嘘つけ、絶対Bの強さじゃないだろ?ティア婆、この坊主は実力的にBじゃないよな?」


驚きだ。この一瞬で、この男はナツトのランクに見合わぬその実力に気付いたようだった。鑑定魔法等を使用した素振りは見られていない。つまり、使わずともわかると言うことである。


「………」


ティアメシアは答えない。返答に困っているのだ。ナツトのことをどこまで話せば良いのか、その区切りが定まっていなかったのだ。


「おーい!なんか言えー!」


「冒険者の個人的な事は話せないわ。いくら貴方でもね」


落ち着きを取り戻した彼女は、淡々と男の問いに対する答えを述べた。


「…ちぇっ、そういやそうだったな。まぁいい。俺の勘がこいつはBじゃないと告げているからそういうことだろ」


答えは得られなかったものの、男は自分で導き出したナツトに対する評価を変えない姿勢を見せた。


男は再度ナツトのことをまっすぐ見つめた。ナツトは若干気圧されたが、なんとなく見つめ返した。

男は唐突に質問を始めた。


「坊主、体内を魔力で防げるか?」


「さぁ?」


「結界を常時張れるか?」


「どうでしょうか?」


知りもしない人に対して話すことなど何もない。適当に流したナツトは、先程のティアメシアの"個人的なことは言えない"という言葉に乗っかる気満々であった。


「ぶははッ、いいねぇ!成程…いいだろう!ティア婆、こいつで宜しく頼む!」


「君は一体何言ってるのかな!?ダメに決まってるでしょ?そもそもBランクでしょう!?適正ランクじゃないのよ?」


なんだか、会話から置いていかれている気がするが、適正がBより上みたいな内容から察するに「魔の領域」に関することだろう。見た感じ、この男も冒険者だろう。尤もここにいる人は殆ど冒険者であるはずだから考えるまでもないが。

しかし、この男かなりの実力者である。確実に強い。


「ランクとかは関係ないだろ。ティア婆が推薦状書きゃ解決だ」


「いや、そうだけど。問題だらけだよ」


「ふ〜ん、ま、ティア婆の役目は推薦状だけだ。坊主、一緒に魔の領域に行くぞ。Sランクの俺からの指名依頼だ。いいな?」


行かないか、ではなく行くぞか。横暴だな。

と言うか、Sランクか。そりゃ只者ではないわけだ。


「ちょっと、ちょっと!何、話進めてるの!?」


「ティア婆、あんたとの話は後だ。受けるか否か決めるのはこの坊主だ。さあ、どうする?」


横暴かと思ったが、あくまで最終決定権は委ねてくれるのか。この男に対する少しイメージがよくなった。


さて、行くか行かないかだが…。

元々魔の領域には興味があったし、その行きたさ故にアルティオが来るよりかなり早めにここに来た。

そして、いざここに来てみれば、A以上が前提でしかも三人以上のパーティが確定であると。

半ば諦めていたが、ここに来て行ける可能性が降ってきた。


…となれば、答えは一つだろう。








「よかったの?受けちゃって」


男が部屋から去った後、ティアメシアはナツトに言った。


「いいんです。元々魔の領域に興味があったので。それにあの人、強いでしょ?」


「そうだね、あの子はちょうど今のナツトさんぐらいの年齢に冒険者として本格的に活動を始めたんだ。気が付いたらSランクになっていて、魔の領域のベテラン調査員として頼れるまでになってくれた。生意気だけど、いい子だよ。生意気だけど」


時間が経つのはホント一瞬だ…と小さく言ったのをナツトは聞き逃さなかった。彼女も長い時を生きる者の一人だ。その成長はまるで我が子を見ているようなものだったのかもしれない。


「最近あの子から魔の領域に調査に行きたいけど、いい感じの三人目の仲間がいないか?っていう話が来ていてね。中々見つからなかったんだ。今は殆どの冒険者が魔物が多く発生しているエリアに行っているからね。あそこは死ななければ力量次第で大量に稼げるからね」


成程、確かに実力さえあれば大量に魔物がいる場所はお金の源泉とも言えるだろう。魔の領域の魔物の素材は高品質で利用価値が非常に高いことが広く知られている。ただ、魔物は非常に強力だ。実力不足は確実に死ぬだろう。

だが、ここにはAランクやSランクがうじゃうじゃいる。その辺りは割と心配ないのだろう。


一方で、先程の男は「魔物が減った」エリアの調査を行いたいそうだ。重要だが、お金に繋がる可能性が、「魔物が増えた」エリアに比べるとかなり低くなる。

そのため、それに乗っかる人が少なかったのである。



ティアメシアはそんな話をナツトに話しながら、ナツトが魔の領域に行ける証明書となる推薦状を書き、ナツトに手渡した。そして、彼女は最後にふと思い出したかのようにあった。


「そうだ!ナツトさんには教えておくね。ギルドが一部の信頼できる者にしか教えない、秘匿された特別な鑑定魔法を」





さてさて、なっっっがい前置きは終わりっと。


ようやく6章の山場の一つに来ました。


いや〜長かった。



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