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千年ぶりだね、大英雄  作者: 十五夜
【第6章】初代勇者の学園生活►高等部編◄
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Ep.88 学園祭

学園内は普段とは異なる賑やかさであった。それもそのはず。今日は中高等部同時に行われる学園祭当日であるからだ。


季節的には冬であり、寒いかと思われるが、首都リコアは街全体に張り巡らされた結界魔法のお陰である程度の寒さは防いでくれるのだ。

それでも寒いものは寒いのでちゃんと防寒着は必要である。


セキュリティ云々の問題で学園祭は生徒の家族も来ることはできない。日本の間隔では少し寂しい気もするかもしれないが、この世界では一般的な話である。

ちなみに、もう一つ大きなイベントである体育祭も生徒たちだけが基本だ。


とはいえ、学園祭でナツトがやることはクラブの出し物の紹介等だ。生徒会としての仕事は多少あるが、それは後で出店を回るときにできるぐらいの簡単な仕事である。


今は、任された時間までクラブの仲間たちと質問等の対処を行っている。


ナツトが所属しているクラブは魔道具に魔法陣を上手く組み込んで便利なもの、楽しいものを作ることを目的としたところである。

生徒会がない日は基本的に活動に参加し、モノづくりに励んでいる。


これが結構楽しくて、ハマるのだ。当初は暇つぶしのつもりだったのだが、魔道具の可能性というものは意外と大きいように思える。

知識と魔力さえあれば基本的に何でもできる魔法は確かに便利なのだが、それにプラスアルファで選択肢に幅をもたらすことができるのが、魔道具であるとナツトは考えている。


ナツトは今回の文化祭ではドローン式球体戦闘補助装置なるものを作った。一応形にはなっているが、まだまだ試作品レベルなため名前は決まっていない。…ので適当にそういう呼び方にしている。


見た目は名前の通り、球状の物体だ。大きさは野球ボールぐらいと言えばわかりやすいだろう。内部に飛行魔法を機械にも適応できるようにアレンジしたものを組み込み、魔力を通すことで浮かすことができる。魔法を使う要領で任意に動かすことができ、また同じく内部に仕込んだ魔法陣を備え付けの映写機で投影することが可能である。それなりに描くのが難しい魔法陣も仕込めるので、戦闘時すぐに魔法陣を地面かどこかに移して、それに魔力を流せば余計な手間がかからずに魔法を発動することが可能となる。


将来的には、これをもっと小さくし、更に使える魔法陣の数を増やすことが目的だ。それと、耐久力もだな。


…ま、細かい話はさておき、こういった話をもっとかみ砕いて、やって来た見物人たちに説明しているのだ。

嬉しいことに、意外と見物人が来てくれるのだ。人によって差こそあるが、多くがかなりの興味を持って話を聞いてくれる。彼らのこういった態度は話し手からするととても気持ちがいい。


という感じで小一時間程、彼らに向けたお話で盛り上がったナツトは、ふと時計を見て少し焦る。

生徒会の仕事の集合時間数分前であった。

時間を忘れるなんて随分と久しぶりの経験だ。それだけ楽しかった。


さて、時間的にここから徒歩で急いでも時間までには集合場所には間に合わないだろう。できるならば、歩いていろいろな店を見ながら集合場所へ行きたかったが、そうも言っていられない。魔法を使わせてもらおう。

転移魔法、本当に便利だ。これさえマスターすれば約束に遅れることはまずなくなる。当然だ。約束の一分前まで寝ていたとしても間に合う。移動距離に見合う魔力さえあれば、すべての乗り物を嘲笑うかのように距離の問題を解決してしまうとんでもない代物だ。


最もナツトのように魔力が多い人間は少ないため、長距離移動手段として未だに列車等の乗り物は存在しているわけで…。


なんて、どうでもいいようなことを考えながら、ナツトは転移した。場所は学園の中にある噴水付近の開けた場所。


既にそこには、二人が来ていた。

その二人は、チェルーティアとロックバードである。


「ふん、遅かったな。平民」


「あぁ、ごめんね。人が沢山来るものだから時間かかった」


「…ふん」


「はいはい!全員揃ったので、早速午後の部、最初の巡回に行きましょうか」


周りの目があるため、チェルーティアは王女様モードだ。一方のロックバードも至っていつも通りだ。彼の貴族らしい振る舞いはいつだって変わらない。隙を見せない振舞い方という感じだ。生徒会に入ってきたことでそれなりに話す機会が増えたが、仕事は出来るし、有能である。流石大貴族の子どもだなと感心してはいる。依然、彼は平民階級の生徒たちには強く当たるところがあるし、それなりに苦労する。

まぁ、チェルーティアやイアノンといった他国の相手だが完全に上位に立つ二人を起点に良い感じに揉まれてほしいものだ。今の彼には柔軟さが少し足りていないと言った印象を受けるからね。


しかし、チェルーティアはもちろんのことロックバードもそれなりの存在感がある。気付けば周囲の目線がほぼこの二人に釘付けである。学園祭だから、他学年の生徒もあちこちに歩いている。そんな彼らが足を止めて二人に注目しているのはやはり彼らという存在がすぐ近くにいるということの凄さ故のことだろう。


…などと、ナツトは他人事のように考えているが、ナツト自身もこの二人に並び続ける生徒でかつ灰色の髪なので生徒間でもかなり有名で自身も周囲から結構見られていたりする。


前にも言ったが、各学年に生徒会が存在している。そのため各学年で担当時間というものが割り振られており、その時間になれば各生徒会は巡回を行っている。


ナツト達、高等部一学年生徒会は構成する六人を三、三で分け、それぞれ別の時間帯で巡回に当たることとなっている。


「今年は旧校舎が解放されたこともあって、活気に溢れていいね」


そう、今年から旧校舎が解放されたことにより、生徒たちのやる気というかそう言ったのもが昨年度以上に膨れ上がっている。中等部の生徒は普段高等部の校舎に来ないので、更に楽しいことだろう。


ナツトはその気持ちはよくわかる。

自身の全く知らない場所を自身の脚で見て回る。自分の中の世界が広がっていく感覚。RPGで言うならば、未知の場所のマップがどんどん埋まっていく感覚。ナツトはそれが大好きであった。


次の長期休暇では、色々と出掛けてみようかなと思って見たり。

いや、先にアルティオとの約束があったな。ギルドの本部。すぐ近くに人類が未だその全貌を知らない『魔の領域』が存在する。何かきっかけがあれば行ってみたいが、名前の通りなかなかヤバイ場所だからそれなりの覚悟がいるのだろう。


おっと、余計なことを考えてしまった。


仕事をしないとね。




更新間に合った…。よかった。


戦闘まであと二、三話かな?

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