Ep.0 悩み事
_____これは、大英雄と呼ばれた一人の勇者の物語である。
男は、ふとした事で手に入れた一冊の古い本を読む。
本の題名は古代語で『未来へ』と書いている。
男は博識だったため、それを難なく読む。男は更に読み進める。
男はこれを見つけた時その内容が、この星に伝わる伝承についてのものだということが分かった。それ以来何度も吟味しながら一字一句見逃さないように読んでいた。
伝承とは、太古の時代に突如として現れた暗黒の化身、俗に言う邪神のことを伝えたものだ。その全身は純黒の魔力で包まれていて、体の形を自由に変えたそうだ。その力も出鱈目で幾つもの国が無に帰された、とされている。
だが、伝承の中では勇気ある偉大な人たちが立ち向かい、大きな犠牲を払ったが紙一重で勝利を収めたものであると伝えられている。
…であったはずだ。
しかし、これはどういうことだ?
男は本を始めからざっくりと要点を押さえながら読み返す。
これを読むものが善き者であることを祈る。私はいや私達は突如として、世界を絶望へと導いた邪神と戦った者のうちの一人で、賢者と呼ばれた者だ。
他の者が作った伝承が伝えられているならば、邪神がどういうものか分かってもらえるはずだ。しかし、伝承が伝わっていないかもしれないことを考慮して、伝承と同じ文章を以下に記す。
「ある時、天から命が下りました。
暗黒の生き物を倒しなさい、と。
さもなくば、いずれ世界が滅ぶと。
人々は立ち上がる。
だが、勝てなかった。
暗黒の生き物の強さに人々は絶望し、
そしてこう呼んだ。邪神と。
だが人々の中から勇気を出して力を
合わした者たちがいた。
その中に五人の中心となった者たちが
いた。一人は魔法を極めた者。一人は
武を極めた者。一人は徹底した守護
者。一人は敵の弱点を正確に射抜く弓
使い。そしてもう一人が的確な指示を
出し、常に冷静で恐れることを知らな
い指導者。
彼らは勇敢に立ち向かい、そして誰
もが倒せないと言った邪神を追い詰め
そして見事討ち倒した。
こうして世界は守られたのであっ
た」
以上が伝承なのだが、実はこれは一部嘘を記している。それは、邪神を討伐したという点だ。我々は瀕死まで追い詰めたが その存在を倒す事が出来なかった。我々は邪神を封印した。封印はとても強力であそこまで弱っていれば一度封印すれば自力で目覚めることは出来ないはずだ。だが、悪しきものが封印を解く可能性がある。必ずその時が来る。だから未来で阻止してほしい。再び蘇ったら今度も抑えることができるか分からない。ただ、この書が悪しき者の手に渡る可能性を考慮して、封印地点は記せない。許してくれ。
私達の不始末で未来の者に迷惑をかけることをどうか許してくれ。
この星の未来に幸あらんことを。
「ふーむ…」
男は本を閉じ考える。何度も考えたが、これが事実ならば大変なことだ。だが、直ぐには鵜呑みには出来ない。そもそも、本当のことならこの話に出てくる彼らはとんだ化け物を後世に残したことになる。それも、どこに封印しているかすら不明ときた。
勘弁して欲しいな。
これが男の率直な感想である。
だが、これは事実であると考えておいた方がよいと考えた。どちらにせよ、一人で判断するのは難しい。だが、話すならそれは信頼できるものでなければならない。
実に難しい案件である。
そんな時、部屋の扉がノックされた。
「魔王様、緊急です!」
「…! まさか、例の件か?」
「はい!」
「わかった。すぐに行こう」
「…あの…お、おめでとうございます!」
「ああ、ありがとう。いよいよだ。この時をどれだけ待ちわびたことか…」
今から悩んでも仕方がない。とりあえずは今しかないこの時を過ごすとしよう。いけないな。どうしても顔が笑いそうになる。しっかりせねば。
この数年後、あることをきっかけにして世界は混沌へと導かれていく…。
皆さんドーモ、十五夜です。これからどうか宜しくです。
プロフィール欄にもあるように暇から生まれた本作品。更新等は多分ですが不定期になるかな〜、と。
ま、やるからにはちゃんと完結させるつもりです。(何より、完成させないと私の目的が達成できないのもあるが…。)
それはさておき、なろうのビッグウェーブから遅れるに遅れて、「千年ぶりだね、大英雄」始まり始まり〜♪




