chamomile teaが飲みたくて
どれだけの夜を越えればこの悲しみは拭えるのだろう。
どれだけの季節が過ぎればこの痛みは癒えるのだろう。
どれだけの時間が経てば君の髪を舐められるのだろう。
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「別れよ。私たち。」
目を見開きながら無我夢中でカフェオレを飲んでいた僕は突然の言葉にストローから口を離した。
「…え?なになに?聞き間違い?え?うそ?なに?聞き間違い?僕?僕に言った?え?聞き間違い?」
僕はさらに目を見開きながら言った。
黙って猫 パカ美は頷いた。
「う、嘘やろ?じゃあ僕ん家くる?あれやったら家教えるけど?」
「ごめん…行きたくない…もう別れよ。」
「この前ご飯誘われて僕が好きな店選んでいいって言われたのに何でもいいって言った挙げ句今日は行かんどくかみたいな態度とったのはごめん。
引越し手伝ってくれるって言ってくれた時に何時に行けるわってなってふーんってクソみたいな返事したのもごめん。
なおせるところは全部なおすから。別れないでほしい。」
僕はお洒落なcafeの真ん中で土下座した。
「ほんとになおしてくれるの?」
そう言ったパカ美の下唇のぷるぷる具合にヨダレを垂らしながら僕はすぐに口を開く。
「もちろんさ!なんだってなおすよ!」
「じゃあ…」
パカ美は少し間をあける。
ゴクリ…。
僕は乾いた喉を潤すため溜まりに溜まった生唾を飲み干す。
「顎けずって。」
「そ、それは…」
「顎けずって。」
「でも…顎は流石に…」
「顎けずって。」
「じゃあその前にマン…」
「顎けずって。」
どうやらパカ美は僕の顎が嫌いだったらしい。
長い首も、剥き出しの歯茎も、バキバキの目も、クロスした脚も、僕がプレゼントしたSwitch liteの青も、全部愛してくれてたはずなのに。
顎が嫌いだったなんて。
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気付けば僕は引越したばかりの部屋に帰ってきていた。
彼女の、猫パカ美の死体と一緒に。
「ナーフされろ…」
to be continued...