表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛮族、宇宙を行く!  作者: モコ田モコ助
第一章 成り立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/20

*.エルフの里


 ベンドは、大急ぎで人選に入った。


 こういう時に頼れるのはゴラオン氏族の頭脳にして義弟(べんりな)、フアン。彼は外せない。

 護衛としてヴォッシュもリストに挙げた。本人も行く気真満々だ。


 文化的な一面もという意味で、愛妾のビアンも連れていく。存分に着飾れと厳命しておく。本人とお付きの女官が腕まくりして体を(アツプ)め始めた。……よし!


 政治面を手伝わせている従兄弟を一人。軍事面でたまに相談する叔父貴を一人。


 あと5人だが……


「ベンド陛下、臣従の証に人質を連れて参内致しました」

 薬でぶん殴っておいたゲオル氏族の族長と息子が来訪してきた。そういえば、今日辺り来るって言ってたな。よし、ちょうどよい。お前ら2人とも来い。


「ご注文の絵と銅像を納品にまいりました」

 芸術一族ミルケル氏族のトップ二人か? 

 丁度いい所に来た。


 後一人だ!


「それでは皆様、どうぞこちらでお休みください」

 執事奴隷セバスチャン氏族の執事長、アドルか? お前も良いタイミングできたな。


 よしこれで10人揃った!






 翌日、おめかしして中庭に整列。

 打ち合わせ通りの時間に金の円盤が降りてきた。


「ほほう、これが天上世界への船でございますか」

 円盤を初めて見るゲオル氏族の族長が、暢気なことを言っている。


 案内人は昨日の官僚型美女。リンナメンナは来なかった。それだけで不安を憶えるベンドであった。戦場で不安なんか感じたことないのに。これから行くところは戦場より死地なのか?


 案内されるまま、一様に不安顔を浮かべて乗り込んでいく10人。


 円盤の中に座席が設けられていた。それぞれ腰を下ろして準備完了。円盤機が飛び上がった。

 流れいく景色もだが、まったく揺れが感じられない。最新式の馬車でもこうはいかない。

 まるで窓の外を絵が流れて行くかのよう。

 城が遙か下で小さくなっていく。何故足下の城が見えるか?


 出発の直前で床が透けたのだ。あと横の壁と天井も。前はもちろん、後ろの壁までもが透けてしまった。案内人は”ぜんてんもにたー”だと説明してくれたが全く解らん。解らんものは考えても仕方ない。ここにいる全員が同じ思考法の持ち主だった。慌てたのはほんの一時だけ。あとは落ち着いたものだ。


 やがて大地に霞がかかり、地平線が丸みを帯びて、外が暗くなっていく。


「な、なんだここは!」

 ここで初めて、一同が大いに驚いた。


 朝だったはずなのに、夜になった。

 大変だ! 地面が丸くなった!(勘違い)


 知ってる世界と違う世界をこの目で見てしまった。

 それと体が軽くなった。どうしたことだ!?

 二度目の慌てっぷりだが……


「ま、そんなもんだ」

 みんなすぐに落ち着いた。


 なにせこれから行くところは天界だからね。地上の常識なんか役に立たない。

 そういう事だからそういう事なんだろう。ガイア人は落ち着きを取り戻したのであった。

 むしろ、この旅を楽しく思う様になっていた。


「太陽が天にある。だのに、外は夜だ。不思議だな!」

 相変わらずぶっきらぼうな言い方のヴォッシュだが、目は子どもの様にキラキラしている。


「あれは? あれは月なのか?」

 ゲオル氏族の族長が興奮している。

 案内役の官僚型美女がニコニコ顔で現れた。

「簡単にご説明致しましょう」


 案内役による説明は難しかった。

 どうにか、こうにか、かなり端折って、ベンド達は案内役の意味を理解した。


 ベンド達が平らだと思っていた世界は、実は球体であると。

 下半球から人がこぼれ落ちないのは、そういう世界の理だと納得して貰わなければ、とても難しい説明(ガイア人の苦手事項)が延々と続く事。


 暗い世界は空気のないところ。特殊な服を着ず、この船の外へ出れば窒息して死んでしまう事。

 太陽が影響を及ぼす世界の外に、まだ世界があるという事。

 そんな世界が何万もあって、一つの大きな世界を形作っている事。


 そしてこれから向かう先は、エルフの里と呼ばれる大きな船であること。


「エルフの里はラグランジュ4に存在します」

 なるほど。天界の、らぐらんじぇ町4番地に向かうのだな。


 ――だいたいあってる――

 

 以上、終わり。


「ま、そんなもんだ」

 ガイア人の順応力は驚くべき高水準である。


「間もなく、ミュイ=ファン=ガラン、えー、エルフの里船に到着します。よくご覧ください」

 連絡船の前方。

 暗い夜の中から、それは一瞬で現れた。目を凝らしていたが、今の今までそこには無かった。まるで、そう、暗闇でボールに掛けていた黒い布を一気に取り払った様な……。

「ま、そんなもんだ」


 エルフの里船ミュイ=ファン=ガランは、一言で言えば、衛星規模の球体。

 地球で言うところのサッカーボール。1番有名なデザインの白と黒の五角形が組み合わさったデザイン。

 但し、黒の部分が内部に抜けている。外殻を構成するのは白の五角形部分のみ。


 ベンドは、蹴りボールほどの大きさ。……だと最初は思っていた。


 近づいていくと、だんだん大きくなる。まだ大きくなる。まだ到着しない。まだ大きくなっていく。


 見上げるほど大きくなったエルフの里は、やがて前面の窓いっぱいに広がり、とうとう視界に治めることができなくなった。端っこが見えない。

 連絡船が姿勢を変えると箱船が足下へ移動。こうなるともはやエルフの里は船じゃない。

 大地だ!

 

 大地の一部が四角く、大きく口を開けている。その中へ入っていく。

 ベンド達ガイア人を乗せた連絡船は、エルフの里に”着陸”した。


 中はまるで城。


 入り口が閉じられると四方が壁だけになる。太陽光がないのにずいぶんと明るい。

 振動一つ無く、連絡船の”足”が、床に付く。


「長旅ご苦労様でした。到着です。ご案内に従って順序よく、お降りください」

 全然長旅ではない。

 後で思えば、陸地の端までの距離の何百倍もの距離を移動したはず。馬よりも、ガイア隼よりも速いのだ、この連絡船とやらは何が動かしているのだ?!

 聞いてみた。

「ロ号対消滅ネコ式缶……ですかね?」

 ……そんなもんだ。

 

 歩き出して、ベンド達は大いに戸惑った。

 体が軽い。むしろ、力が増した?

 

「重力が小さい……そうですね。物や体を地に押さえつける力です。落ちる力でもあります。それが、ここでは弱いのです。大人の力のまま、体重が子どもになった。重さが10分の1になった。そのように理解してください」

 注)蛮族に小数点の概念はありません。よって数字は丸め計算です。


 ベンドは重力をなんとなく理解した。


 連絡船を下りると、高官らしきゴテゴテした服を着た美女達と、儀礼兵っぽい美女達がずらっと並んで出迎えてくれていた。


「ようこそ、ベンド様」

「リンアメンナ!」

 リンナメンナも出迎えに来てくれた。


 彼女の顔を見るとホッとするのは何故だろう?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しみに読ませてもらってます。 異文化コンタクトからの~ 展開、気になります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ