表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛮族、宇宙を行く!  作者: モコ田モコ助
第一章 成り立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

*.サイドストーリー はじめてのえんせい 2-2


「ちっ! 仕方ねぇ! 空母突入隊に連絡とれるか!?」

「繋がりましたですよぅ!」


 今回もスキャニキャミーが付いてきて、やこしい操作を一手に仕切ってくれている。

 ……光年単位で離れた本体との結合はどうなっているのだろう?


「どうしました?」

 出てきたのは返り血がべっとり付いた鎧武者。接近戦で右に出る者無しのフランソワー氏族族長である。


「空母が一つ出てきた。ちょっと行ってくる。そこは自分たちで何とかしてくれ」

「承知! みんな持って行ってください」

 血の気の多い蛮族は話が早くて良い。


 護衛用の艦艇すら残さず、残り全数が第二の空母へ艦首を向けた。


「第二空母の捕獲は諦めよう。野郎共! ゲオル氏族お得意の騎馬戦で行く! 全員着席!」

「全艦隊! 着席! ……って? 着席ですかよぅ?」


「バルデロ氏族の盾艦を先頭に三角円(注:三角錐の意味)の陣を組ませろ!」

 そう言い放ったベンドは、対Gシートに腰を下ろした。


 ガイア人達もシートに座り、ベルトで体を固定する。こいつらは理解している。

 意味を理解し切れていないスキャニキャミーに向け、ベンドは命令を追加した。


「最高速度を出すぞ! 潰れたくなければ椅子に座って正面を向け!」


 ドワーフの唯一の武器と言える高速戦闘機は、小型&無人故の急加速、急転回が可能。これまでその優れた機動力を使ってエルフ戦艦を翻弄してきた。


 戦闘機の欠点を上げると、エルフ戦艦に比べ最高速度の最大値が低い事と、航続距離が短い事。

 逆を言えば、エルフ戦艦はドワーフ戦闘機に比べ、最高速度の最大値が高い事と、長い航続距離を持つこと。

 今回、こちらでその長所を選ばせてもらう事にした。


 ドワーフ高速戦闘機群までの距離はまだまだ。この位置から加速を開始した戦艦は、接敵予想空域までにドワーフ戦闘機の速度を超えるだろう。


 ちなみに、空気抵抗の存在しない宇宙空間で、Uターンは難しい。

 最高速度から速度ゼロに落とし、再加速を行わなければ二撃目を放てない

 今回のパターンだと、すれ違ったら最後。ドワーフ戦闘機に二撃めのチャンスは無い。

 いかに両艦隊ナンバーワンの加速度を誇るドワーフ戦闘機といえど、最高速度を出している戦艦に追いつくことはできない。


 さて――、

 亜光速にまで達した(出し過ぎ!)ガイア艦隊は、円錐形の頂点をドワーフ戦闘機群に向け突っ込んでいく。

 火力を前面にのみ集中して使用。ドワーフ戦闘機を一機たりとも近づけさせなかった。


 ここで戦闘機をパス。

 ドワーフ第二空母へ迫るガイア艦隊。


 ここで、ドワーフ第二空母に新しい動きが出た。


「大将! 敵艦首になにやら大きな数字が集まってますぜ!」

「やはりそう来るよな!」


 捕獲した空母を徹底的に分析した。

 結果、これは空母と呼ぶには些か支障がある。戦闘機の運搬船(キヤリアー)と呼ぶのが相応しい。

 (便宜上、これまで通り空母と呼ぶが)


 空母は攻撃力を高速戦闘機に頼っている。空母に高火力砲は存在しない。

 たった一つ、艦首の大型砲を除いて。

 口径100センチメットルのビーム砲。


 絶大な破壊力は、自身をも傷つける代物。

 一発撃てば、砲身を交換しなければならない不完全品。

 だが、密集隊形で迫る相手には有効だ。

 ドワーフはこれに賭けた模様。

 一対のアギトが左右に開き、でかい砲身が迫り出してきた。


「バルデロ氏族の盾艦に連絡!」


「へい! バルデロの族長、ルトスです! 連中、あれ撃ちますかね?」

「撃つ前兆をとらえた」

「ならば、お任せを」



 ドワーフ空母の高出力砲のエネルギーから換算して、盾に使う空間バリアは一回しか持たない。エンジンから汲み出されたエネルギーをすべて盾に回す。力で相殺するエネルギーの盾だ。

 一度大口径ビームを受け止めるだけで、すべてのエネルギーが消費されるだろう。

 再起動に時間がかかる代物だ。

 こちらも不完全な兵器である。試作艦を引っ張ってきたのだから仕方ない。


「一回こっきりだからな! しくじるなよ!」

「誰に物言ってンですか?」

 バルデロ氏族は空間バリアを艦前面に展開する。ガイアの艦隊をカバーする大きな盾である。

 

 ベンドとバルデロ氏族とのやりとりがあった直後。大口径砲が発射された!


 先頭を走るバルデロ氏族の艦に直撃あり――

 ――斜め後方に流された?

 未だバリアは健在。一度しか使えないはずだが?


「こんなものですかね? 正面から捉えて盾を壊されるより、受け流して盾を温存する方がいいでしょ? それに、敵に二撃目は無い」

 バルデロ氏族、当たりの才能持ちだった。

「よし、叩くぞ!」  



 あたふたするドワーフ空母(いまさら戦闘機第二陣を出そうとしても……)を鎧袖一触。

 秒単位で沈黙させた。


 空母に再接近(180度回頭して、エンジン噴かして、相対速度をゼロにしてetc……)してとどめを刺そうと近寄った時だった。


 ドワーフから通信が入ってきた。


「聞きたくない!」

 ベンドは一蹴した。聞けば後悔しそうだ。


「兄上、お待ちください」

 別の艦で指揮を補佐していたフアンから横槍が入ってきた。


「内容が降伏なら受け入れるべきです」

「こいつらが降伏など……。まあ、お前が言うなら。勝負は既についたし」


 ベンドは、嫌な顔をしながらもフアンの提案を受け入れた。

 こいつは優しすぎる。……でも、その優しさに何度救われたことか。

 ちょっとだけ。ちょっとだけ、ベンドの心に暖かいものが通った。


 ドワーフ艦から流れてきた通信内容は――


『悪鬼羅刹の無慈悲なる小エルフに与する者共よ! 小エルフは我等が進化させた人工の生物である!』


 ここまで黙って聞いて、ブリッジに詰める蛮族共の間で殺意が飛び交う。


「聞いててなんだか気持ち悪くなってきたですよぅ!」

「ああああ、またいつもの身勝手な言いぐさが!」

 頭を抱えるベンド。フアンのいう事を聞かなければ良かったと、後悔の念しきり。


『製造者が失敗した製造物に罪を与え「ズドン!」――』

 何らかの衝撃音っぽいのが流れて、通信が切れた。


「なんだ?」

「ドワーフ空母に誰かが攻撃したですよぅ!」


「だれだ、攻撃したバカは!?」

「……フアン殿の戦艦が加速しながら主砲を撃ち込んだのですよぅ!」


 あの冷静で温厚なフアンが、走りながらグーで殴った!


「攻撃命令を待たずに攻撃したですよぅ! 重大な軍規違反ですよぅ!」


 勝手な行動は軍の規律を歪める。ましてや勝手な攻撃は死罪に相当する場合がある。

 この場合、弟のフアンに重罰が科せられるだろう。


「いや。俺はあいつに攻撃命令を出したはずだが?」

「記録に無いですよぅ」


「おい、そこのお前!」

「ヘイなんでしょう?」

 ベンドは、ブリッジ要員の一人に声をかけた。


「俺、フアンに攻撃命令を出したよな?」

「ヘイ、出してますよ。俺たちにも早く撃たせてくださいよ!」


「そういう事だ」

「そう言うことですかよぅ!」






 第一回、外宇宙遠征軍戦果。

 ドワーフ集積基地破壊。

 ドワーフ空母一隻捕獲。

 ドワーフ空母一隻撃沈。

 フェリス族による侵入偵察艦運用は成功。


 被害。

 ガイア軍戦艦5隻、中~大破。

 気分が悪くなったエルフ一人。

 以上。


 この戦いの後、ベンドは意を決し、ドワーフの異常性をエルフの方々に報告した。


 それを重く受け止めたリンナメンナ女王は、エルフ評議会に議会の開催を命じる。

 評議会はいろんなパターンをテーブルに逐一上げ、対処方法や解決方法を一つ一つ検討していった。


 実に長い日時をかけ、じっくり話し合った。


 その結果……


 何を言っても、どんな行動をとったとしても、ドワーフの思考や主張の是正は不可能。

 そのように判断をくだした。


 エルフは、これまでずっと平和主義を貫いてきた。戦いから逃げてきた。それは争いごとを真に嫌悪する種族だったから。


 それをドワーフに対してのみ諦めた。

 もう逃げることを止めた。

 正面から問題に向き合う決意をした!


 この決定を元に、エルフはガイア人の協力を求める。


 これに嫌がる者や反対する者は居なかった。戦いはガイアの蛮族にとって、食欲、性欲、睡眠欲に次ぐ、第4番目の欲求なのだから、むしろウエルカムであるッ!


 蛮族は、エルフの為に戦う騎士になることを誓う。


 

 ベンドは、戦う為の方策を奏上した。

 専守防衛だけではエルフの方々を守りきれない。ガイア人の被害も増えると。


 この件により、ガイア宇宙軍が正式に設立される。

 続いて、これまでの護衛戦艦構想、ならびに第二世代護衛艦開発を廃棄。火力、防御力、機動力、艦種を充実させた新世代攻撃型戦艦の開発・配備に入ることとなった。



 

 第一章 成り立ち 終了

作者病気療養につき、

今回で一旦「完」とさせて頂きます。


再び、皆様と会えることを祈って――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです!ゆっくりお休みになられてください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ