*.エルフの里
実質的な第一章最終話です。
ドワーフ対、ベンド達ガイア蛮族の戦いが終わった。
結果、蛮族の勝利。
エルフの方々は、エルフらしくもなく、口をポカンと開けたという。
虎の子の護衛艦隊は全部沈んだが、ドワーフ共は全滅した。
ガイア人にも戦死者が出た。数は大したことない。いつもの戦の方がずっと多い。
なによりの戦果は、航行可能なドワーフ宇宙空母を手に入れた事。
これで、エルフ探査の為に宇宙へ散らばったドワーフの情報が手に入る。
これが大きい。事前に打てる手が増えた。
キャミーキャミア率いる武器開発庁のエルフ達は、喜び勇んで仕事に取りかかった。
そして謁見の間。
いつもの様に、女王リンナメンナを中心として、両サイドに居並ぶ評議会のメンバー達。
集まったのは評議会の面々だけではない。
各役職持ちのエルフを始め、いろんな伝手を使って謁見の間に詰めかけたエルフ達。
大勢のエルフ達が、ベンドの登場を待っているのだ。
沈着冷静にして物静かなエルフ達が、ざわついていた。
「ベンド陛下、ご入場です」
水を打った様に静まりかえる謁見の間。
リンナメンナは顔を引き締める。
『ドワーフを退けた暁に、褒美は望むまま』
そういう約束をした。
重厚な扉が開き、着飾ったベンドが入室した。後ろに、着飾った部下二人を連れている。
女王たる者、言葉を翻してはならない。一度発した言葉は何が何でも守る。守ってこそ女王の言葉が金言となるのだから。
威風堂々。
ベンドは、マントを靡かせながら優雅に歩いてくる。
初めてエルフの里に招いた頃に比べ、堂に入った態度だ。
問題は、褒美の中身。
ベンドは蛮族。エルフじゃない。
未開の蛮族。無知蒙昧なる蛮族。
荒々しい雄のベンドが何を望むか?
ちなみに、三大本能とは、食欲、性欲、睡眠欲の3つを指す。
ベンドは、所定の位置で立ち止まる。
エルフのマナーに則って、お辞儀。
礼を尽くしてくれる。
まだまだ修正箇所が有るのだが、一生懸命習得しようとしている努力が微笑ましい。
予想は付いている。
リンナメンナに覚悟はできている。
女の我が身一つで良いのなら、なんら問題は無い。
他のエルフの身や、ベンドの手に余る技術を要求されるなら死をもって拒否する!
……ただ、一歩間違えると、エルフと蛮族の地位が逆転する恐れがある。これだけが気がかりだ。
「ベンド陛下。此度の献身により、我等エルフは生を未来に繋げることができました。約束通り、望みの物を取らせましょう。望みをおっしゃいなさい」
さあ、ベンドは――
「ならば、パンケーキを」
「は?」
「望めるのなら、パンケーキを腹一杯ご馳走して頂きたく……だめですか?」
「は?」
女王自らフライパンを振るい、パンケーキを沢山焼きました。
パンケーキは焦げ臭かったり、生焼けだったりのが多かったけど、ベンドは幸せそうな笑顔を浮かべて食べきったとさ。
エルフの新女王は、料理が苦手だった模様です。
ちなみに、近い将来において、ベンドに新たな戦艦が供与されるのだが――
命名”パンケーキⅠ世”
バカだろ、こいつら。
成り立ち編終了




