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蛮族、宇宙を行く!  作者: モコ田モコ助
第一章 成り立ち

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*.ドワーフ艦内


 ずんぐりむっくりの体型。胴体はまるで樽。足が四本に腕も四本。

 そのような生物が、大勢で機器を操作していた。

 この者は戦闘用生体(ドワーフ)


 ここは彼らの大型宇宙空母。1,500メットル級。顎門(あぎと)が張り出した黒いカゲロウ型。

 そのブリッジにて。


 サッカーのコートならすっぽりと入る面積。吹き抜けになった2階構造。

 突きだした2階部分。そのメインオーダールームで、ドワーフ艦の幹部達が、戦闘指揮をとっていた。


 エルフの影を追ってここまで来た。

 早々とエルフの攻撃型艦隊をとらえたのだ。

 今まで逃げる一方だったエルフ共が、初めて反撃に出てきた。


「やはりエルフ賊は戦争を始めたぞ。やはり危険な存在だったのだ。やはり侵略者の本性を現したのだ」

 やはりの三連続。興奮が納まらない模様。


「自分たちの過去の過ちに反省もせず戦争を仕掛けるか、エルフ賊共め! やはり我等の存在に意義があったのだ!」

 やはりが好きなのかドワーフ? 


 彼らはダークエルフに作られし人造生命体。自然発生の種ではない。彼らの生きる意味は、エルフ根絶という唯一の使命。その実行!

 知恵を持つ以上、自分の意思を持たない訳にはいかない。彼らは、いつの頃からか、己の存在意義を渇望するようになっていた。


 エルフとの接触が、ここ数百年成されていない。

 もしや、エルフは絶滅していて、居もしないエルフを求めて彷徨う日々が永遠に続いてくのでは? と思われていた。


 世代を重ねていくごとに、己の存在意義を疑問に思う個体が多く排出され、精神に深刻な影響を及ぼすようになってしまった。


 憎きエルフはどこに居る! 我等はエルフを滅ぼす者なり!

 それがエルフに向けられた負の感情。自然発生種が元となった、生物への憎悪。己を正義と規定せねば、生きていく意義を見いだせなくなった奇種。狂おしいエルフへの憧れ。

 エルフを絶滅させる存在が、エルフの存続を望む。大いなる矛盾。


 ダークエルフがドワーフに押しつけた悲しい遺産である。


「エルフ賊に正義の鉄槌を! 今こそ!」


 彼らが食い入る様に見つめている全天スクリーンの一角。超望遠(スーパーズーム)

 そこに、エルフの護衛艦隊が映し出されていた。


 金に塗装された指揮艦型の大型護衛艦を中心に据え、紡錘型陣形を組んだエルフ護衛艦隊。生意気にも、高速航行で艦載機群に向け、突撃してくる!


「情報発信量が多い金色のが旗艦だろう。どこまでも小賢しい矮小な生き物め!」

「逃げることしかできない腰抜け小エルフ賊のくせに生意気な! 我等の強力戦闘機により、鎧袖一触で蹴散らされよう!」


 ドワーフ空母より240機の戦闘機が発艦した。




 先手はエルフ賊艦隊が取った!


 エルフ賊艦隊は12門の艦首ビームを集中斉射。過去、例を見ない攻撃性。

 ドワーフの戦闘機は急いで散開するも、その多くを撃ち落とすことに成功!

 しかし、戦闘機の数が減った様に見えない。


 両者が高速ですれ違う。


 ドワーフ戦闘機の射程に入る。エルフ賊艦隊に撃沈および、落伍艦多数発生。


 ここで、ガイア艦の地上戦向け改装が役に立った。下部回転砲塔が、横をすり抜けていくドワーフ戦闘機を幾つか捕らえた。


 両者の会敵が終わる。


 敵戦闘機は回頭し、エルフ賊艦隊を追う行動に出るが、空気のない宇宙空間で180度ターンは時間がかかる。如何に加速力に優れた戦闘機であろうとも、速度の乗った大出力艦に追いつけはしない。


 エルフ賊艦隊は多数の犠牲を払う事により、敵戦闘機を振り切った!


「考えたな!」

「卑しいエルフ賊も、何度か叩かれれば対処戦法を編み出すだろうさ」

「やはり武器を作り出すエルフは邪悪なり! エルフ、滅ぼすべき! 我等の存在意義は立証されたぞ!」


 いつもの戦術が通用しなかったのに、むしろ喜んでいるドワーフたち。


「それで勝ったつもりか? 戦闘機隊、第二陣発進せよ!」

「散開してエルフ艦隊へ迫れ!」


 ドワーフ軍戦闘機隊第二波、240機出撃!

 エルフ賊艦隊の速度は最高速へ。

 依然として紡錘型陣形を維持しているも、艦数を大きく減らし、その規模は出撃時より一回り小さい。


 ドワーフ母艦内より、望遠無しでエルフ賊艦隊が見て取れる距離まで迫っていた。


「エルフよ、よく戦った。だが、遅かった」


 エルフ賊艦隊は特攻をかけている。衝突を恐れていない。

 ならば、こちらも衝突を避けない。戦闘機は無人機であるから。


 四方より爆装したまま、ビームを乱射し、エルフ賊艦隊へ突っ込んでいく。

 一隻、二隻と爆沈するエルフ賊艦隊。それでも前進は止まらない。


 金の旗艦が剥き出しになっていく。

 まだ前進は止まらない。最後の一隻になっても!


 ドワーフ艦の正面スクリーンに――小さく映し出される金の艦影、ただ一隻!

 司令部に詰めるドワーフたちの顔に醜い愉悦が溢れた。


「第三波、突撃!」


 新たに60機の戦闘機が襲いかかる。たった一隻の戦艦に。


「死してなお反省すべし、エルフ賊!」

「我等ドワーフの英知により、宇宙の平和に一歩近づいた」


 ドワーフたちの心は安まることを知らない。一つのストレスは解消した。だが、これで恨みを向けるべき相手がいなくなった。

 新しい敵を求め、より一層、加虐性を強めるばかり。


 勝利を確信!

 そんな(とき)――


「直近に時空震! 何者かの超時空間出現(ジヤンプ・サーフェス)反応です!」

「こんな近距離で!?」

「恒星系内だぞ!」


 二つの顎門をもつカゲロウに似た1500メットル級空母。

 その左舷直近に、亜空間より黒い戦艦が出現!

 エルフの200m級指揮艦型戦艦だ!


 恒星系内でのジャンプによる悪影響により、雷光を全身に纏いながら!

 各所から破損の炎を吹き上がらせながら! みるみる大きく―― 


「ぶつかる! 回避だ! 全速回避!」

「間に合いま――」


 慣性緩和システムの限界を超えた衝撃が、ドワーフ空母に走るッ!

 左の脇腹に、黒い戦艦が突き刺さったッ!





「さあ、お遊びはこれまでだ!」


 蛮族は笑う!



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