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蛮族、宇宙を行く!  作者: モコ田モコ助
第一章 成り立ち

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*.宇宙を駆ける蛮族

はい!

久しぶりにSF書いてみました。

スペース・ファンタジーです。




 無限に広がる大宇宙。


 とある銀河(の一部)を実効支配する銀河帝国があった。

 その圧政から脱却し、独立をもくろむ反乱軍があった。

 両者は長きに渡り、一進一退の恒星間戦争を繰り広げていたのである。


 さて――、

 新しく発見されたウトガルド星系(銀河帝国命名)の存在により、銀河の軍事バランスに微妙な影響が現れる。と、両陣営が予想。

 ここ、ウトガルド星域において、銀河帝国宇宙艦隊と反乱軍宇宙艦隊がぶつかろうとしていた。


 帝国皇帝が差し向けた艦隊数、2000隻。

率いるのはアルムハルト大将。

 長身の痩躯。金髪で白い肌。碧の目。薔薇、百合、そんな花が背景に合う純粋培養された貴族の中のお貴族様。

 地球でいうところの、ヨーロッパ内陸部系の黒色軍服が良くお似合いだ。

 

 迎え撃つ反乱軍は倍の4000隻。

 率いるのはエイリー中将。

 これも長身痩躯。黒い髪の毛は細く、女性的。公立大図書館の書司だと言われても違和感は無い。そんな知性派青年。

 こちらはアメリカ系迷彩軍服を着崩している。


 4方向より包囲殲滅を目論んだ反乱軍の戦術を逆手にとり、2個分艦隊を殲滅。これに対し、反乱軍は素早い反応を見せる。残った2個艦隊を急遽集結。帝国軍にあたる事となる。


 帝国軍2000を率いるアルムハルト大将は、敵陣営中央突破作戦を敢行。一方、反乱軍2000を率いるエイリー中将は、さらにそれを逆手に取った包囲殲滅作戦を発動。


 さらにさらに、それを読んでいたアルムハルト大将は、3次元車掛かりの陣で逆襲に出るも、さらにさらにさらに、その作戦を読み切っていたエイリー中将は、計画通り縦深総受けの陣(ちょっと意味不明ですね)で対応。


 砲、一門一門の威力が大きい帝国軍に対し、口径は小さいが砲門数の多さと精密射撃で反撃する反乱軍。

 両者四ツに組んで大相撲。双方決まり手を探す様相を呈してきた。

 膠着したかに見えた陣形に、変化が訪れる。それは両者内部からのものではなく、外部よりの力だった。


 すなわち、第三勢力の出現!


 爆沈していく僚艦!


「何者か!?」

「何が起こった!?」


 アルムハルトとエイリーは、全天スクリーンの天井を見上げた。

 そこには銀色の艦船郡が!




 太いエネルギー弾が、密集して、雨の様に、二つの艦隊分にけ隔て無く降り注いで来る!?

 帝国軍、反乱軍、両艦隊合わせて4千は、分け隔てなく消えていく。



 戦場に介入してきた銀色の艦隊。その数、1万隻。


 それらは銀色をベースに、各々紋章や絵が描かれていた。中には卑猥な絵や、ボールゲームのコートらしきラインが描かれているのもある。

 その艦、比較的大型である帝国軍戦艦より、一回りも二回りも大きい。

 一隻当たりの砲門数は、反乱軍のより多く、一門当たりの破壊力は、帝国軍のそれを凌駕している。

 共通する目立った特徴は、先端部に取り付けられたナイフの切っ先に似た突起だろうか?


 銀の艦隊中央には一層目立つ黄金色の大戦艦が鎮座していた。

 前甲板に火の鳥を意匠した紋章が描かれている。


 そのブリッジで、剥き身の大剣を金属の床に突き立て、大男が仁王立ちしていた。


 彼の名はヴェンツ。


 20歳前後の若い男だ。鎧の上からでも分かる。その体は、縦も横も前後もでかい。身長190センチ。体重は108㎏(1G下)。

 傷だらけの金属鎧。胸には火の鳥の紋章。鹿皮の陣羽織を羽織る。

 紅のマントを片手で払い、先週うっかり踏み抜いてしまって板金補修した床を踏みしめた。


 この大男が謎艦隊の指揮官のようだ。


「人ンちの庭で、勝手にドンパチやってる理由は聞かん。ただし――」

 好戦的な笑みにより、凶悪な顔がより歪んだ。


「生かして帰さん!」

 床に突き刺した剣を引き抜いた。


「勇猛なる騎士諸君(ヤロウども)!」

 ブリッジを見渡す大男。

 おう! と答えた男共は、すべて金属鎧を身に纏うむさ苦しい男ばかり。宇宙服なんて着ていない。


 エンジン出力を調整している髭面のおっさんなど、手羽先を骨ごと食っていた。

 軽くきこしめている鎧男も数名。鼻を赤くし、ご機嫌で機器を操作している。


「ちょっとまて! 貴様、それはエルフ火酒ではないか! 不問にする代わり、後で一口よこせ!」

「えー! ヴェンツ様、一口じゃ済まないでしょう?」


 こいつらはガイアの蛮族。

 火気厳禁のブリッジで火に炙った肉や酒を普通に飲み食いするような奴らばっかり。

 

「こほん! さて諸君! お客様方に、本物の敵中突破戦を指導してあげようではないか?」

「「「おおーっ!」」」


「全艦全速! 突っ込めーッ!」


 鈍く光る銀の色が、帝国・反乱両軍艦を上回る加速度で突っ込んでいく。

 艦前部の上下左右に集中配備された大口径砲が、至近距離で吠えまくる。


 同士討ち? 何それ?


 戦場を駆け抜けた跡に、反撃可能な戦闘艦は如何ほど残っていただろうか?

 敵艦郡をケチョンケチョンに蹴散らし、反対側でゆっくり陣を整える。


 奇襲、大軍、速度、火力、戦闘経験。全てが敵を上回っていた。勝てて当たり前。これは蹂躙戦である。


「他愛ない」

 エルフ火酒をグビグビと喉へ流し込むヴェンツ。


「一口って言ったのに……」

 ヴェンツに殺意を込めた熱い視線を送るブリッジ要員であった。



「鬨の声を上げよー! オオォオー!」

「「「オオォオー!」」」


 勝利の凱歌が各艦であがる。



「ゲルトを呼び出せ!」

 スキャニキャミー型アシストロボットが複雑な通信機器を操作。目的の男がパネルに顔をだした。

 この男も鎧を纏っている。ヘルメットから覗く顔は髭だらけ。あと、長い間風呂に入ってなさそう。


「何か用ですか、ヴェンツ皇太子」


 指揮官ヴェンツは皇太子だった模様。

 惑星ガイアを統べるゴラオン帝国皇太子、次期国王ヴェンツ・ゴラオン。それが彼の本名だ。


「おまえ、俺に博打の借金あったよな? アレ返す代わりに、稼働可能な船を一隻ずつ引っ張って帰れ」

「へぇ、まあ、それくらいなら借金のカタ代わりに……ってか、あれイカサマだったでしょ?」


「それとッ! 乗組員は殺すなよ。尋問用の捕虜を必要とする」

「えー! めんどくせぇ! みんなぶち殺して船だけ引っ張って来ちゃ駄目ですかい?」


「駄目だ」

 皇太子ヴェンツが首を振る。そして指で上を指す。


「お方からのご依頼だ。首尾良く仕事をすればお褒めの言葉があるやもしれぬ」

「そっ、それは! 任せてくだされ!」


 ブツンと音を立て、通話が切られた。


「よし! 皆の者、凱旋だ!」


 銀色艦隊一万隻は、もう一度戦場を突っきり、母星へと帰って行った。     



 

 正式名称アテン恒星星系、第三惑星ガイア。それが彼らの母星。

 たった一つの大陸ガイアと、諸島からなるスモールワールド。

 ガイアには大きく明るい月が一つ。小さく暗い月が一つ。それぞれ惑星ガイアを周回している。

 大きい月は、一部だけが青色になった不思議な衛星だ。


 惑星ガイアの大きさは地球の1.5倍。重力も1.5倍。体重65㎏だと90㎏になるヘビーな世界。

 重力を克服して進化した人類は強靱だ。骨が太い。頸骨は牛並み。筋密度は地球人の比じゃない。


 宙港とは名ばかりの草原と荒れ地が混じった平らな土地である。そこかしこに、銀も眩しい量産型戦艦が駐留している。

 ばかでかい荷車を引いて、象と馬を足してカバで割った巨大生物が、各艦の間を走り抜けていく。


 ここに、船艦の下部出っ張りはどうしてるのという疑問が発生する。対処法として、地面を人力で掘る、といった手段を用いている。残土は、埋め立てや建築などに再利用されているのでエコだ。


 さて、金色の戦艦はガイア地表の宇宙軍港に着陸していた。


 お付きの小者と共に降りてきたヴェンツを四頭立ての馬車が待っている。

 正真正銘の馬車である。馬車を引く四頭の馬が一斉にボトボトと糞を垂れているのが生きている証。

 この馬はガイアでは普通の馬だが、体がでかい。面構えも凶悪だ。


 馬車のドアを開けたのは、奴隷の執事。

 老人だが筋肉質。昔、ヴェンツの一族・ゴラオン家との戦争で負けたセバス・チャン氏族の子孫だ。


 ヴェンツが乗り込もうと執事の横を抜けたときであった。


「ヴェンツ様、館で貴きお方がお待ちです」

 ヴェンツの耳元でそっと囁いた。


 動きを止め、目を見開くヴェンツ。


「貴きエルフのお方か?」


 首肯する老執事。


「やべぇ、俺、風呂に三日入ってねえし」




そして、時はゴラオン家中興の祖の時代まで遡る。

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