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いつもお読みいただきありがとうございます!

フライア様はうちに転がり込んできてから、新たな婚約者探しのために文通したり、私の見廻りについてきたり、ナディア様を迎える準備を手伝ったりと忙しく、ほとんどじっとしていなかった。

数回、元婚約者のイライジャ・ストーンからの手紙がウェセクス侯爵家から転送されてきたが、笑顔で破って燃やしていた。


そんなこんなしている内にナディア様がうちにやってきた。馬車が何台も連なる花嫁行列かと思いきや、ほとんどのものはあちらの国で揃っているらしく仰々しい馬車行列はなかった。


久しぶりに見るナディア様は美しさに磨きがかかっていた。纏う空気もなんだか神々しい。


「婚約解消について聞いたわよ。フライア。やったわね!」


「まずは一歩よね。婚約者探しはこれからが勝負なんだけどねー」


久しぶりの再会をきゃあきゃあ喜びながらハイタッチをする。その後は庭に準備されているテーブルセットへ移動する。


「見てよ、これ。まだ元婚約者から手紙が来るのよ。早く次の婚約者を見つけないと」


「あらまぁ。ちょっと気持ち悪いわよね。我が家にも殿下から手紙が来たけど、抗議文送ったらすぐに来なくなったわ。エリーのところはどう?」


「うちは何も……あ、でも父が手を回してるかも」


まぁこのお2人のところには復縁してくれという手紙は来るだろうけど、うちには来ないだろう。なんたって彼は私のことが好きでも何でもないのだから。


「暴力振るうことはウワサで広めておいたし、いくら侯爵家でもあんなのと婚約したい令嬢はいるのかしら?」


フライア様がニヤリと笑う。私が叩かれたことを知り、フライア様は烈火のごとく怒っていた。仕返しに行くと息巻いていたからクロエ様が頑張って止めてくれたのは鮮明に覚えている。


「そうそう。エリーの元婚約者は子爵令嬢と婚約するはずだったんだけど、その子爵令嬢に駆け落ち同然のことをされちゃって今面白いことになってるわよ」


「え、それ初耳なんだけど!」


ナディア様のもたらした元婚約者情報にフライア様が食いつく。私も元婚約者の情報には頓着していなかったので初耳だ。


「婚約の書類を双方で取り交わす前に子爵令嬢が好きな人と入籍しちゃってね。キャンベル侯爵家は怒って慰謝料請求しようとしてるみたいだけど、フライアが広めたウワサのおかげなのか世間は子爵令嬢に同情的よ。婚約という契約前なのに慰謝料なんか請求しちゃったら社交界でさらに肩身が狭くなりそう」


「あら、じゃあ私は子爵家を救ったのかしらね」


フライア様がおおげさにおどける。


「フライアの元婚約者はもっと大変じゃない。嫡男じゃないから家を継げないし、婚約解消されて泣き縋るしかないわよ」


「それは仕方がないわ。アレがあの女といちゃついてるときに散々苦言を呈したのに聞かないのが悪いのよ。愛想も尽きるわ。アレだって困ったら王宮に就職するか、嫡男の補佐くらいするでしょ」


「あの成績じゃあ王宮に就職は相当頑張らないと無理でしょ……ストーン侯爵家の力を使って縁故採用でねじ込めても後々使い物にならないと困るわ」


ナディア様が持ってきた王都の最新のウワサや話できゃあきゃあとひとしきり盛り上がる。

そこへメリーがなぜか大股で近づいてきた。


「お嬢様、失礼します。追い払っていいですよね?」


「え? 何? 追い払う? 野犬でも出たの?」


「野犬の方がマシですね」


「え? 熊とか?」


「えー、あれではなく……キャンベル侯爵家の方が来ていらっしゃいます。なんだかザカリー・キャンベルと名乗っておられます。追い返していいですよね?」


「えぇ?」


「あらウワサをすれば何とやらね」


「面白いじゃない。せっかくだしここに呼んだら? 追い払ってもまた来そうだし」



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