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母のいる領地で経営を学んだらどうかと提案したのは父だった。意外な提案だった。

すぐに違う政略結婚相手を探されると思っていたから。でも父は本来学園を卒業する時まで猶予をくれた。

ここで領地経営ができることを示したら兄の補佐で家に残しておいていいと思われているのかもしれないし、他に政略結婚相手を探すための花嫁修業かもしれない。


母との対面はぎこちなかった。

若い頃の肖像画の中と兄や父からの話でしか知らない母と実際に会ってみて、とても不思議な気分だった。

嫌でも血のつながりを感じるプラチナブロンドと女性にしては高い身長。

意識したことはなかったが、対面してみると母譲りの容姿はたくさんある。でも母は剛毛ではなかった。母は雨の日に自然とうねる髪だ。私の剛毛は一体どこからきたのやら……。


子育てに関わらず領地に引っ込んでいたことを責めるほど私は子供ではなかったが、すぐにお母様と呼んで屈託なく話すほど大人でもなかった。

学園の入学式のような緊張感と、血のつながりを感じる親近感。

そんな面倒な感情を抱えながらも、母が領民に好かれているとわかるのはすぐのことだった。


「実際に目で見ないと分からないこともあるのよ。書類の上だけじゃなくてね」


母は領地を自分の目でよく見回った。私もそれは見習っているところだ。

そんなわけで馬の出産に立ち会うことになったり、野菜の収穫に参加したり、生まれたばかりの赤ん坊を無理矢理腕に抱かされたりすることになる。


母も最初は私に対してとてもぎこちなかった。表面上は穏やかな微笑みを浮かべていても、私の持っていた書類を受け取る時に遠慮がちに伸ばされる手や、私に呼びかけようと名前を口にする前に必ず置く一呼吸でそれは分かる。

まるでカタツムリの歩みの様に、私と母は領地経営を通して時間を埋めている最中だ。


「お嬢様、お手紙が届いていますよ」


まだまだ家族団らんというにはぎこちない夕食を終えた後、メリーが2通の手紙を持ってきてくれる。領地にはメリーが志願してついてきてくれた。彼女の婚期を私はとても心配したが、領地の料理人と仲良くなっているようなので安堵している。


1通はアシェル殿下からだ。

忘れた頃にポツリと届く手紙には、とっくにカエルになったショコラの様子が今回も延々書き連ねてある。最近はミミズを食べてくれないと書いてくるので、女性にあてて書く手紙としては本当にどうかと思う。彼も卒業してから公務で忙しくしているようだ。


そしてもう1通はフライア様からだった。


いつもありがとうございます。

年内完結を目指しています。

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