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お読みいただきありがとうございます!

ブックマークが9000件超えていてびっくり!

拙い文章ですがどうぞよろしくお願いいたします。

女子会は区切り辛いですね。

世界が眩しい。

徹夜明けでも、ずっと暗がりにいたわけでもない。

好奇の視線やヒソヒソ噂話をされながらなんとか学園生活最初の週を終え、休日になったと思ったら朝早くからメリーにたたき起こされ、髪をいじられ肌に塗りたくられ……

そして今、場違いな場所に私は到着した。


侍女に先導されて庭を歩く。以前、仮面舞踏会の時にも歩いた庭を。

光が降りそそぐ庭は夜の庭とは表情を変えていた。


「まぁ、あの方もお招きなさったの!」


天気の良い庭に用意されたテーブルに座る3人の令嬢方が見えた時、こちらに背を向けた令嬢が甲高く叫んだ。

大きな声に思わず足を止めた私にナディア様は視線を合わせて綺麗な笑みを作る。


「まぁ、フライア様。私のお客様の前でそんなに叫ばなくても」


「あの方」とは恐らく私のことだろう。先ほどの叫びには非難の色はほとんど含まれていなかったが……歓迎されているとは言い難い。


「エリーゼ様、どうぞおかけになって」


3人から綺麗な微笑みが向けられる。各々違った美しさを持つ彼女たちを見ていると、まるで異なる種類の薔薇が3輪咲いているようだ。

私だってこんな少人数の、しかも自分より家格の高いご令嬢達ばかりの茶会に嬉しくて来たわけではない。

ナディア・バイロン公爵令嬢、クロエ・サマセット侯爵令嬢、フライア・ウェセクス侯爵令嬢。頭の中で彼女たちの家名を思い浮かべ、現実にため息がでそうになる。


「気にしないで。フライア様は悪い意味で口にしたわけじゃないのよ」


俯き気味に視線を下げている私にナディア様は優しく声をかけてくれる。


「だってブルックリンが来ないのに……」


「フライア様は伯爵家のブルックリン様がいないから、爵位の高い者達に囲まれてあなたが緊張してしまうじゃないか、気遣いが足らない、と私に言いたいのよ」


何回翻訳機にかけるとそんな訳になるのか知りたいが、フライア様を見るとやや赤い顔を背けられた。


「あの……お気遣いいただきありがとうございます」


礼を述べると、さらにツンとされてしまった。


婚約者と結婚を間近に控えたブルックリン様の家、レヴァンス伯爵家はうちと同じ伯爵家ではあるが、あちらは建国当初から在る超名門伯爵家だ。たとえブルックリン様がこの茶会に参加されたとしても、残念ながら私の肩身の狭さは今と変わらない。

そんな私たちを気にせず、クロエ様は幸せそうにお菓子を摘まんでいる。


「さて、じゃあルルに振り回された被害者が揃ったことだし、楽しくお話しましょ。あんな事があって色んな方々から様々なことを言われて。手のひら返しも沢山されて。信用できる方は家族以外いなくなってしまったわ。でもね、同じ裏切りを経験した者同士、これを機に仲良くできるのではないかと思ったの」


ナディア様の瞳に何ともいえない悲し気な色がさす。

王子の婚約者として沢山のことを求められ、行動や交友関係を制限され、多くの貴族たちが隙あらば媚を売り、少しのミスで大袈裟に詰られる。

そんな現場を何度か目にしていたにも関わらず、私は彼女の胸の内を今日まで推し量ることはなかった。

ナディア様が胸の内を見せなかったからかもしれないが、どこか特別な人間として彼女を扱っていた私がいた。


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