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屋台転生 〜その料理人最強につき〜  作者: 楽
第一章 穀倉都市 ケルノン
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第7話 夢への一歩

毎度ブクマ・評価を頂き有難う御座いますっ…!

今回は内政パート的な感じです。

「ねぇシーラ、商人がそれ言っちゃお終いじゃないかい?」



 儲け話を教えろ、というシーラの超絶ストレートな相談に思わずタジタジになる。


「そりゃアタシも商人としちゃ随分と終わった事を言っている自覚はあるさ。」


 やれやれ、というようなジェスチャーをしつつあけすけに語る。


「・・・けどね、旦那の頭にゃアタシが何年かかっても出てこないような儲け話が詰まってる、そんな気がするんだ。」


 そう言い切ると真っ直ぐな目でオレを射抜くように見つめてくる。


 考えてもみれば5歳児の話を素直に聞いて実行に移すなんて普通は有り得ない。子供の語る夢物語だと一蹴し取り合うこともないだろう。

 だが彼女は俺のいう事を信じ、実行に移し実際に利益を上げた。その行動力と決断力は称賛に値するし、今の俺にとって俺の話を聞いてくれる大人の存在はとても貴重だ。


 さらに加えて言えば今後料理人を目指す上で良い食材の仕入れ先は抑えておきたい。


 そうなると自ずと俺はシーラの店を繁盛させなくてはならなくない…か。


「一応聞くけど…無料でとは言わないよね?」

「もちろんさ!」


 彼女が提案してきた俺の取り分は月毎に利益の10%の支払い及びリズベルグ家へ特価で青果を卸すというものだ。俺の取り分から天引きする形にはなるが、発注すれば欲しい物をすぐ届けてもらえるというのだから俺にとって悪くない話だ。


「ちょ、ちょっとレオンちゃん…?」


 とんとん拍子で進む話に母さんは理解が追い付かないようだ。考えてもみれば5歳の息子に大人が頭を下げて教えを請い、金を払うというのだ。


 普通じゃないことをしている自覚はある、だがこういうチャンスは見逃すと二度と来ない。

「親が心配する」とか「人に何を言われるか解らない」そういった理由で挑戦することを尻込みする客を前世で何人も見たが、大体その後客たちは「あの時やっておけば」と零していた。

 実際に俺も親に向かって「屋台を引く」と言い出した時反対されたが、反対を押し切って始めた屋台は俺の生きがいとなり、最後は親も結局応援してくれた。

 だから俺は前世での後悔は夢半ばで死んでしまったことしかない。


 俺はこの世界でもチャンスを無駄にしたくない、だから―――


「母上、驚かせてごめんなさい。でもこれは俺の夢を叶える為に大事なことなんだ。」

「ゆ、夢…?」

「うん、いつかちゃんと話すよ。だから今回は俺の思うようにやらせて欲しいんだ、お願いします。」


 しっかりと母さんに向き合い深く頭を下げる。


「そうは言っても…,」


 説明も足らず急なお願いだ、そう簡単にのんでくれるとは思っていないが・・・これは厳しいか?



「奥様、アタシからもお願いします。」



 突如として上がった声に驚き顔を上げるとシーラが俺と同じように頭を下げていた。


「シーラさん?」

「アタシは儲けることばかり考えている人間なんで信用に値しないかもしれやしませんが、レオンの旦那が考えたことでアタシだけじゃなく多くの人間が助かってるんですわ。」

「・・・どうゆうことかしら?」


 シーラが語るに俺の考案した輸送方法を導入してから色々なところに変化が生まれ始めているらしい。

 今まで痛んで売り物にならない商品は廃棄され、少し痛んでいる程度の物は安く買いたたかれていたのだが、例の輸送技術の導入でそういった傷物が出来る確率が大幅に減り、生産者である農民に支払われる金額が増えたというのだ。

 他にも貴族の家から買い付けにくる召使もシーラの店で買えば痛んだ商品を掴まされることがないので雇用主に怒られないばかりか、良い目利きだと褒められる事すらあるらしい。


 他にも幾つか語られたが、細々としたものとは言え俺のアイディアは多くの人に影響を与えたようだ、動機は完全に自分のためなんだけど良いことやるじゃん俺。


「―――とまぁ貴族様やお偉い方々からしたら些細なこと、でもアタシら身分が低いモンからしたら大事なこと。それを皆に齎してくれたのはレオンの旦那なんですわ。」


 シーラの言葉に何か思い至るところがあったのか母さんはハッとした表情を見せる。


 そして暫く額に手を当て押し黙っていたが



 静かに口を開いた。



「解ったわ、お父様には私が責任をもってお話します。」



 そう語る母さんの顔はいつもの柔和な表情だ、それでいて瞳に迷いはない。


「それじゃ母上…!」

「ただし!今回は危ないこと…しないのですよ?」

「…はい!」

「ということでシーラさん、レオンのことよろしくお願いしますね。」

「奥様!めっそうもない!むしろお世話になるのはアタシのほうでさあ!」


 よし…!これは大きな一歩だ!


 シーラとのつながりを通じてこの年齢から食文化改革に乗り出せるぞ!

 そして優れた技術や概念は人が媒介してどんどんと伝播していくから、俺が将来旅に出る時には良質な食材が市場に出回っている状態を創り出すんだ。

 そうすれば色々な食材と出会えるチャンスが増えて、俺の夢もどんどん近づいてくる!


 サラリーマンのようにお辞儀の応酬を繰り広げる二人を他所に俺は第一歩を踏み出した喜びを噛み締めた。



 ―――その後母さんはシーラと仕入れについて話し合ってから席を外してくれた。

 自分が居ると変に気を使うと思ってだろうか、わざわざ気を使ってくれるなんてできた母親すぎる。


「しかしシーラ、さっきは有難う。」

「いいってことよ、さっき話した事は全部本当だ。旦那がいなけりゃアタシは冴えない青果店の店主のままさ。」

「そういやシーラって一人で店切り盛りしてるんだっけ?」

「あぁ、両親はとっくに逝っちまったからな。アタシ一人でやってんだ。」

「店を一人でかぁ逞しいなぁ。」


 それを聞くと前世の俺と境遇が似てるような気がするな、尚更力になりたくなってきた。


「よし。それじゃ、さっそく始めようか。」

「おう、旦那!たんまり儲けさせてくれよ。」

「本当商人としてどうかと思うよその姿勢。」


 それから俺はシーラに相場や流通品、町の名産品や困りごとなんかを洗いざらい聞き出した。

 本当はフィールドワークに出たいところだが俺は前科があるので父さんの了承が得られるまでは下手に動けない。そうやって聞き出した情報はおおかた予備知識で得ていた情報と齟齬はなかったが、予備知識にはなかった細々とした生きた情報が手に入った。


「―――これでアタシが話せることは全部かね。」

「ありがとう、これで次の方針が見えてきた。」

「お、本当かい!?それじゃ次は何をするんだい?」


 この前市場を見て回っただけでは気付かなかったが、シーラが教えてくれた情報が本当ならば次の一手でシーラの店の評価をまた押し上げることが出来る。




 その一手は




「ずばり、看板商品作りだ」





お読み頂き有難う御座います。

料理がはーじまーるぞー!やったー!


だが屋台はまだない、本当すいません。

タイトル詐欺すぎて申し訳なくなってきました。


一応10話までには屋台を出したいと思ってます。(10話までかかるのかよ!)

物語の構成ガバガバで申し訳ありません。


もうちょっとだけ、お付き合いください!

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