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屋台転生 〜その料理人最強につき〜  作者: 楽
プロローグ
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プロローグ2 1名様異世界ご案内

「異世界転生?」


 聞いたことがないわけではない。

 色々な場所で店を開く仕事柄そういうモノが題材になったフィクション作品があるのは知っていた。

 だが、こんな形で俺の身に降りかかるとは思わなんだ。


「そうじゃ、今までの記憶・経験を残したまま新たな生命として転生するのじゃ。」

「ふーん?ずいぶんと便利なことが出来るんだな。」

「左様、なんせワシら神じゃからな。」


 後ろで相変わらず降り注ぐ雷を見れば嫌でも神だということは解る。

 しかしまだやってるのかあの3人は。


「それにのう、お主にとって悪い話でもないと思うのじゃ。」

「というと?」

「ワシらの世界はお主が住んでいた世界とはまた違う生態系を構築しておっての、お主が知らない食材が多く眠っている新天地なのじゃ。」

「おぉ!!マジか爺さん!?」

「うむ、さらに今回はワシらの加護もお主に授けた上での転生じゃ。これは普通ではあり得ぬサービスじゃ。」

「加護?あれか、加護をくれた神様の力を分けてもらえるとかそういったもんか?」

「左様、滅多に加護を人間に授けることはないんじゃが、今回はワシらの落ち度ゆえお主に授けたいと思うのじゃ。」


 神様太っ腹だな、と思ったがこっちはこの人たちのうっかりで死んでるんだから釣り合ってるのか?まぁいい、このままリセットされるよりかはマシだ。だが俺も一つ条件を提示しよう。


「解った、それじゃ爺さんたちの世界に転生させてもらうわ。」

「おぉ!そうか!そう言ってくれるとありがたいのう!」

「ただ条件がある。」

「…なんじゃ?」


「俺の屋台も一緒に転生させてくれ、これができなきゃダメだ。」


 今の俺が唯一持っているもの、それが屋台だ。

 親父とおふくろは早くして逝ってしまったし、兄弟もいない。

 人生の半分以上の時間苦楽を共にしてきたし、共に世界を渡り歩いた相棒だ。

 寄る辺もない異世界に飛び込むのであればアレがなければ始まらない。


「それは無論大丈夫じゃ、最適な形で送り届けるわい。」

「そうか、それならオッケーだ。」

「他にはなんぞ要求はあるかの?」


 そうだな…。今なら何を言っても手に入りそうな気がするが余り頼りすぎてしまうのも良くない。

 最初から答えを提示されてしまっていると、それだけが正しいと思い込んでしまい試行錯誤が出来なくなり、応用がきかなくなったり咄嗟の時に判断が出来なくなる。


 とはいえ一応基礎的な知識、言語理解については一通り出来るようにしてもらうことにした、コミュニケーションは円滑であるに越したことはない。


 そして生まれ落ちる先もある程度決められるとのことで中級階級の家庭の四男坊に生れ落ちることにしてもらった。何故かというと四男坊なら後腐れなく家を出れると踏んだからだ。


「――あと他に気になるのは身体だな、全体的に伸びしろが有るようにしてくれるとありがたい。」

「ほぅ、そんなもんで良いのかの?手っ取り早く生まれた瞬間から神級魔法が使えるようにも出来んじゃが。」

「爺さん俺は料理がしたいだけなんだぜ?神級魔法が何かは分らんが使えただけで大問題になりそうじゃないか。それに最初から強い力を持つと思考停止しそうだしな、俺が欲しいのは成長の可能性なんだ。」

「なるほど一理あるのぅ」

「創意工夫で料理は生み出され、磨かれていくからな。そうして作られた料理を爺さんたちも気に入ってくれたんだし、次の世界でもそうしたい。」


 俺がそういうと爺さんは膝をパンと叩いて破顔した。


「相分かった!こりゃ期待できそうじゃの。おーいお主ら!人の子が話を飲んでくれたぞい。」


 爺さんが叫ぶと3人が歓喜の声を上げる。さっきまで爺さんを無能呼ばわりしていたメリュスも「さすがアナタ。」なんて言っている。黒焦げたままの後ろの二人も手を取り合って跳ねているが神様たち喜びすぎじゃない?


「ささ、早速加護を授けてやらねばな。」

「えぇ、そなたが来てくれるのであれば我らが世界にも新しい風が吹くでしょう。」

「これで我らの世界でもあの飯が食えるようになるのですな母上!」

「テンション上がるわぁ、頑張るのよ人の子。」


 テンションアゲアゲの神たちから加護を授かる。

 神たちから光の帯が俺に流れ込み、胸の奥に沁み込んでいくのがわかる。

 何か特別力が湧いてきたりはしないが、そのあたりは転生したらわかるのかな。


「今は我らを含めた4柱だけじゃがの、他にもお主の店に世話になっていた神々がおるでな、後々加護を授けにフラっと現れるじゃろう。」

「どんだけ神様達俺の店来てたんですか。」


 粗相をしてないか不安になる、俺は結構好き勝手に客と接してたから時々ウマが合わない客が来ると塩を撒くこともあったしなぁ…。


「さて、善は急げじゃ。早速だが転生に移るぞい。」


 爺さんが何やら呪文のようなものを唱えると俺の足が足先からどんどんと光の粒子になって消え始めた。

 不思議と恐怖はなく新たな生命へと生まれ変わっていくのが感覚的にわかる。


「早くこっちでも屋台を開くのよ!」

「あぁ待ち遠しい…。」

「人の子よ、頼むぞ!」


 思い思いの言葉を投げかけてくる神々に苦笑いしつつ転生後のことについて考えていた時にふと聞き忘れていたことを思い出した。


「そういや爺さん、一つ聞き忘れてたわ。」

「なんじゃ?」

「名前、爺さんの名前聞いてなかった。」

「そうじゃったかの、まぁよい。」


 爺さんがそう言って腕を組みなおすと乱れていた髪や服装が整い、爺さんの後ろに後光が差し始めた。

 あれ、何だかこの爺さん実は凄い神なんじゃ?



「ワシの名はオルスじゃ、また会おうぞ人の子よ。」



 その言葉を最後に俺の全身は光の粒子になって消え去った。、

 こうして俺の第二の人生が幕を開けた。



ということで始まりました。

序盤はゆっくりと進みますが色んなご飯が作れたらいいなぁ…。


書き溜めはないので更新速度はゆっくりです、ご容赦ください。

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