「晩餐」
今日は珍しく客人がおらず、お義母さん、マリーおばさま、ミヒャエル、僕の4人の食卓だった。
「驚いた。こりゃ、プロの味だ!」
ミヒャエルは目を見開いて、興奮ぎみに言った。
あまりに大袈裟な反応だったため、思わず吹き出しそうになる。
「そんな立派なものじゃないさ。これしきでプロと肩を並べられたんじゃ、プロもたまったもんじゃないな」
「いやいや、お世辞じゃないですよ!これはうまい!」
よほどそのビーフシチューが気に入ったのか、バクバクと平らげて行く。悪い気はしなかった。
「ふふふ。喉を詰めてはいけませんよ。ゆっくりお食べなさい。」
お義母さんに言われて、ミヒャエルはふと手を止めた。
お義母さんに「どうしたのか」と聞かれて、ミヒャエルは恥ずかしそうに答える。
「こんな歳になって、子供みたいに嗜められるとは・・・・。恥ずかしいものですね・・・・。」
「はははは。見たところ17、8だろう?まだ子供さ。」
マリーおばさまの話を傍らに聞きながら、自分も彼の年齢を知らないと思ったし、知りたいと思った。同時に、失礼であるとも思ったが、同年代であれば、これから互いに相談もしやすいだろう。
「ミヒャエル。君、いくつなんだい?おばさまの言うとうり、17か18に見えるけれど?」
「・・・・・・。18です。」
「同じ歳だ。不思議だよ、歳が同じというだけで、親近感がわく。」
「そうですね。────同じ歳なら、いろいろ相談もしやすそうだ。」
「・・・・・!驚いた・・・・!僕も今そう思っていたんだ・・・!」
「奇遇ですね」と呟き、ミヒャエルは再びビーフシチューに手を伸ばした。
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食事が終わり、ミヒャエルとマリーおばさまと僕とで、食器の片付けをしていた。
ミヒャエルはまだ使用人見習いになって日が浅いと聞いていたが、出来る限りの力になろうという気概が見えて、この人は誠実な人なんだろうと感じた。
「ミヒャエル、あとは僕とおばさまでするよ。君は休んだらどうだ?」
そう提案するが、ミヒャエルは片付けの手を止めようとはしなかった。
「いえ、やらせてください。」
それ以上止める理由もなかった。「そうか」とだけ言って、片付けを再開した。




